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覆面編集者プロジェクト。プロの漫画・小説編集者が所属会社を超えてウェブ作品を褒めちゃう活動をしています! 【Twitter】https://twitter.com/henshu_ckr

マガジン

  • 覆面編集が特に褒めたいnoteコレクション

    これはいいnote!と覆面編集者が褒めたコンテンツをピックアップします。

  • 創作者/ライターに役立つ! 覆面編集オリジナルコンテンツ

    大手出版者編集者(ビジネスライトノベル&キャラクター小説担当)・フリーランス編集者(ティーンズノベル担当)が創作者(作家、漫画家、イラストレーター)やライターに役立つ情報をお届けします!

  • 投稿されたnoteを褒めあう座談会

    第一回が5月中旬開催予定です。 showroom中継を予定しています。

  • 『爆破ジャックと平凡ループ』制作過程を大公開!

    作家&作家志望者&編集希望者&編集者必見!! 1月25日(木)から覆面編集者マガジンにて連載スタートする『爆破ジャックと平凡ループ』(第2回覆面編集者コンテストにて受賞した新進気鋭の受賞作家「如月新一」が贈るタイムリープ・スペクタル!)。 その制作過程を大公開。如月新一と、覆面編集ツッツー、その他覆面編集メンバーの生のやりとりが見られます。

  • 爆破ジャックと平凡ループ 如月新一

    如月新一×コルクラボ覆面編集者が送る連載小説「爆破ジャックと平凡ループ」。毎週木曜夜・日曜夜更新です!(全25回)

最近の記事

如月新一「爆破ジャックと平凡ループ」#25-15周目 行け! 行け! 行け! 行け! 行け!

「友達になろう!」  車内に声が響いた。声の主を見る。四方山が両手をぎゅっと握りしめ、辛そうに眉を歪めている。もう一度「私と、友達になろう!」と言った。 「でも、僕、爆弾テロ犯ですよ。おじいさん、警察なんじゃないんですか?」 「元警察だ。それに、君は一人なんだろ? 友達がいないんだろ? 家族といても息苦しいんだろう? だったら私と友達になろう。将棋を一緒に指してくれる相手が欲しかったんだ」 「将棋、知らないですよ」 「私が教えてあげるから」 「そんな、僕なんか」 「君は、

    • 「毎日」を物語に生かすコツ(後編)/如月新一

      「爆破ジャックと平凡ループ」の連載も残り後残り1回。いよいよ明日が最終回となりました。 連載までのカウントダウンを記念し、作者の如月新一さんに、小説を書くにあたり日ごろから意識されていることをお伺いしました。 前編はこちら。https://note.mu/henshu_ckr/n/nb5822b7bc51e 言葉で消化できないことを物語にする自分の場合、物語を動かすエンジンは「テーマ」ですね。時代に対して感じていること、がテーマになりやすいです。あとは、言葉で消化できない

      • 如月新一「爆破ジャックと平凡ループ」#24-15周目 俺が、このバスをジャックした!

         ドアが開き、バスジャック犯が乗り込んでくる。 「乗って来るんじゃねえぞ! おい、運転手! バスを早く出せ!」  そう言って、岡本が四方山を人質に取っていた。四方山が人質のパターンは初めてだな、さすがに現役を退いたから咄嗟に逮捕術は披露できないものか、と思っていたら、後ろから「ホントだ」と声が聞こえた。  振り返ると、そこには咲子さんが立っていた。 「なんで下りてないの?」 「見守ってあげようと思って」  プレッシャーだなあ、と苦笑しながら俺は歩み始める。岡本が、「

        • 如月新一「爆破ジャックと平凡ループ」まとめ~15-1周目までのおさらい!

          現在好評連載中の如月新一「爆破ジャックと平凡ループ」。連載も残すところ本日夜の更新を含めて後2回。これまでに判明している登場人物の紹介と、15週目までのリープの結末をダイジェストでお送りします! ■あらすじ平凡なアラサー男が、特別な力を手にした時に起る奇跡の逆転物語。主人公はバンドマンになるという夢破れた営業マン。ある日バスジャック事件に巻き込まれる。何度も“やり直し”を繰り返して明らかになって行く真実。主人公は元恋人を救うべく事件に挑んでいく! ■登場人物俺(森田林悟)

        如月新一「爆破ジャックと平凡ループ」#25-15周目 行け! 行け! 行け! 行け! 行け!

        • 「毎日」を物語に生かすコツ(後編)/如月新一

        • 如月新一「爆破ジャックと平凡ループ」#24-15周目 俺が、このバスをジャックした!

        • 如月新一「爆破ジャックと平凡ループ」まとめ~15-1周目までのおさらい!

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        • 覆面編集が特に褒めたいnoteコレクション
          15本
        • 創作者/ライターに役立つ! 覆面編集オリジナルコンテンツ
          9本
        • 投稿されたnoteを褒めあう座談会
          5本
        • 『爆破ジャックと平凡ループ』制作過程を大公開!
          5本
        • 爆破ジャックと平凡ループ 如月新一
          24本

        記事

          如月新一「爆破ジャックと平凡ループ」#23-15周目 一つだけお願いしていい?

           あかいくつバスを見ながら、途方に暮れる。  テロ犯の生い立ちは壮絶だった。俺が一体なにをすれば、彼を止められるだろうか。彼のスマートフォンを取り上げても、きっとタイマーでバスは爆発する。  神様が何故俺にこの力を授けたのか知らないが、俺にまだ立ち向かえと言っているのだろうか。  俺はいつの間にかバスに乗り込み、咲子さんの隣に腰掛けていた。咲子さんが顔を上げ、口を開く。 「森田くんじゃん、久しぶり。何年振り?」 「五年ぶりだね」 「なんだか、様変わりしちゃって、びっく

          如月新一「爆破ジャックと平凡ループ」#23-15周目 一つだけお願いしていい?

          「毎日」を物語に生かすコツ(前編)/如月新一

          「爆破ジャックと平凡ループ」の連載も残り後残り3回。 連載までのカウントダウンを記念し、作者の如月新一さんに、この物語を紡ぎだした原体験をお伺いしました。「爆破ジャックと平凡ループ」を書いたわけ、そして個性溢れるバスの乗客達に込めた思いをぜひお楽しみください! 普通を普通にできる。それだけで、すごい今回の小説のテーマは「平凡」です。普通を普通にできるってそれだけですごいことだぞ、平凡舐めんな! と営業マンを見たりして、日々感じていたから、それについての批評になっていると思

          「毎日」を物語に生かすコツ(前編)/如月新一

          如月新一「爆破ジャックと平凡ループ」#22-14周目 君が犯人だったのか

           十二月の風にも慣れたな、と俺は思わず笑みをこぼす。  目の前にはあかいくつバスが停留している。親父が「乗るのか? 乗らないのか?」という視線を向けてくる。俺はパスケースをタッチして清算をしながら、親父を見つめる。  親父と目と目が合う。 「お疲れ様」  そう言って、俺は歩を進める。菜々子嬢のコーヒーが、スーツのすそにかかる。 「すいません!」  不安の滲んだ顔で俺を見る菜々子嬢と、その隣にいる町山をそれぞれ見てから、「気にしないでくれ」と言って、進む。  後部

          如月新一「爆破ジャックと平凡ループ」#22-14周目 君が犯人だったのか

          如月新一「爆破ジャックと平凡ループ」#21-13周目 浮気調査探偵の名推理

           十二月の風にも、もう慣れた。バス爆発のせいで暑かったり寒かったりで、体がおかしくなりそうだ。  目の前のあかいくつバスが、可愛らしいデザインなことにも、妙な苛立ちを覚える。  あかいくつバスに乗り込む。  バスジャック犯の目的と、乗り込んで来るまでの経緯はわかった。彼には病気の妹がいて、その手術費用をなんとかしようとしていただけで、もともとバスジャックをするつもりはなかった。  そしてバスジャック犯と爆弾テロ犯は別だった。叶と名乗った男の予想が正しければ、爆弾テロ犯

          如月新一「爆破ジャックと平凡ループ」#21-13周目 浮気調査探偵の名推理

          如月新一「爆破ジャックと平凡ループ」#20-12周目 ただの釣り人じゃないでしょう?

          「おい釣りバカ、お前こっちに来いよ!」  バスジャック犯が、クラスでひとりぼっちの生徒に声をかけるみたいに、釣り人に声をかけた。いや、釣り人の格好をしているだけで、本業は別にあるということを俺は知っている。  釣り人は、自分が指名されているとは気づいていない様子で窓の外を眺めている。さすがに、自分は無関係だと思っているだろうし、このままバスジャックが解決されないと、クーラーボックスの中に死体が入っていることがバレてしまうのではないか? と考えを巡らせているのだろう。 「

          如月新一「爆破ジャックと平凡ループ」#20-12周目 ただの釣り人じゃないでしょう?

          如月新一「爆破ジャックと平凡ループ」#19-12周目 そのお金、どうにかできるかもしれませんよ

           十二月の風が吹き抜ける。泣きはらしたことによるダメージが残っていないのが、救いだった。目の前に停車しているあかいくつバスに乗り込み、「お疲れ親父」と声をかけ、パスケースをタッチして清算をすませる。  菜々子嬢のコーヒーをかわして、咲子さんの隣に座る。 「森田くんじゃん、久しぶり。何年振り?」 「五年ぶりだよ。ちょっと大事な話があるから、後ろの席にいかないか?」 「いいけど、わたし次で降りちゃうよ?」 「すぐに済むから」  そう言って誘い出し、バスの最後部座席へ移動する

          如月新一「爆破ジャックと平凡ループ」#19-12周目 そのお金、どうにかできるかもしれませんよ

          如月新一「爆破ジャックと平凡ループ」#18-11周目 俺はただの運転手じゃない

           目を開けると、あかいくつバスが停車している。  どうやら、神様は俺を逃がしてくれるつもりがないらしい。  じっとバスを見つめる。  重い足取りで、バスに乗り込んだ。パスケースでタッチをして清算を済ませ、運転手のそばに立つ。  バスが扉を閉めて、ゆっくりと発車する。  俺はバスをよく利用する。景観が良いからでもあるし、パワハラ上司に会うまでに遠回りをしたいからでもあるが、なにより父親が乗っているからだ。 「なあ親父」と声をかける。  俺が九歳の時に、父親の浮気が原因

          如月新一「爆破ジャックと平凡ループ」#18-11周目 俺はただの運転手じゃない

          如月新一「爆破ジャックと平凡ループ」#17-10周目 一番くだらねえクソッタレな人生

           十二月の風が、今度はなんだかやけに染みた。目の前のあかいくつバスに、もう乗らなくてもいいんじゃないか、という気さえして来る。  別に、彼女を救ったから、どうこうということを期待していたわけではない。困っている人がいたら、助けたい、という気持ちに近い。そう思っていたのだが、俺はやはり、咲子さんを助けて彼女に優しくされ、感謝されたいと思っていた。  それが、蓋を開けてみたらどうか。  彼女を助けるために行動していたのに、彼女はバスジャック犯になり、昔のことまで引っ張り出さ

          如月新一「爆破ジャックと平凡ループ」#17-10周目 一番くだらねえクソッタレな人生

          『爆破ジャックと平凡ループ』感想&イラスト大募集!

          如月新一『爆破ジャックと平凡ループ』、残す所とうとう9回となり、衝撃の最終回へ向けて盛り上がってまいりました。そこで新企画! 感想&イラストを読者のみなさまから大募集して、更に盛り上げていきたいと思います!! 1.感想募集について 『爆破ジャックと平凡ループ』に関する感想を大募集! ご感想をいただいた方の中から抽選で5名の方に、連載終了後、本作品電子書籍化の際の特典のひとつを予定している『爆破ジャックと平凡ループ』のプロットをプレゼントします!できあがった本編とプロットを照

          『爆破ジャックと平凡ループ』感想&イラスト大募集!

          如月新一「爆破ジャックと平凡ループ」#16-9周目 選手交代でバスジャック

           世の中で知らないうちにバスジャックブームでも起こっているのだろうか。  君が爆弾テロ犯だったのか? と目眩がし、膝から崩れ落ちそうになる。  何故なのか? 俺と別れてから変な宗教にハマってしまったのだろうか。 「咲子さん、なにしてるの」 「見てわかるでしょ? 選手交代でバスジャックしてるのよ」 「なんでまた。どうしたんだよ」 「とにかく、誰も動かないで!」 「俺になら教えてくれてもいいじゃないか」 「私とあなたはもう終わってるのに?」  そこまで冷たいことを言われるとは

          如月新一「爆破ジャックと平凡ループ」#16-9周目 選手交代でバスジャック

          如月新一「爆破ジャックと平凡ループ」#15-9周目 ユーチューバー登場

           バスジャックに爆弾テロに死体と来たものだ。このバスに宇宙人や超能力者が乗っていても俺は驚かんぞ、と思ったけど、俺は自分が超能力者のようなものか、と気づいて大きくため息を吐いた。  なにがどうして、こんなトラブルに巻き込まれているのだろう。  昼過ぎの商談さえ成功していれば、このバスに乗らずに済んだのに、と思ったけど、俺が乗らなかったところでこのバスではジャックとテロが起こる。  このバスには別れたとは言え、咲子さんも乗っているし、駆け落ちカップルにも多少の情が湧いてし

          如月新一「爆破ジャックと平凡ループ」#15-9周目 ユーチューバー登場

          如月新一「爆破ジャックと平凡ループ」#14-8周目 開けたら終わりのクーラーボックス

           同じ時間を繰り返し、同じバスに乗り、バスジャックに遭っている。  だけど、バスジャック犯と組んで、事件を解決しようとしているのは初めてのことだ。 「で、お前はどいつが怪しいと思うんだよ」  岡本に訊ねられ、そうですね、と俺は口を開く。 「あのギターケースとクーラーボックスは怪しいですよね」  なにしろ、バスを吹き飛ばすくらいの爆弾だから、サイズもあるだろう。  くしゃくしゃ頭の男、立花は城ヶ崎家に雇われた探偵であるから、おそらく違うだろう。でも、念のため、確認して

          如月新一「爆破ジャックと平凡ループ」#14-8周目 開けたら終わりのクーラーボックス