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告白水平線理論【毎週ショートショートnote】

 九州は陸の孤島に生まれ育ったのだが、水平線を見られた事は生涯に二、三回しか無い。
 と言うのも三十分も車を走らせれば容易に海が臨める環境に住み着くと、視界に一切の島影も入らない、完全水平線しか「水平線」とは認識しないからだ。
 人によっては漁船影すら認めなかったりする。
「本日は雲一つ無い青空に恵まれ」
「雲あるやんあっこに」
 の海版みたいな感じに。
 そうしたわけで水平線が見渡せる某岬が、「恋人の聖地」などと呼ばれたり、この場所でしかも夕陽を眺めながら告白したカップルは、永遠に結ばれる、といった伝説が生まれたり、鐘が鳴らせたり南京錠が掛けられたりする展望台が設けられたりもするのだが、
 そうした岬まで行ける交通手段など車しか存在しないので、付き合っている事など両者ともに認識済み。親や友人たちからも公認の仲であり、
 そこで夕陽なぞを眺めた時点で結ばれない事など有り得ない。お誂え向きに、寄り付ける島影も見当たらないのだ。


(410文字)

 同時に名所にもなる。自らの意志かどうかも分からん。
 ちなみに理性的だからこそじんわりした恐怖を演出。

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