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「ありがたい」の呪縛

「あなたは恵まれててありがたいね」
「こんなに色々してもらって、ありがたいです」
「ありがたいことなんだから、ちゃんとお返ししなさいよ」

これらは私の母の言葉。

けどね、私はずっとこの「ありがたい」って言葉に、違和感を持ってたんよ。

「ありがたい」ってそんなにポンポン出て来ない。笑

例えば、自分の幸せを想ってくれている人が周りにいる時。

私の母はすぐ「ありがたい」って言うけれど、
私は、まず現実を受け取ってどう感じるか、を感じてる。


あったかいな。嬉しいな。ほんわかするな。とか
時には、おせっかいでうざいな。とか。笑

ここを「ありがたい」って言葉でひとくくりにして誤魔化しちゃうんじゃなくて、めちゃくちゃ正直に感じることってすごく大事だと思う。

なぜかって、「ありがたい」って思ってる時は大体が思考だからなんよね。
感覚でも感情でもなく、思考。感じてる風。

「感じる」というプロセスを置き去りにして
「思考」で覆い被せるのは、自分に対するウソになる。
で、それって相手に対しても思ってないのにお礼言ってる、みたいなウソになる。

私は、自分の感覚にウソをつくのが気持ち悪くてキライ。

だから、先に言葉として「ありがたい」が出てくるとモヤっとする。
(本当にそう感じて言ってる人ももちろんいるだろうけど、私が言ってるのはそうじゃない場合のこと)

毒は受け取る必要ない。

あと、「ありがたい」って言葉で片付けてしまうと、自分にとって不純物なモノも、混ざったまま受け取らないといけなくなってしまうのが厄介なところ。

「いいからいいから!大変でしょ!私が片付けてあげるって」

と言われて、突然親が部屋に入ってきたら、ありがたいって思える…?

私は、自分の領域に人に踏み込まれると、まず腹が立つタイプ。笑
だし、別に片付けてもらうことを望んでなかったら、それってただのありがた迷惑。

ちょっと極端な例かもしれないけど、でもこういうことの些細なバージョンって、日常の中でよくあることじゃない?

それで、「せっかくやってもらったし…」と、なんとなく恩を売られた気がして受け取ってしまうけど、でもなんでこっちがお礼するためにお金払ってるんだ…?って後からモヤっとしたり。ない?そういうこと。
(ちなみに私はない。断るから。笑)

これって、どっちが悪いとか、嫌だとか、そういう話ではなくて、

・してあげたいと思ってくれた気持ち
・好意を寄せてくれている気持ち
これらを受け取って、嬉しいなって思うことと

・私が別に望んでないお世話
これに対して、「いらないな」「窮屈だな」

って思う気持ちって、別々のものに対して別々に起きてることじゃない?

超細かいことだけど、こうやってひとつずつ分解して感じ分けていくと、自分にとって何が大事で、何が心地よくて、って言うのが、より明確になってくるし、自分にも相手にも嘘がない関わりができるようになると思う。

だからと言って、相手に「これはいらないから!」ってバシ!!ってするのは違うけど、自分の内側で分ける、ってこと。
そしたら自ずと、「ありがたい」って言葉は、そんなにポンポン出てこなくなると思うんだよね。

「ありがたい」を押し付けるのは毒でしかない

「ほら、こんなにしてもらって、あんた感謝してるの?」
「あなたはみんなに恵まれて、ありがたいね」
「こんなによくしてもらってるのに、感謝のひとつもないの?」

冒頭でも少し書いたけど、これらも母の言葉。笑
母、晒してごめんけど、許せ。笑

これ、言われた側は、

「感謝しなくてはいけないのに、まるで私が感謝してないみたい」
「感謝ってするものなの?感覚として上がってくるものじゃないの?」
「感謝ができない私、感謝を御礼として返せない私がいけないの?」
っていう、罪悪感生成器みたいになっていく。

だし、こうして言われてきたことって、母にはそう見えてるってだけで、私が実際どう感じてるかや、私がありがとうって気持ちを感じた時にどうそれを表現するかとは、全く関係がない。

私は、何も言わず何も返さずとも、ただ受け取ることだって表現の一つだと思ってる。
それに、誰かにしてもらったことを、その相手にすぐに返さなくてはいけないと思ってるのなら、それは思い込みだと思う。ていうか、場合によっては、相手に悪く思われないための保身だったりもするよね。

Pay it forward.
恩送り

って言葉があるように、その相手に返さなくても、「私がしてもらって嬉しかったこと、私も同じような人がいたらしてあげられる人でいよう」って思って、日々過ごすことだって、あり方での恩返しだよね。

「ありがたい」を連呼してる時って、見えている視点がとても限定的で、感じているはずの自分の感覚も置き去りになってはいないだろうか。
って、そんなことを思ったのでした。

しがみつかずに、柔らかくいたいね。

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