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環境メタ読みに必要な情報取得について

 皆さんこんにちは。この記事はLyceeOvertureというカードゲームで、「楽しんで遊んでいる」というより、「公式大会等で勝つために頑張ろうとしている」プレイヤーの方向けに作成しています。このカードゲームは、個人ブログ等による情報流通量が競技性に比べて少なめになっており、初心者から中級者くらいにかけてのプレイヤーが求める情報量の拡大が望ましいと考えたため、作成させて頂いています。

LyceeOvertureというカードゲームについて

 このカードゲームは、入り口こそ絵柄や取り扱い作品(スマホゲームなど)の関係でカジュアルに見えますが「しっかり練習したら勝てるようになるものをしたい」という方にもおすすめできるカードゲームです。比較的運要素が絡みにくいため、構築やプレイング技術の差が勝率に与える影響も大きく、公式大会も月に2回以上日本各地で開催されるなど、競技性を求めるユーザーにも魅力があります。MTGはちょっと敷居が高く感じるけどあんまり運が絡みすぎるのもちょっと・・・。という方に、ぜひ一度触れてみて頂きたいと思います。

この記事の趣旨

 このカードゲームでは、自分の勝率の向上、あるいはデッキ作成技能の向上を目指していく上で、当該環境におけるデッキタイプ間の相性を考えることは非常に重要になっていますが、「●●は××に強い」といった個人発信のSNSやブログなどを情報源としていると、必ずしもその情報の内容が一致していないことがあります。ある程度慣れたユーザーであれば文字化されていない部分を察することもできますが、ある程度の段階まで慣れたプレイヤー出ない場合、情報を活かしづらいのが実態です。ここでは、どうして情報取得する必要があるのかや、情報取得が難しいかの例をあげ、つまりどういった情報を集めるべきなのか、どうやって活かすべきなのかに触れていきます。

なぜデッキ相性の情報取得が重要なのか

 試合に勝ち上がる上で、いわゆるプレイヤースキルと言われるものとは別に重要なことが、自分の握るデッキの作成や選択です。デッキ選択を誤った結果、普段ならもっと勝ち残るプレイヤーでも早々に負けてしまうこともよくあります。

 握るデッキを決定する際は、自分がどんなデッキが得意かといった自分に依存する要素以外に、いわゆる「環境」、他のプレイヤーが使っているデッキがどういったものが多いかも大きな判断基準になります。店舗大会のようなメンバーが比較的固定されている場合は自分の周りだけの把握で済みますが、公式大会のような大型大会になると全国各地から人が集まるため、一般的、普遍的な材料であるデッキ間の相性等の知識から分布傾向を考えることになります。

 例えば、ゆず2.0環境で猛威をふるっている「オーガスト宙単」というデッキは、明確に「強いデッキ」ではありますが、「輪廻転生」デッキには明らかに勝率が下がります。自分がこのオーガスト宙単を握って出場することを検討している場合、大会全体の割合で輪廻転生デッキが非常に多いと逆に勝てないということがありえるため、どれだけ「輪廻転生デッキ」がいるか予想し、多そうだと判断すれば違うデッキを握るという選択を行うこともありえます。

 輪廻転生デッキに対して相性がいいゆず日単が最近優勝(福岡フェスタ)したな、するとゆず日を握る人が増えるかもしれない。みんなそれは思っているはずだ。すると、そのゆず日で有利がつきそうであった輪廻転生デッキを握ろうとする人は減るかもしれない・・・。いや、まてよ。今自分がしている推定は輪廻転生にゆず日に強いという前提での推測だ。本当にゆず日は輪廻転生に強いのか・・・?まずこの事実を確かめなければどのデッキを握るのか決められないぞ!

 デッキの相性を正しく把握できるほど、その環境で自分の握るデッキ選択が有利になれる見込みがあるのですね。あるいはデッキの種類自体は決まっていても、メタパーツの組み込みの検討が正しくできるようになり、自分にとって有利な要素になってきます。

そもそもデッキ相性とはなにか

 実際の勝敗には握るプレイヤーという要素等も絡んできますが、デッキ相性というのはあくまでデッキの相性ですから、まずはデッキに完結した要素で考えなければなりません。

 デッキは60枚のカードで構成されています。そもそも60枚のカード自体は使い手を選ばずテキストは同じです。誰が使っても、同番号のカードは同番号のカードであって、効果は変わりません。つまり、60枚のカードが確定した段階で、そのデッキができることというのは完全に固定されます。できることをどれだけできるか、効果的にできるかは、プレイングと運に左右されますが、できること自体が変わることはありません。

 例の一つを示します。2018年12月頃の環境で特徴的だったのは、「AB単」が「MIX花単」に対して圧倒的に優位だったことでした。このABというデッキは、仲村ゆりというカードによる打点交換の優位性、音無 によるロングゲーム性能とハンド効率の優位性に加え、相打ちキャラの豊富さや相手の盤面に除去でさわれること、自キャラを能動的にどかすことができるための詰め射程といった要素をもち、その全てがMIX花単に対して強いデッキでした。詳細は私のブログなどでもう少し詳しくかいてあります。一応私のブログ記事へリンクをはっておきますので、御興味がありましたらどうぞ。情報としては古いのでご注意願います。あくまで考え方のサンプルです。

 (外部リンク)ヘルウインドだって反省するブログ「ABと花単で見る、「アドバンテージ」について」

 こういった、パーツ構成やそれに基づくデッキのゲームプラン自体が、あるデッキがあるデッキに対して有利かどうかが本来の意味でのデッキ相性です。だからこそ、デッキに投入されたメタカードがその相性差を変えることもあり、みんながデッキのパーツ構成に悩むわけですね。

 この記事の本筋の話とはズレますが、基本的にこのデッキ相性と異なる結果になった場合、よほどの「運」が絡んだか、あるいは「プレイヤー依存要素」が絡んだと推定されますので、そういった分析の下地としてもこの相性差の把握は必要になる重要な要素です。

大会の結果が純粋なデッキの相性を示すとは限らない

 リセというカードゲームは、前述のようにプレイヤーの各種技術が勝敗に影響することが多いカードゲームです。そのため、全く構築が同じデッキで、仮にドローしたカードが全く同じであっても、初心者と慣れているプレイヤーでは、試合中にたどる経過は勿論、勝敗の結果すら異なります。極論からすれば、試合結果だけを見てしまうと、「そのプレイヤーが上手かったから勝率が高い」のか、「デッキとしての相性が実際によいのか」は判断がつかないことがあります。

 例えば、一度こういった集計をしてみたことがあります。(数字が本旨ではないため、計算ミスをしていることや、情報抽出ミスがあるかもしれないので、数字の信頼性は一度無視して下さい)


 (*ここにある画像が、インターネットエクスプローラーでは正しく表示されないことを確認しています。原因はわかりませんので、できれば別のブラウザでご覧下さい)

 これは私が2018年でどういったデッキが入賞することが多かったかなどを見るために試みたものの一部ですが、こういった集計をしていくなか、明らかに飛び抜けて成績がよいプレイヤーがおり、こういった集計に含めるべきか悩んだ例がありました。そういった飛び抜けた成績を残すのは大抵の場合有名プレイヤーであるため、大会結果を閲覧するユーザーの目にもとまりやすく、相性の印象に大きな影響を与える可能性があります。しかしよく見てみると、比較的同タイプのデッキを使用した他のプレイヤーだけで集計した結果ではこのプレイヤーが当日勝利した相手のデッキタイプに負け越している場合もあります。もしかしたら、デッキが相性がいいわけではなく、そのプレイヤーだから勝てたのかもしれません。

 つまり、大会結果の閲覧で見えるものは、「純粋なデッキ間の相性」の有利不利ではなく、「プレイヤーに依存する要素」を含めた有利不利である可能性が高いということです。自分が欲しい情報が純粋なデッキ間相性であるならば、必ずしも正しく情報を得られない場合があります。

なぜ個人発信情報も見解が一致しないことが多いのか

 とはいえ、プレイヤーの各種技術というのは、一口に「上手い下手」といった全体的なプレイヤー評価だけでは語れません。というのも、仮に総合的な実力差があった場合でも、デッキに対する理解度の差で結果がひっくり返ることがあるからです。

 リセというカードゲームのプレイヤーには色々な方がいます。常に固定色を持ち込むプレイヤー、毎回違うコンセプトのデッキを持ち込むプレイヤーといった分類もできますし、違うデッキを持ち込むプレイヤーの間でも、常にトップデッキを持ち込むプレイヤーとそのトップデッキをあえて避けるプレイヤーといった違いがあります。ブログ等を執筆している方はトーナメントシーンで活躍するプレイヤーであることが多いですが、その方やその周囲の方がどのデッキについてどれだけ習熟しているかといった、調整環境には当然差があります。

    例えば、私は公式大会に向けて普段からよく調整している友人が複数居ますが、そのうちの数名で、今年のある時期に来たるべき公式大会に向けて「FGO宙とVA雪単はどちらが有利なのか」を議論し検証したことがありました。その時の検証の際に集まっていたメンバーは皆公式大会の入賞経験者で、いわゆる「上手い下手」で評価の差がでることはあまりないと思われるメンバーでした。ただし「デッキ傾向」は明確に異なっていましたが。

 あるプレイヤーは「FGO宙単の方が普通に有利でしょ」と述べ、私が「いや、そんなことはないだろう」と述べたため、検証のため対戦してみた結果2人が得られた結論は、「VA雪が特別に有利とまではいかないが、少なくともVA雪が不利ではない」でした。しかし、VA雪側のプレイヤーを変えて対戦してみたところ、FGO宙の勝率の方が有利と思われる展開が続きました。この現象の原因は明らかで、プレイヤー変更前にVA雪をにぎったプレイヤーは普段からVA雪を多く使用しており、後にVA雪を握ったプレイヤーは普段は全くこのVA雪を握っていなかったプレイヤーだったのです。横で見ていてもゲームプラン明らかに差があり、その差が勝敗に影響していたのは明らかでした。

 つまり、ブログやSNSによって見解が異なるのは、筆者の置かれている調整環境によって、こういったプレイヤー依存の部分がどうしても発生してしまうからです。筆者が高い成績を残すことが多いプレイヤーであれば信頼する!といった方も多いかもしれませんが、それでも多少は裏付けの吟味を行う必要は出てきます。

「具体的な単語が出てくる情報」を探せ

 ここまでの話を考えてみると、多くの情報はプレイヤー依存の要素が含まれていることがわかります。しかしこれは前述のように、当然のことです。では情報の受け手側は、どういったことを念頭においてその情報を吟味するべきでしょうか。

 「具体的なデッキパーツあるいはプレイングの根拠」、もっと簡単に述べれば「具体的な単語」です。

 「●●(カード名)が強すぎて勝てない」「相手の●●を除去しないと勝てないし、除去できても出し直されたら勝てない」くらいはSNS上でも見かける情報ですし、もっと具体的なプレイングの流れについて書いてあるブログも結構あります。まずはその具体的な情報を抽出し、その根拠を検証していくことが、遠回りに見えて有効な検証の仕方です。

 例えばもし貴方が、SNSかなにかで「ゆず月はオーガスト宙に勝てるよ」と聞きつけたとします。貴方は本当かを考えるため、4月に行われた東京フェスタの結果を調べてみると、ゆず月が勝っている試合もありますが、負けている試合のほうが多そうです。でも確かにブログによってはゆず月が勝てると書いてあるものもある。困って、とりあえず実際に自分で友達と試してみると、どうにもゆず月が勝てる気がしない。これはやっぱりゆず月がオーガスト宙に勝てるはずないのでは?でも結構有名なプレイヤーも勝てるってブログでいってるし・・・。

 ここで問題なのは、「ゆず月はオーガスト宙に勝てるよ」という情報の根拠を受け手が得られていないことです。「何を」「どうすれば」勝てるのか。さらに言えば、「どのくらい勝てる」といっているかも曖昧ですね。これでは情報を仕入れて検討していたつもりでも、実際に得られた具体性のある情報は大会で使用されたデッキの中身はまねられるくらいで、結局現状の自分達の知識やプレイングでどう思うかというところから脱却できていません。勿論ある程度慣れたプレイヤーであれば、デッキの中身を見ればなんとなく理由がわかる場合もありますが、逆に言えば慣れたプレイヤーですらわからない場合もあります。

 慣れたプレイヤーですらそうなのですから、慣れていない人であればあるほど行間の前提を読み取ることがうまく出来ないため、ぱっと見でわかりやすい「結論だけが書いてある情報」を得るだけでは、その情報を活用するのが難しい。は得られた情報から、具体的な根拠が出てくるものに一度絞りましょう。

なぜ具体的な根拠がついていない情報が多いのか

 ではどうして多くの情報には明確な根拠がついていないのでしょうか。色々なパターンがありますが、多いのは「わざわざそれを言わなくても前提としてわかるだろう」であるとか、初心者用に書かれているものでよくあるのは、「別にそこまで本格的な説明をしようと思っていないから」ですね。勿論中には「それを示してしまうと発信者に不利益があるから」という意識がある場合もありますが。

 身も蓋もないことをいえば、情報発信者がトーナメントシーンで勝つための努力をしているプレイヤーであるほど、当然ですが持っている情報を開示しすぎると自分に跳ね返ってくることがあります。私は(言わないけど)こういうプレイングをすれば勝てると思うけれど、全部を全部説明してしまったら、そのプレイングを警戒されてしまうでしょう?という話ですね。こればかりはもうなんというか当たり前も当たり前、そりゃそうだという話でしょう。

 ただ、他については別です。例えばゆず日と輪廻転生デッキの相性について論じる上でほぼ必ず話題になるのは、常陸眞子とアリスというカードが輪廻転生というイベントカードに対して高い耐性(簡単にいえば、破棄されずに逃げることが出来る)をもっていること。せっかく輪廻転生というハンドを5枚相当使用するイベントを使っても、ハンド3枚相当の破棄されずに済んでしまうキャラがい2枚もある(ハンド6枚分のキャラが残るのなら、それは当然厳しい状況になるでしょう。・・・ということを、SNSだとなかなか文字数的に触れるのは難しいですし、そもそもそこはわざわざ説明を要するところだとは考えていない場合も多いのです。読み手がかなり熟練したプレイヤーであれば説明しなくても伝わりますし、初心者にいきなり説明するには難しいところだからですね。

どのように具体的な根拠を活用するのか

 例を出してみましょう。

 初心者であるAさんは、Bさんと一緒に、来月にある東京フェスタ(公式大会)でどのデッキを使うか相談していました。AさんとBさんは、「ゆず日単は輪廻転生デッキにすごく有利だと世間話で話されていたのを聞いたし、福岡フェスタのようにオーガスト宙単にも勝てるみたいだから、これがいいんじゃないか」と思っていました。しかし、二人は実際にゆず日単を回したことがなかったので、Aさんがゆず日単を組み、Bさんの輪廻転生デッキと対戦してみました。

 その結果なんと、輪廻転生デッキのほうが普通に多く勝ってしまいました。少なくともゆず日単がそこまで余裕で勝てると思えません。おや、話が違う。2人はもう少し他の人の見解を集めてみることにしました。

 すると、「アリスと常陸の両方出されてどうやって輪廻が勝つのかわからない」「別に輪廻だって普通にゆず日勝てるでしょ、毎回アリスとか常陸がきれいにわいてくるわけでもないんだから」「アリスとか出されたら、奏で1点刻まないとさすがに輪廻勝てない」という、情報がそれぞれ集まりました。奏というのはおそらく2周年プロモの奏のことだろうと推定できましたが、当然ですが全ての情報が本当かどうかはわかりません。

 もしこの全てが正しいとすると、「アリスと常陸の両方が出たらゆず日が勝つが、出てこなければ輪廻が勝てるし、出されても奏を出せていれば勝てる見こみはある」ということになります。2人は実際に、アリスを出した場合、常陸を出した場合、両方出せた場合や、輪廻側が奏を出すパターンと出さないパターンでやってみることにしました。その結果・・・。

 これが、具体的な検証方法の流れの一つです。なお、あくまで上記はただのこの文のためのサンプルであって、私が実際に見かけたものではないですのであしからず。

 ところでもし仮に、「アリス」「常陸」「奏」といった根拠情報が一切入ってこなかった場合、つまり「「ゆず日が基本勝つでしょう」「いや、輪廻が勝てるわ」「さすがに輪廻勝てない」とかしか情報がなかった場合、2人は果たして十分な検証ができていたのでしょうか・・・。

情報の鮮度に気をつけて

   あと一つ、念のために注意を促したいことが、「その情報が出てきた時期」です。このカードゲームは新弾の発売が2ヶ月くらいのスパンで行われていますが、その2ヶ月の間ですら、1回の公式大会を挟む毎にデッキの相性認識が目まぐるしく変わることが多いです。これは構築の変化、プレイングの熟練などによって起こるものなので、むしろ起こること自体は健全なことです。よって、そろそろ次の弾が発売になるかなというくらいの時期に、発売直後の時期の情報を拾い上げても、参考にならないということは起こりえます。できる限り直近の情報を集めるべきですが、逆に少し前の情報と比較して、なぜそういった違いが起こったかを検討してみるのも、当記事の本筋とはそれますが上達の一つの方法です。

まとめ

 長くなりましたので最後に簡単にまとめてみましょう。

 ・デッキ相性の把握は環境読みで重要な要素

 ・デッキ相性自体は本来デッキの中身だけで決まる

 ・デッキ相性だけで勝敗がつくわけではない。逆に言えば勝敗からだけではデッキ相性を把握できるとは限らない

 ・デッキ相性の情報を得るときには、ある程度具体的な単語が出てくるものを探す

 ・情報が現在も有効なのか、時期に気をつける

おわりに

 少し長くなりましたが、少しでも考え方の参考になれば幸いです。

 なお、筆者はこのようなnote以外に、このようなひたすら長い、理屈っぽいブログを更新しています。ご興味がありましたら暇つぶしにご覧頂ければ幸いです。

 (外部リンク)ヘルウインドだって反省するブログ


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