見出し画像

『光る校庭』

去年から、上映会や映画祭で上映されていたけど予定が合わず行けてなかった『光る校庭』が12/1から公開ということで、早速行ってきました。
お昼は仕事があるので、夜の舞台挨拶回です。
12/1と言えば「映画の日」ですが、イベント上映のため割引適用外!
ムビチケを購入し、予約開始後に即予約しました。
今月は毎週末忙しすぎて、この回しか予定が合わなかったんです。
また行けないんじゃないかと思ったよ!
舞台挨拶に登壇されたのは、比嘉監督・翼のお母さん梓役の里園侑希さん・主題歌『描くヒカリ』の大平伸正さんの3人です。

ストーリーに全く関係ないですけど、ともや・つばさ・のぞみって3人の子供たちの名前にめっちゃ反応。
擬似トップコートできとる(笑)
つばさに至っては、フルネームが”西川翼”で途中その名前が見切れてるカットがあり『川 翼』だけが見えてて、私の頭ン中では完全に”中川翼”に変換されてたよね。
夫は、つばさ・のぞみって新幹線??って言ってましたけど「ともやどこ行った??」ですよ。

子どもが考える『死』とは

「人って死んだらどうなるの?」
この映画の象徴的な智哉のセリフです。
智哉は父親を亡くしていますが、増水した川に流され行方不明のまま7年が経過したいわゆる失踪宣告です。
いなくなった時はまだ未就学の年齢で、父親の『死』と言われても何だかよく分からないですよね。
ある日を境に「お父さんは死にました。」と言われても、昨日までだってお父さんは居なかったわけだし。
そしてそれを切っ掛けに母親の地元である豊田市に引っ越してきたわけです。
そこで出会った翼には重い持病があり、周りの大人たちやクラスメイトからは腫れ物の様に扱われていました。
つまらなそうな翼と、そんな周囲に違和感を覚える智哉。
智哉は母親から「どうすべきかじゃなく、どうしたいか」を考えてと言われて育ちました。
それで、自分の「どうしたいか」だけじゃなく、相手が「どうしたいか」も考えられる子なんですね。
だから、翼が本当はみんなと同じように走りたいし遊びたいという事に気付きます。
周りの人間は何かが起きたら困るからと翼には何もさせず誰も翼を見ていない。
その方が楽ちんなんですよ。
何も起きなければ責任も生じないしね。
「優しい自分に酔う」ことだってできる。
実際、翼が倒れたのは智哉のせいだとイジメも始まります。
担任までも智哉を突き放し気味。責任取りたくないんだね。
そんな状況の中で「死ぬ」とはどういう事かを考える智哉。
入院している翼の元に毎日通います。
クラスでイジメられていることを翼に話して笑い飛ばします。
毎日会いに行ってたのは翼のためでもあるけど、智哉自身が翼に会いたかったんだと思います。
この作品で私が一番好きなシーンがここにあります。
眠り続ける翼をベッドの柵にもたれて、点滴のチューブを爪でカリカリ音を立てていじってる智哉。
妙にリアルでカリカリ鳴ってるのが「翼起きてくんないかなぁ」に聞こえました。
それにしても智哉はブレない子ですね。
何が起きても翼がやりたいことを感じ取り、自分がやりたい事をやる。
翼を元気付けるためにお見舞いに行っているように見えて、実は自分が励まされてたり、翼の体調が悪くなってから会うのを拒否られても通い続けてました。
「死」とはどういう事か、智哉なりに一所懸命に考え受け止める姿が頼もしかったです。
そして、行方不明のまま失踪宣告となった父親のこと。
智哉の母親と3人でお父さんを探しに行く約束をしていました。
きっと智哉はお母さんがお父さんの死を受け止めきれていない事を感じ取っていたんだと思います。
幼さ故に言葉にできなくても、人の心を感じる事が出来る子なんですね。
智哉と翼が一緒にいられたのはほんの数ヶ月。
この数ヶ月は智哉にとって掛け替えのない経験になったと思います。

ロケ地のお話

全編豊田市ロケということで、映し出される景色が見覚えがあるところばかり。
冒頭の空撮(ドローン?)は、矢作川沿いの堤防道路。
長興寺辺りから北へ向かってますね。
長興寺とは、よく教科書に載っている織田信長の肖像画があるお寺ですよ。

監督がおっしゃったように、小学生が古瀬間から広瀬まで自転車移動?とか、足助病院⇒浄水駅⇒広瀬ってどんだけワープしてんの?という地元ならではのツッコミも(笑)
というか、浄水駅って半地下で電車が見えないし、何も知らないとあの画角は駅に見えないんですよね。
あそこ昔はブタクサしか無かったのに…
足助病院は『僕と彼女とラリーと』(2021)でも使われていましたね。

光石研さんが「おじいちゃん」って呼ばれるのを初めて見た気がします。
ずっとお父さんのイメージでした。
いつの間にか孫がいてもいいお歳だったんですね。
それにしても愛車が黄色のMR-Sって凄いです。
そんなおじいちゃんが孫を乗せてドライブで行ったお店が「物豆奇 五番館(ものずき ごばんかん)」でした。
あのお店、実は…と、私の黒歴史は自粛します(滝汗)
2人で特大オムライスを食べてましたけど、撮影用の特別メニューではないですね。
物豆奇は元々量がバグってるお店です。
あの時、物豆奇を選んで智哉を連れて行ったのは、セリフ通り「いっぱい食べて元気を出して欲しい」というおじいちゃんの気持ちなんですよ。
だから、あのシーンを豊田市で撮ったというのはちゃんと意味があるんですよ!!(光石さんのマネさーん!)

主題歌『描くヒカリ』

上映後に舞台挨拶があったわけですが、この作品の主題歌を担当された大平伸正さんが登壇されていて、『描くヒカリ』を生歌で披露してくださいました。
映画鑑賞後の余韻もありましたが、この曲めっちゃ刺さります。
薄っぺらい言葉しか書けなくて悔しいです。
生歌聴きながら泣いてました。
そしてCD買いました。
発送通知が来てたので、数日中に届くと思われます。
CDなんて買ったの何年振りだろ。
とにかく素晴らしい曲です。

大平伸正さん
比嘉監督と里園侑希さん

いつか

とても重たいテーマを取り上げつつ、最後にはフワッと軽い気持ちにしてくれるそんな作品です。
比嘉監督が作る次の作品が楽しみです。
そしていつか、映画が好きすぎて役者をやってるような長谷川博己さんを撮っていただきたいです。
合うと思うんだけどなぁ。
私の願望入りすぎかなぁ。
ただの願望だよなぁ(笑)


#光る校庭 #比嘉一志 #里園侑希 #大平伸正 #豊田市  

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?