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生きぬように、死なぬように。見えない貧困

今日も12時間ほど停電でした!
今学期は、私の活動先である教員養成校の美術&デザイン科の教室に発電機で電気を繋いでもらうお願いをしました。
「これで、プロジェクターや生徒がパソコンを使える!」と期待していた私。

結果、こんな形で電気はやってきた

発電機が使われている部屋(図書館や校長室)の一つからケーブルで繋ぐというアナログなやり方!
絡まるに絡まったこの砂まみれのケーブルはどうやら一本につながっているらしい。電源は6個取れる。
ここから、教室のはじにある14台のモニターとパソコン本体に繋ぐなんて、気が遠くなりそう。

停電の度にケーブルを運んできて毎日つなぎ直すしかないのか。
他のコンピューターラボをシェアさせてもらうか。

早速、プロジェクターを繋いでみたが、いつも使えてるプロジェクターがなんどやっても点かない。(ちなみにものすごい古いDELLのもの)
結局、同僚は53人の生徒に、自分の作ったスライドを口頭で読み上げていた。
他の人を呼んできたら、奇跡的にプロジェクターの電源がON!
しかし、同僚のPCの画面設定をしようも、バグってうまくいかない。
(先生たちは、hpのノートを支給されてるのですが、wifi読み取りも弱いし、タッチパッドの融通の効かなさよ!本当MacBook Proのタッチパッドの滑らかさって最高なんだなと気づく)
そうこうしているうちに、発電機のガソリンが切れた。
結局、また同僚はスライドを口頭で読み上げることに。

水のこと。
首都にあるメインの浄水場が、閉めたらしい。
水を消毒する薬を輸入していたが、USドルが無くてもう買えないとのこと。
水不足が進み、夏が本格的に始まり、汚染水で感染するコレラの流行がやってくるのか?
お金のこと。
今日またガソリンの値段が上がった(月に二回ほど上がってる)。10.01から11.55ボンドノートへ。日本円でいうと80円ぐらいか。月に二回ほど上がっているが、月収5000円ぐらいの人たちには厳しいであろう。

スーパーに行った人によると、たくさんの食べ物の値段も上がったらしい。
すべての食べ物は隣の国から、国内から、ガソリンで運ばれているから。

ジンバブエの主な産業の一つであるタバコは、出荷シーズンを8月に終えた。そこから、USドルが不足し、ジンバブエの現地通貨の価値が下がり
USドル1に対して、現地通貨のレートが1:20までになった。(先月は1:10ぐらいだった)
そこへ、政府がそれを食い止めるためお金をばらまき、先週末レートは突然下がり1:14になった。どうやら1:6ぐらいにしたいらしいのだけど。

これが3日間続いているが、明日はどうなる?
下がるのか上がるのか、誰にもわからない。

こんなにもお金の価値が変わり、水が無く、電気が不足。
給料は安い。(教員養成校の先生で月5000円って信じられない)
それでもジンバブエの人たちは、体と心が強いなあと思う。
歌を歌えば、みんな踊り出し、電気が戻れば歓声をあげる。
特に、国歌は男女がハモり、その様子は堂々と誇らしげで、素晴らしい合唱を聴かせてくれる。
日常でも鼻歌で国歌を歌ってるのが聞こえるくらい、身近。
(これって日本では考えられないこと!)


「お腹が空いてると、やる気がでない。働くと余計お腹すくから働きたくないのよね」と同僚は言った。
そこには見えない貧困があり、人々は常にお腹を空かせている。

もともと、質素な生活をしている人たちだ。
多分、もし電気があってお金がもう少しあったとしても
ガラリと生活が変わるわけではないと思う。

ただ、誕生日のケーキなどハレの日のものが削られ、
食事のおかずが減り(肉がまずなくなり、野菜と主食のとうもろこしの粉を練ったもの)、食事の回数が減り
「ただ生きていく」ということを淡々と続けていくことになる。

アフリカにはたくさんの国があって、
ジンバブエより貧乏な国はたくさんあると言うし、この国で飢餓で死ぬことは多くはないと思う。(感染症や交通事故は多い)
ジンバブエには黄金時代があって今それが崩れ落ちて、腐った政治のしがらみによる、こんがらがった貧困、というのがこれなのかなと感じている。

ジンバブエの人々は、生きぬように、死なぬように、
日々、じわじわと首を締められている。そんな風に私は思ってしまう。

もともとそんなに電気を使わない人たち。
(エアコン、洗濯機なし!の人ほとんど)
電気、水ぐらい、最低限のことをなんとかしてくれ。
(ちなみに政府関係のエリアは常に電気があるのです)

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