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tapestry

"swing in the dark" 曲ごとのセルフライナーも残すところあと2曲となりました。

"tapestry"
この曲は今作の中でもわりと毛色の違う曲で、フォークロック然としていて、かつUKフレーバー全開のミドルナンバーです。
前提として今作は、「80s」「シティポップ」という明確なキーワードを持って制作した前作「Xanadu」と違って、そこから少しはみ出した色んな曲を入れてみようという気持ちを持っていたので、こういったXanaduの系譜とは少し違う曲も収録されています。

どうやってつくったか記憶は曖昧ですが、もともとこのメロディーは「こういう曲をつくろう」みたいな狙いや意図のないところで、ある日一筆書きのように閃きストックしていたメロディーだったと思います。
同時に、アルバム制作の終盤、足りないピースを探す中で、こんな曲が入ってたらいいよね、とメンバーで話していたのが、The1975のこのあたりの曲でした。

僕もとにかくこの「Norts On A Conditional Form」というアルバムが大好きで、「swing in the dark」の隅々にこのアルバムから受けた影響が散りばめられていますが、
こういったいわゆる「ギターロック」的な曲をギターロックだけで終わらせず、その向こう側で曲をより深く理解し表現しようとするAttitudeの大切さを、The1975のアルバムからもあらためて学んだ気がします。
そして僕らも、今の僕らなりのギターロックへのトライをしてみようと思えました。

とても気に入っていたメロディーだし、僕的には自分の中のUKロック好きの魂にも久しぶりに火が付いて最高でしたが、笑  いざスタジオで合わせてみると、なかなかかっこよくならなくて苦戦しました。
最終的に、パッと聴きはシンプルだけどとても複雑なリズムパターンになり、ギターの和音アンサンブルは敢えて少し混沌とした響きになりました。
それはただトリッキーなことをするということではなく、全て歌のメロディーに呼応したリズムと和音の響きを探した結果です。
キラキラと真っ直ぐでシンプルなようで、とても繊細な曲になりました。
レコーディングでは、今作の中で唯一クリックを使わずフリーテンポで、4人でせーのでオケを録りました。
色んな面で他の収録曲とは性質が違うのですが、流れの中に違和感なく置けたのは、中村さんのMIXと風間さんのマスタリングの力も多分にあると思います。

曲ができた時点でtapestryという単語が妙にしっくり来て、タイトルははじめからtapestryでした。
なんとなく僕の中には「引っ越す日の部屋」みたいな景色が頭の中にあって、その景色をもとに仮の歌詞を書き、その8割くらいがそのまま残りました。
歌詞の行の最後が英語なのが気持ちいいことに気づいて、tapestryに始まりradio、momentなど、発音上気持ちのいい英単語が並んでいます。インタビュー等で思いの外ここに触れていただけることが多く、嬉しかったです。
個人的には「外壁」という歌詞らしからぬ単語と、UKリスペクトでOasis「Some Might Say」を入れられたことが最大の自己満ポイントです。笑

3分ない短い曲ですが、いろんなこだわり、愛が詰まった1曲です。曲順的にもここ以外ない、と思える流れになってると思います。
ぜひいま一度、味わってみてください!

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