カンニング合戦 in ジンバブエ
青年海外協力隊でジンバブエに来ています。グラフィックデザインを教えます。
活動先の教員養成校は、全部で3学期まであり、学期の間には3,4週間の休み。今週は、1学期の期末テストの週です。
そう、タイトルの通り、テストでのカンニングのことを書きます。
画像は、試験会場のホール。(撮影したのは夕刻です)
今日は、試験官として、試験用紙を配ったり、サインを集めたり(こちらではなぜかする習慣がある)、Cheating(カンニングなどのズル)が無いように監視していました。
今日は試験が始まって3日目。今週はテスト漬けですから、皆疲れて来ますよね。まあカンニングの多いこと!!
私は、ステージ前で立っていたら、一番前の女の子隣同士の2人が
お互いのを見合うんですよ、試験用紙を。しかもジンバブエ人って視力がめちゃくちゃいいから、こちらの予想以上に遠くまでよく見えてる。だから、席と席が離れてても見えるんです。
実はこの二人は、私が昨日から目をつけていた二人。
妙に席と席の間が近いなと思っていたので、前日に引き離しておいたのです。
今日見てみたら、また元の距離に戻っていたので、私の勘は的中。
彼女らの席と席の間に立つことにしました。
一人はニヤニヤとうすら笑いで、私の顔を見ています。
私もじっと彼女の目を見ました。
「何笑ってんだよ、やれるもんならやってみなさいよ何回でも」
と、心の中で言いました。
あまりにも彼女のニヤニヤ顔の時間が長いので、
「私じゃ役不足だな、(外国人だから)ナメられてんな」と思ったので
ベテランのどしっとした女性である、私の上司にお願いして、彼女らの間に立ってもらいました。上司は、彼女らの机を動かさせて、近かった距離を離しました。
試験は2時間ですが、1時間たったらトイレに行ったり、終われば退出することも可能です。先生は、皆に2巻のトイレットペーパーを少しずつちぎって100人以上いる生徒に配りました。
ジンバブエのテストあるある?!
まあトイレに立つ人の多いこと!テスト中、半数以上トイレにいきます。
通常の授業も2時間でトイレに行く人なんてほとんどいないのに。
どうした今日は!
だんだんトイレに行く人も増えると、なんとなく会場がざわざわしてきます。そうするとまた、カンニングする奴が出てきます。
こそこそっと話して答えを教え合うのです。
あとは、すごく紛らわしいけど、試験用紙を見えるように持ったり、右か左に寄せたりしてる奴。
目がいいので一点を凝視してる奴!遠いところを見て考えているのか、または人の試験用紙をガン見しているのか、どっちだ!?
微妙な動きをしてる生徒を見張ると、やはりうすら笑いしてきます。ムカつきますね。優しそうな天使のような顔しても、許さねえぞ。
でもまあカンニングの決定的な証拠は無いから、その場で注意するだけなんですが、ひどい時は会場から追い出すそうです。
かくいう私もカンニング経験はありますけど、もう堂々と教科書デーンと出してましたね、机の上に。進学校で落ちこぼれだったので、もう開き直っていました。試験監督の先生は、進学校で誰もカンニングなんてするわけ無いと安心しきっているのか、基本居眠り。
周りも真面目な子が多かったので、「誰も先生に報告したりする人いないだろうし、むしろやってみろ、死ぬわけじゃなし、受けて立つぞ」と思ったら、本当に誰にも報告されなかったですね。(今思えば本当にタチの悪い落ちこぼれだ)平和だった。
むしろ退学にならなくてよかった、ありがとう皆さん。
なんか彼女たちは、私とは違う感じがするんですよね。何が違うんだろう。
(試験監督をやるともらえる、先生たちのお楽しみ。これは2コマ分。)
ジンバブエの彼女たちと、私の違い。
私は、10代の頃、人生を放棄していました。将来やりたいこともなく、自分のことがすごく嫌いで、現状も不満だらけ。勉強をする意味もわからないし。でも、好きなものはあったし、それに少しはお金をかけられた。ファッションや音楽やアートや映画。絶望の中にいても、ここでは無いどこかに、本当の友達も居場所も絶対あるって一筋の希望は持っていた気がする。
しかし彼女たちは違う。
大学にいけなかった人たちが、なけなしのお金で、子持ちも妊婦も片目が見えない人も松葉杖ついてる人も、教員養成校に来る。しかし、教員免許をとっても、ポストがあるか保証はなく、5年待っても先生になれないのもザラらしい。先生になっても立場も給料も低い。これに希望が持てる?
「どうして先生になりたいの?」と、生徒の一人に聞いたら、大学に行かないとなると、この選択肢が一番無難だったからだという。
そうそう、あと、この期末試験に落ちると、お金を払ってもう一回その教科を取らないといけないらしい、そういう意味では必死である。
私はただ試験監督として、カンニングを見つけることはできるが、
それが一体何になるというのだろう。
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