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経営者保証の動向


経営者保証解除について


親族外承継をされる企業様が私の周りでは多いからか、(実際に全体的に増えてきているのでしょうか)経営者保証解除に関する相談を多く受けます。
皆様ご存じの通り、「経営者保証に関するガイドライン」に則って、経営者保証解除を進めていく事になります。
「経営者保証に関するガイドライン」の事を知らない方は、下記のサイトをご覧ください。

中小企業庁:経営者保証のガイドライン (meti.go.jp)

経営者保証に関するガイドライン


経営者保証に関するガイドラインは、中小企業の経営者が直面する個人保証の課題に対処するために策定されたものです。これらのガイドラインは、経営者が自らの事業により大胆な展開を図る際や、事業が困難な状況に陥った際の早期再生を支援する目的で作られました。具体的には、資金調達の円滑化に寄与しながら、中小企業の活力を阻害する個人保証の問題点に対する解決策を提供しています。

ガイドラインには、金融機関が経営者保証を求める際の手続きを厳格化し、安易な個人保証に依存した融資を抑制するための指針が含まれています。また、保証履行後に経営者に残る資産に関しても考慮され、破産時には自由財産が原則として経営者の手元に残ること、さらには保証債務履行時点で返済し切れない保証債務の残額は原則として免除されることが明記されています。

経営者保証に依存しない融資に関する取り組み状況


実際にどれくらいの割合で経営者保証なしの融資が実行されているのか?という事で、実は金融庁が各金融機関に経営者保証に依存しない融資に関する取り組み状況を発表しています。調べ得る最新の状況(更に最新のものがあれば教えてください)を紹介いたしますね。(以下は金融庁が出しているデータです)

主要行等及び地域銀行の「経営者保証に依存しない融資に関する取組状況~金融仲介の取組状況を客観的に評価できる指標群(KPI)~」一覧及び公表状況:金融庁 (fsa.go.jp)


他金融機関についてもデータはありますので、気になる方は上記のリンクからご覧ください。中小企業に積極的に融資実施している三井住友銀行について詳しく見てみましょう。


2022年度下半期を見てみると、新規融資に占める無保証融資の割合が60.7%となっており、上昇傾向にあります。

一方で既存の保証契約を解除した件数は減少傾向にありますが、これについてはコロナによる企業の業況悪化も影響していると思われますので、もう少し様子を見る必要があると考えています。

また純粋に経営者保証を解除するというスキームで、経営者保証なしの新規融資による借り換えによって実質経営者保証を外す方法もあります。この場合は仮説ですが、おそらく新規融資に占める無担保融資と判断しているのだと思います。

いずれにしても6割程度の新規融資が経営者保証なしで取り組まれているわけですから、金融機関も「経営者保証に関するガイドライン」に則って、融資判断する事が当たり前になってきていると考えられ、経営者の方(特に親族外承継をされる方にとっては朗報かもしれませんね。