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日記3

12/11
 心身が疲れている。


12/12
 文学に没頭するのは浪人していた時以来だろうか。私の人生においては、何度か「読書期」がある。小学5年生、中学2年生、浪人生、そして今。
 「読書期」以外の時期はほとんど活字に触れないため、これまで読んできた本の数はたかが知れている。趣味は読書です、なんて言えないし、自分が読書家だとも全く思わない。

 きっと、ボタンのかけ方が変わる時期なのだろう。変えたいと思っている作用なのか、変えたくないと意識を現実から逸らす作業なのかは分からないけれど、本棚にはまだまだ空きがある。


12/13
 江國香織「号泣する準備はできていた」読了。
 作中にある海の描写の美しさに戦慄した。水面に感動した記憶が次々と呼び起こされては散っていく。記憶は往々にして季節のようなもので、他人の言葉にそれを無理やり引っ張り出されるのは少し癪だが清々しい。

12/14
 15時過ぎ、朝から取り組んでいた実験がやっとひと段落ついたので煙草を吸いに出た。時期が時期であるので、この時間でもキャンパスが日没のスタンバイをしていた。木々と理性的な建造物が散らばっているその空間がやさしい光で包まれていた。冬の日光は角が取れたように丸く、突き刺ささることなく反射してあちこちに散乱する。そういえば、朝大学に向かう道でも遠くに見える水平線がその光で輝いていたな、と思い出した。吐き出す煙が小さく揺れて、柔らかな光線のなかに溶けていった気がした。


12/15
 教授の退官に際する諸々の事情で修士の二年間は今とは別の研究室に行かなければならなくなってしまった。研究内容も研究室の雰囲気も気に入っていただけにショックが大きい。また分野の勉強から人間関係まで0からのスタートをするのかと思うとそれも憂鬱で仕方がない。先のことは今考えても仕方がないし、どうせ未来の自分がまた頑張ったり頑張らなかったりするのだろうけど。
 実験室に向かう足取りが重く感じる。まだまだこの分野の研究をしていたかった。慣性に身を任せて走り続けたかった。
 人生の中では小さな曲がり角なのだろう。この先もっと急激にハンドルを切らなければいけない時も来るだろう。でも、今日はちょっと前向きに考えられなかった。そんな日もある。


12/16
 俺たちに明日はない。俺たちには今日しかない!

歩行ってサイコー

12/17
 17時ころまで惰眠を貪りつくしたのち、床屋へ行き散髪。今日は今冬の初雪だった。花弁のようにちらちらと舞うでもなく、星が真っ逆さまに降り注ぐような雪。

 久方ぶりにミスドへ行ってドーナツとコーヒーを消費した。ドーナツは脂質とカロリーの権化であるためダイエット中に食べてはいけなすぎるのだが、たまにこういうものを食べてこそ長続きさせられるというものだ。黒糖ポンデが一番好き。それにしても冬は甘いものが美味しくて困るね。


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