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宿坊での勤行

 (見出し写真は不動明王。
  世の業魔を断つためにわざと怒って見せてる姿だから、
  頭のてっぺんに蓮の花乗ってんの。
  ちょっと可愛くない?)

 宿坊では大抵、
 寺院によっては朝早くから勤行が為されているので、
 宿泊された方もどうですか、参加されませんか、
 と勧められる。

 私とてお勧めしないわけではないが
 (基本宿泊客の幸運と道中の安全も祈願してくれているので)、
 初めて泊まる方向けに諸注意を申し上げる。


1、ざっくり一時間はかかるぞ侮るな

  なぜならここは寺院であり、
  宿の主人は御住職であり、
  朝に限らず幾多の勤行こそが本職であるからだ。

  我々は僧侶の仕事を拝見させてもらっている立場だ。
  お子さん連れの場合などは特に、
  「長くかかる」事くらいは言い含めておいた方がいい。

2、輪袈裟に数珠は必需品、じゃない

  持っていたら身に着けておいて良いけど、
  普段持たない人まで急に手に入れる必要は無い。
  単に「ある程度仏教を心得ている」印なので、
  持っていると少々困る事にも遭いかねない(後に記す)。

  ブレスレットはたとえパワーストーンであっても、
  「数珠」という名称で売られてあったとしても、
  数珠ではないから気を付けろ!

  左手の手首に掛けた上で、
  垂れている房を手の内に握り込める長さは必要だ。

3、床への正座が礼儀、ではない

  正座してない奴に目くじら立てるほど、
  周囲の人の目はともかく仏様は心狭くない。

  とりわけ御住職から椅子席を勧められた場合は、
  速やかに端まで詰めて座りに行った方が良い。

  貴方は若くても健康でも、
  宿泊客の中には足の悪い方がいるかもしれない。
  その方々が椅子席に座りにくくなるからだ。

4、お焼香に率先して立つ奴はあまりいない

  読経の途中でお焼香を促されるのだが、

  御住職はもちろん読経の真っ最中なので、
  「そちらの方から順に」などと、
  具体的に声を掛ける余裕は無い。
  (と言うより読経中で出来ない。)

  輪袈裟に数珠を持っていて、
  尚且つ最も端の席に座っている奴が、
  動かない事にはどうにもならない。

  もしかしてその立場になったとしても、
  特に動じる必要は無い。

  ①お焼香台の前に移動して、
  ②お香の粒を指につまんで、
  ③つまんだお香をひたい辺りに掲げて、
  ④お香を煙の中に入れる。
  ⑤正式には②〜④を3回繰り返すんだけども、
   まぁ1回はやっときゃ、
   他人の分はそんなに細かく見てる奴もいないし、
   気にしなくていいよ。
  ⑥最後に両手合わせて頭下げときゃ格好は付く。

5、真言は覚えなくても良いけど目は通しといて

  ずーっとひたすら何のお経かもどこの部分かも分からない、
  御住職の読経を聞き続けているから、

  真言が出てくるとホッとする。
  もうそろそろ終わりだって合図にもなるし。

  いきなり合わせて唱え出す、
  他の宿泊客にビビらなくて済む。

  そうなの。檀徒さん達お経はともかく、
  真言は割と子供のうちから聞き覚えてるの。
  信仰心とか偉いと言うよりは、
  「ハイエロファントグリーン!」とか、
  「水の呼吸、参の型、流流舞!」みたいな感じで。


以下、念のためよく聞かされる真言一覧

 仏のインドでのご本名、くらいに思っといて下さい。
 (厳密にはもっと色々あるけど初めて行く人向けに。)

  不動明王真言
    のうまく さあまんだ ばざらだん
    せんだまかろしゃだ そわたや
    うんたらた かんまん

  大日如来真言
    
おん あびらうんけん ばざらだとばん

  光明真言
    
おんあぼきゃあ べいろしゃのう
    まかぼだら まにはんどま じんばら
    はらばりたや うん

  弘法大師御宝号(←日本人なので「真言」ではない)
    
南無大師遍照金剛
    (なむ だいし へんじょう こんごう)

     注意:
南無阿弥陀仏、や
        南無妙法蓮華経、がしっくりくる人は、
        無理に唱えなくて良いと思います。

        私も正直南無阿弥陀仏派なんですけども、
        真言宗にも徐々に馴染んできたので、
        周りに合わせて一応口くらいは動かしてます。


高野山の旅まとめ    

  

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