見出し画像

そっか。何でもいいのかもしれないな。何かが外れた話。

写真は、バスの車窓から。アフリカンプリントの赤いワンピースが気になって、思わず撮影。私も同じ形で次回テーラーに注文しよう。

ジンバブエに来て、私はついに気づいてしまった。
「欲しいものを作れる幸せ」に。

可愛い雑貨の可愛くない裏側

雑貨のデザイナー時代、中国や途上国で安く物を大量に作って、日本やアメリカで6,7倍の値段で売るという経済の構造にうんざりしていた。

雑貨は、アパレルと違い、流行が少し長い。
2年くらいは続いてくれる。
クリスマス商戦はやっぱりあって、クリスマスリースは、身体に悪そうなラメをたくさんつけて、ギリギリのクオリティで作る。壊れてくれないと来年売れないから。
中国の工場の検品に行くと、強烈な薬品の匂い、その中で遊ぶ子どもたち、大量のゴミ、死んだ魚の目をした作業員たち。ミシンで商品を仕上げ、山盛りにしてそのすぐ側でカップラーメンをすする。目の前はドブみたいな色の海とか。

中国ではなく他の国で、私のデザインした商品を作る工場が、経済苦を理由に一家心中したことがあった。当時働いていたわたしの会社が圧力をかけてはいなく、やりとりは通常通りだった。むしろ「相談してくれたら良かったのに」と会社の人は残念そうに言っていた。
その後、商品を代わりに製造してくれる工場はあっけなく見つかった。

まあそんな可愛い雑貨の可愛くない裏側に、「これで幸せになってる人っている?」って疑問を感じた。先進国のワガママだと思った。
デザインの可能性を探ろうと、私にできること他にもないかなって思ってジンバブエに来た。



じゃあ大量消費じゃないデザインって何?

ジンバブエに来て、こんな本を読んだ。

シンプルだが、考え抜かれたデザインが、人々の生活を大きく変える。
消費社会にあふれる「もの」とは少し異なる、世界を変えるための「もの」。
(本のイントロダクションより引用)

例えば、これ。アフリカで、場所によっては水が無いので、水を汲んで頭の上に乗せて3時間ぐらい女性は歩く。時には赤ちゃんを背負いながら。女性の腰に負担が大いにあった。
→ドーナツ型にすることによって、「水を転がす」ことができるようになった

この本は2009年に出版されているので、このドーナツ型の水容器もどうなっているかわからない。

しかし、私のやりたいことって、こういう途上国での生活に直結した「ザ社会貢献」でも無い気がしている。

断捨離、フェアトレード、ミニマリズムからの解放ーアフリカンプリントー


人々が「欲しいな、あったらいいな」って思うもの。
世の中の問題を解決するような、思うものを考えることが良いとされてきた。例えば、ファxxズが浸透したからそれをお洒落に見せるカバーを開発しようとか、俗世間に媚びたもの。作る時に環境を破壊するもの。作る人の健康を害するもの。輸送に大量の石油を使うもの。
だんだんそういうものに嫌悪感があって
私は、断捨離とか、あまりものを持たない主義やフェアトレードなどに惹かれていった。まあこれもトレンドといえばトレンド、ライフスタイルの一つといえば一つ。

長く使えるものを購入したり、一人暮らしをやめてシェアハウスに住んだりしてものを減らしてきた。
ファッションも気づけばモノトーンになった。

ジンバブエに持ってきた服も、黒ばかりだ。
でもアフリカンプリントは、私のそんな凝り固まった考えを気持ちいぐらいぶっ飛ばしてくれた。
派手な原色の組み合わせ、意味不明な柄、たくさんの種類。
一体誰がなんのためにこんなに作っているの?
そこに意味なんて無いのだ。(意味があるのもあるけど、多分。ちょっと今調べてますが)

「欲しいものを作れる幸せ」

ジンバブエでやってみたかったことの一つ。
ジンバブエ産のミツロウで加工したエコラップを作って、
ラップを使わない生活をすること。

アフリカンプリントは、思ってた以上に私にハマった。
色や柄に意味があるのか無いのかわからないけど、ファーストインパクトがすごい。むしろ意味なんて無くていい。
ただただ惹かれる布との出会いを楽しんで、それを活かして作りたいものを作る。

これは、パッチワークのエプロンを思案中。
ちょっと渋い系に。でもなかなか決まらない。

私はズボン(パンツと言いたく無い)が好きなので、いろいろなアフリカンプリントで作って楽しんでいる。初めてオーダーしたこのズボンに足を通したら、とても心が軽くなった。驚いた。それまではいつも黒のスキニーパンツを履いていたから心身ともに爽快な気分になったのをよく覚えている。

そうか、欲しいものを作っていいんだ。
今までずっと「ゴミを作ってはいけない」「無駄なものを作ってはいけない」「環境に負荷をかけてはいけない」「フェアトレードでないとダメ」と常に悩まされてきた。
買う時も「必要かどうか」をいつも考えて「無駄な買い物」をしないようにしてきた。

でも、欲しいものを作っていいし、心が軽くなるものを買ったらいいんだと思った。黒ばかり着ていた私が、色のこだわりからも解放された。
ジンバブエの多くの人は、モザンビークやザンビアからの安い化繊の古着を着ているので、アフリカンプリントの洋服を着ている人は時々しか見かけない。欲しいものを作れるって、先進国だからできることなのかも。
日本のいろんな創作活動をしている人たちを思った。

いろんな思い込みを手放す勇気をくれたアフリカンプリント。

日本のいろんな人にもぜひ、履いてみて欲しいなと思っている。
あー、販売会したい!
一見、「派手かな?」と思うようなデザインも一歩踏み出して履いてみると、素敵な世界が待っている、そんなズボンを私は作れる(オーダーメイド)。

うまく言えないけど、「翼を授ける」ズボン。

レッドブルやけど。。。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?