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「異彩を、放て。」 株式会社ヘラルボニーのミッション・バリュー決定の裏側。

株式会社ヘラルボニーは、このたびミッション・バリューを策定しました。その裏側を、じっくりとご紹介させてください。

今回、僕ら双子の実現したい未来をヒアリングし、ミッション・バリューを策定してくれたのは、「愛はあるか?」が企業理念のクリエイティブ・エージェンシー「PARK」代表/コピーライターの田村大輔氏。ヘラルボニー代表・松田崇弥の前職である、小山薫堂氏率いるオレンジ・アンド・パートナーズの先輩です。

ミッション・バリュー策定の目的

私たちは、「福祉」という村社会のボーダーを超えたい。

知的障害のある人が「できない」ことを「できる」ようにするのではなく、「できない」という前提を認め合う。社会のために彼等を順応させるのではなく、彼等の個性のために社会が順応していく。そんな社会づくりのために、株式会社ヘラルボニーは始動しました。

まだまだ、知的障害は、庇護対象・同情されるべき対象と考える人たちがいます。けれど僕らは、彼らならではのこだわりや脅威的な集中力が、社会に新たな彩りをもたらす柱となると確信しています。そこに大きな乖離がある現代社会において、僕らが「福祉」という領域を拡張していくには、福祉業界内及び、社会全体の意識改革が必要でした。
そこで、まずはヘラルボニーが考える価値観を社会に向けて一言で語りたいと考え、今回のミッション・バリューの策定をお願いしました。

ヘラルボニーのミッション・バリュー

●MISSION | 私たちのミッション

「異彩を、放て。」

●VALUE | 私たちのバリュー

「アソブ、フクシ。」

1. 福祉領域を、拡張しよう。
2.多者の視点で、思考しよう。
3.クリエイティブに、はみだそう。

ヘラルボニーのミッション・バリューができるまで。

❶ 福祉業界の「外」に向けて意志を示す

僕らは福祉業界「内」でのイノベーションを実現するために、まずは福祉業界「外」の理解や共感の獲得を目指します。
企業・自治体・団体・個人の課題を洗い出し、仮説を立て、福祉を軸とした社会実験を共創し、業界の「外」で価値を示すことにより、業界の「内」に話題を逆輸入させるという考え方です。

❷ クリエイティビティは、コピーの佇まいで表現する

福祉業界の世界に「クリエイティブ」という文化を根付かせたい。けれど、「クリエイティブ」と言ってもその定義は曖昧だし、みずから宣言するものでもない。そこで、「クリエイティブ」という言葉をよりわかりやすく、自分たちの行動の指針になるような形で、「福祉実験ユニット」という自己定義ワードや、「アソブ、フクシ。」というバリューを開発していきました。

❸ 既存の福祉業界を批判するような表現は避ける

「ヘラルボニー」は、障害をあえて特性と言い切ることで、違う視界から、違う世界を、社会に向けてプレゼンテーションできると信じています。カラフルな個性を纏う彼らだからこそ、生み出せる魅力があります。そのポテンシャルを信じているからこそ、既存の福祉業界と協力し合いながら、全体の意識変革やボトムアップを果たしていきたいと考えます。

PARK代表/コピーライター 田村大輔氏より

福祉に限らず、多くの社会的な問題は、「配慮」や「事情」という名のオブラートに包まれて語られている気がします。
その結果、なかなかリアルが見えず、遠い世界の話に思えてしまう。

そんな中、彼らはオブラートを取っ払って、知的障害のリアルを発信する存在だと感じました。
福祉だって、もっと自由でもいい、もっと楽しくてもいい、もっと攻めてもいい。
人々が興味を持ち、感情移入して、知的障害への理解が進むのであれば、思い切って仕掛けていく。
そんな気概を彼らから受け取り、自己定義としての「福祉実験ユニット」や、それに相応しいミッション・バリューをつくっていきました。

彼らの実験は、福祉の可能性を広げる実験であり、知的障害を取り巻く先入観を壊す実験でもあると思います。これから、いろんな賛同者が加わり、その実験が加速していくことを願っています。

< PARK 概要>
ブランディングを主な領域として、企画/コンセプト立案から、デザイン/コピーライティングまで手がける。企業理念は「愛はあるか?」 http://parkinc.jp/

はじまる、福祉実験ユニットの挑戦

自閉症、ダウン症、障害者手帳、福祉施設、知的障害のある方々の生活には、多くのボーダーで溢れています。僕らは声を大にして言いたい。呼称・枠組(ボーダー)に固執する必要はまったくないと。
ヘラルボニーがいちばんに伝えたいのは、個々人の「ストーリー」です。
僕らは、個人にフォーカスし、個々の良さ、面白さ、そしてストーリーを魅せていきます。普段、街で何気なく目にするアートにも、パンにも、雑貨にも、彼らだから描き出せる独自の世界観が投影されており、店頭に並ぶまでの道のりがあるのです。
そんな彼らをPARK・田村大輔氏と共に「異彩」と定義しました。福祉業界が言えなかったこと、社会が言えなかったことを、僕らは先陣を切って叫び続けます。
株式会社ヘラルボニーは、さまざまな「異彩」を、さまざまな形で社会に送り届け、福祉を起点に新たな文化をつくりだしていく福祉実験ユニットです。
ぜひ、僕らの今後の社会実験にご期待ください。

●株式会社ヘラルボニー|公式WebSite
福祉実験ユニット・株式会社ヘラルボニーの公式ウェブサイトにも、PARK・田村大輔氏と共に考案した、ミッション・バリューを掲載しています。
http://www.heralbony.com



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