日本最後の未接触部族

世界には100以上の未接触部族が存在していると言われており、彼らは現代文明を拒否し、昔ながらの生活を続けている。これらの部族のほとんどは主にアマゾン川流域で生活を営んでいるのだが、実は日本にも存在する。そう、EXILE TRIBEである。

本来、現代文明と接触しないはずの彼ら部族に近年大きな変化が起きている。彼らは、社会において急速に勢力を拡大し、あろうことかEXILE FAMILYと呼ばれる信者さえ獲得している。民俗音楽に合わせて特殊な舞踊を大人数で繰り広げる儀式はまさに大人の大運動会。誰もが一度は想うであろう、悩みなんて一つも無かった幼少期に戻りたい、という心の隙につけこんだ極悪非道な手口。店のレモンサワーを品切れにするまで飲み続けるテロ行為。映画やドラマ、CMなどに幹部を出演させ影響力を拡大する手法は、ハッピーサイエンスが千の眼を持つ女を主演に映画を製作する手法に酷似している。豪雨の中、傘もささずに「俺、正社員になる!」と叫ぶ姿からもその異常性が読み取れる。数多の戦略を駆使し、日本社会に存在する一部族であった彼らは、着実に信者を増やす新興宗教に変化しているのだ。

絶対神HIROを筆頭に、休養の神ATSUSHI、子作りの神TAKAHIRO、グローバル化の神NESMITH、交通安全の神MAKIDAIなど、部族民を神として位置付け信者の獲得を続けている。

さて、私の周りにもEXILE FAMILYが一人いた。かつてのバイト先であった居酒屋の店長だ。真っ黒に焼けた肌、魚を持って嬉しそうにしているLINEのアイコン。いつもより大きな魚が釣れて嬉しかったのか、HIROへの献上物が手に入って嬉しかったのか、真相はわからないがとにかく嬉しそうだ。開店直前に決まってEXILEの曲をかけるルーティンからもその信仰具合は相当なものであると推測できる。

私のことを「MASA」と呼ぶほどにEXILEに心酔する店長は、特にNESMITHへの信仰心が厚かった。事あるごとに、「MASA,海外へ行け」と教えを説いてきたのである。

そんな店長が一度だけ、たった一度だけ、開店前にEXILEの曲をかけなかった時がある。彼ら独特の宗教音楽にはない、あまりに明る過ぎるメロディーに私は耳を疑った。EXILEとは対極、日本とブラジル以上に遠く離れ、交わることがないと思っていた曲。

松浦亜弥の「Yeah!めっちゃホリディ」を爆音で流したのだ。一瞬困惑こそしたものの、開店前という忙しい時にそこまで深く考えるほどの余裕はない。ちょっとした気の迷いだろうと私は勝手に納得したのだ。しかし、今思えばあれは店長から私へのSOSであったのではないだろうか。心身共にEXILEに侵された店長は、EXILEとは対極の「Yeah!めっちゃホリディ」に助けてほしいというメッセージを込めたのではなかろうか。そのSOSに気が付かなかった私に怒り、突然クビにしたのではなかろうか。きっとそうだ。そうに違いない。

HIROはこんな言葉を残している。

「今から気合いで椅子食べます」

EXILEという部族、その教えに私は何一つ共感しないが、HIROは気合いで椅子を食べられるほど一生懸命に生きているのだろう。完全に拒絶するのではなく、凄いことは凄いと言える人間でありたいものだ。

次回 「松浦亜弥、あの人は今」

#部族 #宗教 #EXILE #チームだからできたこと




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