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regret orange

縁ある方々からいただいた嬉しいコメントや、みなさんの感想ツイートなどを見るたび、「swing in the dark」というアルバムのことを自分でも新たに知るそんな毎日です。
マイペースに書いている各曲についての諸々、今日はアルバム4曲目「regret orange」。

この曲は夏の夕暮れの匂いがします。
風景描写的でありノスタルジックな1曲。
そういう意味ではとても僕たちらしい曲と思っていますが、音楽ジャンルのクロスオーバー感という点で新しいアプローチの曲でもあります。

ユーミンのアルバム「PEARL PIERCE」のムードがこの曲の着想でした。


異国情緒溢れるリズムを下地にしつつ、日本的な情緒を描きたいと思いつくりました。
この曲のメロディーは1ヶ月くらいかけて、いろんなパターンをつくってはくっ付けたり解体したりして、いつのまにかこのかたちになっていました。
スタジオ音源を辿ると、イントロがあるバージョンがあったり、BメロがいまのCメロになっているバージョンがあったり、色々と試行錯誤の跡が残っていました。

はじめから「発明した!」と思えるようなメロディーが主軸にある曲もあれば、そうじゃない曲もありますが、この曲は完全に後者で、「ムード」だけを頼りに少しずつメロディーを探していくようなつくり方でした。
昔と比べて、そういうつくり方をしたときに掴める空気感や世界観が年々濃くなってきた感覚があって、これは歳と経験を重ねたことが功を奏しているのかなと思っています。

この曲も繰り返しがほとんどなく、Aメロ→Bメロ→間奏(A進行)→Cメロ→Aメロ(転調)→Dメロ→アウトロと展開していきます。
思考停止的な1番→2番の繰り返しという曲構成を一度疑うことで、その向こう側にあるより美しい曲の姿に出会えたときはとても嬉しいものです。それを経て選ぶ繰り返しも、ちゃんと意味を持つのでGOODです。
個人的には、少し洋楽フレーバーが強まるDメロからの長いアウトロがお気に入りです。長いアウトロの中にリードを取るフレーズがないことで生まれる「隙間」にも、意味が宿っていて好きです(と言いつつ2/5のライブではアウトロでガットギターソロを弾いてみました。また別のよさということで)。

総合的な楽曲の立ち位置的には、僕の中ではXanaduなら「ぜいたく」、他人旅行なら「さよならDESPAIR」あたりと通じている感じがします。
今作は打ち込みの音をメインにつくった曲も多いですが、この曲は生楽器のみでアンサンブルを構成しました。
メンバーそれぞれの渋くて味あるプレイが聴けます。
REC前日に買ったボンゴをつのけんが叩いた音も重要なキャラクターとして鳴っています。
僕は昨年買ったガットギターを遂にレコーディングでも使いました。今作でアコギを弾いたのは、この曲と「セーラー服〜」だけです。

歌詞は一度僕も書いて、かなりいいかも、と思っていたんですが、翌日延本が「なんかできた」といって持ってきた歌詞がよすぎて自分のは何の未練もなくボツにしました笑
ちなみにタイトルはずっと「regret」で、歌入れもしてそのまま完成かと思いきや、「orange」を付けることに決めたと急に延本が言い出して「regret orange」になりました。歌詞にはblueも出てくるけど、それもひっくるめて「regret orange」だなと思います。

曲順的には最初ラストを想定したりもしましたが、missing summerからの流れが季節の経過のようですっかり気に入りました。
ぜひ流れでお楽しみいただければと思います。

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