シルバー仮面 VOL.1

第1話 ふるさとは地球
画面が暗いし実相寺演出で怖いし、セリフが聞き取りづらいし篠田三郎がいつも怒っている。タイトルの、地平線の彼方からシルバー仮面の生首が迫ってくる映像も怖い。子供置き去り感は平成ライダーの比ではない。冒頭の春日博士の研究所の看板に「バカ」「キチガイ」と落書きされているし…
ストーリーも映像もリアリズムを追求している感じで見ていて引き込まれる。文句なしに面白い。しかし、当時の子供たちはどういう気持ちでこれを見ていたのか。チグリス星人が化けた中年男性が喫茶店で篠田三郎に殴る蹴るの暴行を受け、「助けてください!キチガイです!」と絶叫するシーンはドン引きする。チグリス星人が焼死するところも、中の人が死にかけたという説を知っていて見ると引く。

第2話 地球人は宇宙の敵
なんちゅうサブタイだろうか。「うっひょひょーい」とか言いながら口から毒ガスをふりまいて田舎道を全力疾走する宇宙人に「地球人は科学を争いにしか使わない」と言われても…
地球人の邪悪さを説く説教宇宙人ことキルギス星人の武器は三色の毒ガスで、ニワトリを青くしたり公民館の庭の木を赤くしたりパトカーを白くしたりして村人に嫌がらせをする。重ねて言うがこんなのに説教されても困る。
話自体は大傑作で、当時の東京近郊の村(奥多摩近辺?)の風景が目にしみる。

第3話 父は炎の中に
画面が暗い!何がなんだかわからない!冒頭で氷漬けになった中年男性の手首がポッキリと折れるというショック描写も!
春日博士(春日兄妹の父)の霊がポルターガイスト現象を起こしてランプを動かし、シャイン星人と戦うという、史上初の幽霊vs宇宙人が実現した記念碑的作品。後半はほとんど夜で画面で何が起こっているのか非常にわかりづらいのだが、日の出と共に物語が終わるという演出が光る。

第4話 はてしなき旅
ピューマ星人は名前はピューマだが鶏ガラのような宇宙人で、手から電気コードのようなものを出して電気攻撃をする。o型血液に反応して人間を瞬間移動させる装置とか難解すぎて子供に意味が伝わっていたのかどうか。テレビの中の映像にいきなり出てくるピューマ星人の描写の無機質さが怖い。
湯浅博士という中年男性の心理描写も複雑すぎる。物語で語られていない部分で、この中年男性に一体何が起こっていたのか…

第5話 明日のひとみは…
あばれはっちゃくの親父・ウルトラマンタロウの副隊長が夏純子を誘拐するので有名な話。「俺みたいな醜男は今度いつ女性に味噌汁を作ってもらえるかわからん…」というセリフは子供番組のものとは思えない。というかこれ明らかに子供番組と思って作ってないだろ。
ジュリー星人は人型の大便の胸に目があるような宇宙人。シルバー仮面は、リアリズムを追求するあまりか、時々ものすごい場面を作ってしまうことがある。車に乗って逃走するジュリー星人と車内でもみあうシルバー仮面。車が壁に激突して炎上死するジュリー星人。交通事故死した宇宙人という特撮番組史上極めて稀なケース。

意図的に狂っている部分を抜き出して書いているが、ストーリーも映像もしっかりしていて5話まで見て外れエピソードが一つもない。人物設定がしっかりしていてブレがない。なにより全体に漂う70年代の空気がこたえられない。市街地、野原、田舎道、アパートの一室…松尾ジーナのファッションもいい。
安いしおすすめ。一家に一枚あってもいいかも。これが売れたら「アイアンキング」「レッドバロン」なんかの廉価版の発売もあるかもしれないし。

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