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『愛を犯す人々』 の好きなもの。

【あわせて読みたい:これは付録付き一話完結連作短編集『愛を犯す人々』の各付録末尾「の好きなもの。」の総集編です。(この素敵なヘッダー画像にまつわる素敵な出会いと、ただでさえ暑苦しいのにさらに力一杯暑苦しい私の愛の記事は、こちら)   愛を犯す人々の、好きなもの。のみ!】

こんにちは!世界です。『大人の領分』の総集編にご好評いただいて気分が高まり、『あいおか』のほうも作りました。ハイライトも作りたいこんにちは世界です、こんにちは。

いやはや…読み返してみると、本篇はまあ、毎回それなりにブレずに頑張ってた気がしますが、付録のほうはフェン、ヒロセ、蒼唯、くらいまでは悩んでいた感じがします。沙織くらいから振り切れましたねこれ。私のお気に入りは…もちろん全部好きなんですが…強いて挙げるなら、紬、凪、美津紀、理玖かなぁ。皆さんは、いかがでしょう…。

お気に入りのキャラにすぐ会いに行けるよう、目次とリンクも付けましたので、どうぞ未読のかたも既読のかたも、お楽しみください!  各本篇へは、ご足労おかけいたしますがリンク先の最下のガイドまたはマガジンからどうぞ、お越しください。

『あいおか』は、追加した毎回、私、色んな方々に、支えていただいて…それでここにいます、ありがとうございます、もうなんと言っていいか…私、ずっと、書きます。

あ!  えっと…もし、スキ忘れのノートがあったら、どうぞ是非!  ←

ではでは…



フェンの好きなもの。

フェンの好きなもの。ひきたて、淹れたてのコーヒー。日曜日の朝晴れている時。いい匂い。綺麗に剥けたグレープフルーツ。夕方、川沿いの道を散歩すること。資格の勉強。旦那さんの寝息。テンポラリのステディとこっそりする、非公開のツイッター。「まいあさラジオ」のアナウンサーのコメント。髪が綺麗に巻けて、メイクもちょうどいい時。可愛い小鳥のイラスト。泣いちゃうくらい気持ちいいセックス。といえば、ヒロセ。

ヒロセの好きなもの。

ヒロセの好きなもの。俳優になった中学の同級生が出ているドラマのチェック。甘くないほうのだし巻き卵。と言いつつ、スタバで季節の変わり目に出る新しい甘いやつ。奥さんと娘が同じ姿勢で寝ている姿をみて、こっそり布団を掛け直してあげる時間。早く帰宅した日に行く近所のジム、でゆっくりチェックする彼女(たち)のメール。彼女(たち)。スポ根少年漫画。電車で席を譲ってあげる時。季節の変わり目に高島屋に行ってする、スーツのセミオーダー。頑張ってもどうしても思い出せないんだけど抱きしめるとすぐに思い出す、フェンの香水、に混じったフェンの匂い。を、またすぐに忘れてしまう、ちょっと寂しい感じ。

蒼唯の好きなもの。

坂本さんのレポートによりますと、蒼唯の行動頻度からみる蒼唯の好きなものは…。
 仕事から寄り道せずに帰った日、帰宅一番に飲むキリン一番搾り。日曜日の夕方に部屋をくまなく掃除した後、まっさらなシーツの上にボクサーパンツ一丁で寝転がって、今週のNew Yorkerの短編に目を通す時間。H&Mの試着室の鏡で見る、見事に似合ってる自分。ファイルを転送してる時に、だだだだーって画面に出ては消える、あのログの嵐。専門書まで置いてある大きな書店の、コーナー別の平積みの新刊を、1時間以上かけて片っ端からチェックすること。気分が落ちてる時にナチュラルローソンで買う馬鹿高い入浴剤と、毎月ジンズで買い足す、ブルーライトカットの伊達メガネコレクション。普通の神経を持ち合わせている人間には理解しがたいレベルの、えげつないAVをチェック、してからの、グラビアを見ながらの自●。色白で小さくてあどけない感じを装ってる、バリキャリお姉様。あてもなくふらりと見に行く東京湾。コンビニスイーツ、あるいはハーゲンダッツのストロベリーかバニラ。雨の後、急に晴れ上がった時の、眩しくて、じっとりした感じ。
 おまけ。坂本さんの好きなもの。こんなに粘着質で、ちょくちょく心理的な分析まで入れてくる薄気味悪い坂本さんに全然、気付かないで、ただただ普通に毎日を過ごす、たまには悪いこともしちゃうのになぜか素朴でスレない、若くて、美しい、青年。というか、蒼唯。

沙織の好きなもの。

沙織の好きなもの。帰ってきた時にスノーが、それまでどんなに眠りこけていても必ず、玄関までお迎えにきてくれること。モカをお膝抱っこしてあげた時のモカの顔。ラブと鳴き真似遊びすること。最近、蒼唯が「これならつけてもらえるかなと思って…」ってくれた、蒼唯のお給料1ヶ月分のティファニーのブレスレット。綺麗で美味しいもの全般と、伝統的で美しいもの全般。体のお手入れをしてもらうこと。半身浴で読み進める村上春樹の小説。結婚祝いで叔父さまからいただいたマイセンのブルーオニオンシリーズが飾られている、2番目の食器棚。雨の日に、おじいさまとおばあさまのお家の玄関ホールでタクシーを待ちながら、天井のステンドグラスを見上げる時間。昌幸さんが日曜日の朝にだけは自らキッチンに立って淹れてくれる、コーヒー。が差し出された時に、ありがとう、と言う自分の、もう、小さくもなければ震えてもいない、声。蒼唯。正常位で達したあとに、体を起こす前の蒼唯が必ずくれる、慈しみに満ちた静かな眼差しと、少し息苦しくなるような、強くて、短い、抱擁。

陽菜子の好きなもの。

陽菜子の好きなもの。7ptのHG丸ゴシックM-PRO。考え事がある日、チルアウトなアンビエントラジオを聴きながら深夜まで黙々と編む、レース編み。珍しい野菜が入っているサラダ。一緒に目が覚めた時に寝転がったままする航平とのハグ。や、航平とぶらぶらショッピングを楽しむ、みなとみらいクイーンズスクエア。下町散歩で入る甘味屋や蕎麦屋。担々麺。毎年冬に買い替える、ボタニカル柄の大判マフラー。ズブロッカ。システムアーキテクト試験の勉強に使ってる、美術館で買った動物柄のビニール付箋。夕立の直前の一瞬。先入先出法。フーコーの振り子。春と秋の数週間だけ、週末に、愛車のヴィアンキで乗ってまわる近所のサイクリングロード。紬がたまに、ふざけて毛先でくすぐってくること。紬とのセックス。が、終わってシャワーのあといつも、疲れてて動けないから紬にかけてもらうドライヤー、の熱から自分を守ってくれる、紬の優しい手の、丁寧な動き。を、思い出しながら自分でかける、ドライヤーの音。

紬好きなもの。

紬の好きなもの。肌触り最重要視の、寝間着コレクション。惰性でだらだら続けているだけって思いたいけど、結局楽しくて足を洗えていない、企業研究。神田の古書店で衝動買いした、よく知らない人の10年分の日記帳。の、ほとんど毎日つけられてる夢分析のコーナー。ホワイトノイズ。ゆっくりおしゃれをして、井之頭公園近辺のカフェでのんびり過ごす、平日の昼下がり。紡のすべすべの太腿に自分の太腿を絡めて眠る静かな夜。放送大学で映像教材を見ながらぼんやりする時間。思い立ったが吉日で突如執行するお店や自宅の壁紙の張り替え。世界堂本店で紡を待つあいだ、あらゆる色の色鉛筆を出したり入れたりして、色を覚えて過ごすこと。陽菜子のイキ顔。陽菜子の酔っ払った顔。陽菜子の不安そうな顔。陽菜子の嬉しそうな顔。欲情した陽菜子の声の抑揚。陽菜子の心臓の音。陽菜子の呼吸。陽菜子の心の動きが、陽菜子の身体の反応で分かる時。陽菜子から突然来る、もったいぶった文面のLINE。当日「会社出ました」から「いまマンションの前に着きました」まで、陽菜子を待つ時間。陽菜子。つまり、陽菜子。

啓志郎の好きなもの。

啓志郎の好きなもの。ササショーが空港で待っているのを、本人が気づいてないところからこっそり眺める数分間。ササショーがたまに送りつけてくる、照れ照れのビデオレター。ササショーの下宿の枕元に置いてある、なんとも言えない渋い色の砂が入った、3分計測用の砂時計。自分には絶対向けられないんだけど、ときめきでぱっと明るくなる時の凪の笑顔。絶頂を迎える直前に滲み出る凪の汗の味。凪とのセックス。真奈美とのセックス。琴子とのセックス。ササショーとのセックス。ササショー。凪。残り、全部勉強。

凪の好きなもの。

凪の好きなもの。滝本と夜も朝もセックスして、授業に行っていちゃいちゃして、バイトのあと啓志郎と夜セックスして、翌朝起きると啓志郎はいなくて、冷蔵庫に好きな味のゼリーとかが静かに買い足されてて、快晴で、滝本からメッセージがきてて、そんなふうに始まって、ああ、セックスしたいって思わない日って爽やかだなぁと思う一日。滝本が恥ずかしそうにアコギを弾きながら歌う、全然知らない誰かのバラード。の、歌詞に込められた、滝本の優しさ。下北沢と、表参道。暗い生活はコメディにして乗り切ろう系のドイツ映画、生きるのは痛くて悲しくてでもちょっと明るい系のフランス映画。生協の書籍部で啓志郎とばったり会って、どっちからというわけでもなく、上ずった調子でたわいない雑談をしながら人のいない区画の自販機の陰を探して、たっぷり、ものすごく激しくする、キス。壁にもたれかかる滝本の体にすっぽり収まって、滝本が選んだ音楽を聴きながら、滝本の指を撫でる夜。夜、部屋に一人でいる日に、滝本と啓志郎とするセックスを想像すること。なんとなく空いて、誰かに連絡しようかなって思う時に、連絡先の選択まで行くんだけどホーム画面に戻る、のをみていた視界に、少しのあいだ残っている、啓志郎の名前の、残像。

美津紀の好きなもの。

美津紀の好きなもの。焼肉、ジビエ、サーロイン、リブ、ヒレ、とんかつ、ハンバーグ。フレンチのコース料理と、お勝手で、のお寿司屋さん。美味しくて二日酔いしない、高い貴腐ワイン。何を着ても似合って服選びに迷ってしまう自分の容姿。バッティングセンターに遼と行って、打てないときに照れる遼を見ること。遼の得意料理の、しょうが焼き。を、遼が得意そうに出してくれるとき。できるかな、って組んでみたプログラムが、案外きれいに動いてくれて、後から自分のヒラメキに気づいて、天才!って思うとき。インデントが最初から最後までちゃんと合ってるソースコード。趣味で始めたRubyの勉強が結構楽しいこと。おはようございます、とお疲れ様でした、だけしか言わずに、パソコンだけに向かってガツガツ仕事できる日が作れる、いまの職場環境。金曜日の夜、お気に入りの下着とお気に入りのパジャマを着て、お気に入りのクラフトビールを飲みながらお気に入りのソファで遼と夜更かしして観る、古いヨーロッパ映画。の記憶が、だんだん増えていくこと。遼と初めてキスした夕方の日比谷公園の風景を思い出すとき。朝、遼に頼まれて、遼の着てるスーツの背中にコロコロをしてあげるとき。キャラメリゼ。会社で使ってる可愛いペンケース。幸せと聞いて思い浮かぶものすべてと、そんな幸せのさなかを泳ぐように通り抜ける自分の、満ち足りた、毎日の、生活。

祐介の好きなもの。

祐介の好きなもの。ウィスキーを片手に、自宅書斎のマホガニー本棚に並ぶ世界文学全集50巻を眺めて、「途中で苦労があっても、やると決めれば投げ出さずにやり抜く力」が自分にはあり、その結果、人より抜きんでるだけでなく、人より豊かな人生を送ることができている、と確信すること。社長にイライラせず、部長に叱責せずに済む奇跡の一日。通勤電車に乗ってる時に、この人たちが全員、服を着ていなかったら…と想像すること。中古で買ったゼニアのネクタイを、そうと気づかれずに褒められた時の見下した気分。これといってお金の使い道がないなぁ、とひとりごちる時。若くて綺麗な女性。のつむじに後ろから突然キスして、びっくりされる自分を想像し、興奮すること。忙しくて全く乗れないんだけど、季節に一回くらいは奥さんとドライブに行ける、奥さんと共同でローン支払い中の、ベントレー。エレベーターの鏡に映る自分たち夫婦の姿と、周囲の憧れに満ちた眼差し。人間椅子の座り心地。大切に世話されている獣の毛並を思わせる、美津紀の髪の手触り。舐めあげたくなるような、美津紀の美しい脚。美津紀の脇や草叢の、甘くてくらくらさせる性の匂い。に、埋もれている感じ。美津紀の舌遣い。美津紀の、細いのに骨ばってない、優しい手首。美津紀のしなやかな指に、自分のよく手入れされた指を絡めること。セックス中だけちょっと高くなる、美津紀の声。射精。と、射精する直前の、一瞬。美味しいものを食べた時に、ため息をつくために小さく開く、美津紀の、可愛らしい口元。

理玖の好きなもの。

理玖の好きなもの。父親からお下がりでもらったベンツ。むしゃくしゃした夜に愛しのハーレーで走る高速道路。週末に必ず靴を磨いてクローゼットの中を整理する、自分。ネットのティップス&ハックスのチェック。ラズパイと、おっぱい。入社2年目にボーナスで買った自動巻の腕時計をオーバーホールに出しに行く日。の、帰りに決まって食べる、沖縄料理。めきめき上達中のビジネス英会話。地元の国立で集まる、高校の頃の友達との飲み。での、猥談。夏、奈那子の背中を剃ってあげること。隔週木曜参加のITコンサル勉強会で、やっとプレゼンスが上がってきていること。珍しくうっかりした金澤さんをサポートできた時に、金澤さんが小さい声でつぶやく「あ。…!ありがとう…」。接待のあとほろ酔いで帰った夜、ちょっと機嫌を悪くして布団の中で待っている奈那子の、お風呂上がりの匂い。を感じながら、その隣で、スーツのまま仰向けで寝転がっている、短い、静かな時間。奈那子の作る豆腐ハンバーグ、おろしトッピング定食風。奈那子の手の爪の色と形。奈那子から誘ってくる夜に、奈那子を満足させてあげること。奈那子。奈那子のすべてと、奈那子がしてくれることの、すべて。セックスの途中に目が合うと必ず返ってくる、奈那子の、歓びに満ちた、優しい笑顔。

戸田先輩の好きなもの。

戸田先輩の好きなもの。凄く悦いセックスを想像しながら走るトレッドミルでのランニング、中に、休憩を兼ねてソラで復習する税法とそのコンセプトの関連付け、国際会計基準との比較。毎日5冊のビジネス書をフォトリーディングすること。毎年、ゴンクール賞およびブッカー賞受賞作を早速購入し原典で読むこと。仕事。仕事で結果を出すこと。毎朝4時起きして1日30分ずつ進めている執筆活動。もちろん、美都と紗和。美都とクッキーを作ること。お姫様ごっこの時に美都が、「おかーさんも、おひめさまよ」と言って髪を梳いてくれる手つきの優しさ。紗和を寝転がったお腹の上に乗っけてあやすこと。二人のぷにぷにの頰を片方ずつ自分の両頬にくっつけて、みんなでくすくすすること。素敵な子どもとの素敵な毎日をありがとうの意味で、2ヶ月に1回くらい、子どもたちを実家に預けて一日がかりで孝之にしてもらう、全身鍼治療後のエロ催眠セックス。若冲、魁夷、マティス、フェルメール、ラファエロ前派、文楽、フジロック、ジャム作り、カップケーキ作り、懐石、トルコ料理、ラヴェル、サティ、ハワイ、スペイン、各種図鑑、国立科学博物館、ポピュラーサイエンス、「学」と名のつく話題すべて。産後は行けてないけどスカッシュ、スノボ、水泳、バレーボール。知り合いの劇団の稽古場に差し入れをするとき。色んなショパンを弾きまくること。最近はUVレジンの小物作り。その他なんでも、興味のあるものや、いま触れていたいと思うもの。現在3日に1回の頻度で励んでる三人目の子作りセックス中に、「受精」という言葉を使うこと。そのセックス中に孝之が「愛してるよ」「愛してる」「ほんと大事」「大切」「愛おしい」「君の幸せが俺の幸せ」「奇跡」「会えてよかった」「ずっと守るよ」「君が俺の全て」「好き好き好き…」「大好きだよ」って、浴びせるように囁きかけてくる時に感じる、なんだかこそばゆい、不思議な感じ。









今日は明日、昨日になります。 パンではなく薔薇をたべます。 血ではなく、蜜をささげます。