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命乞いする蜘蛛佐竹【毎週ショートショートnote】

 生き延び切れさえすれば良い。
 たとい我が身は失おうとも、蜘蛛の糸筋の如きか細さであろうとも、後の世に血脈さえ繋ぎ得ればそれで良いのだ。
 太陽に挑み掛かり焦がれ死んだ、蜂の武蔵の二の舞は踏まぬ。

 結果として誰もが即座に思い浮かべ、その功績を並べ挙げては憧れとして物語るような、世人の覚えに聞こえが目出度き存在ではないけれども、秋田から九州に至るまで、仕えた主君が破れても、家名や領地を変えたとしても、昨今は伊予国への甚だしい失言により叱られたとしても、「殿のご乱心」と民衆側から相手先にすかさず詫びを入れてくれるほどに、血筋を広げた佐竹氏が、私には一種の理想である。
 それこそが愛でなくて何であるか。愛は我が国において決して美しくも正しくもないが、それで一切構わないものだ。とりあえず命は繋がり飯が食える。
 余談だがじゃこ天は実に旨いから侮るな。侮った分は必ず侮られる。これだけは何処の誰であれ世の真理だ。


(403文字)

 お題をタイトルに書き込む流れで、次に思い浮かんだ単語を、なるべくそのままくっつけたそのイメージから、即興で書いている。
 なぜ「佐竹」が浮かんだのか自分でも分からんよ。


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