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陽だまりの粒

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陽だまりの粒(最終回)

陽だまりの粒(最終回)

1990年10月14日(日)AM10 : 00
「ホントに一関まで迎えに行ったらしいね」
楽器店の前に立っていた敬子は和彦が運転する車から下りてくるスニーカーズのバンドメンバーを眺めて美香に喋った。
「宮古から一関まで何時間かかる?」
美香は敬子に聞き返してみたら「高速使って3時間、高速使わないで4時間」
「えぇ〜じゃあ雪野のん何時に起きてんだろう?」「たぶん3時とか…だろうな」

車の後部から楽

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陽だまりの粒(拾)

陽だまりの粒(拾)

咲が怒って午後の授業をサボる為に昼休みに学校から抜け出したすぐ後に、咲のクラスメイトの友人である貴代と優子が咲を追いかけて来て一緒に授業をサボる事にした。
赤トンボの群れが飛ぶ青空の下で自転車を漕ぐ三人だが、「貴代ちゃんも、優子ちゃんも授業サボるの初めてでしょ?」咲はちょっと気が大きくなって二人に聞いてみた。
「初めてだからちょっとワクワクする」貴代がそう言って笑うと、咲は「明日学校に行ったら一緒

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陽だまりの粒(玖)

陽だまりの粒(玖)

咲が和彦と初デートをした次の日の昼休みのこと

咲は自分の席に座りウォークマンで耳から音楽を聞き目で本を眺めながらおにぎりを食べていたら、ベランダから食物科の教室の中へ里香と智美がクラスメイトの美佳と芳恵を伴って咲の所にやって来た。

「何見てんの」と里香は咲が眺めている本を手に取って見てみると料理の本だったが、後ろに書いてある値段を見てみると3500円と書いてあった。。
「この本を昨日買って貰っ

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陽だまりの粒(捌)

陽だまりの粒(捌)

和彦と咲が二人だけで車に乗ってから早いもので6時間以上が過ぎていた。
今時刻にして15時30分、先程まで晴天だった空の色がいきなり暗くなって遠くから雷鳴が轟き
灰色に覆われた空に稲妻が光ると同時にいきなり土砂降りの大粒の雨が落ちてきた。
海が見たいと言う咲のリクエストで和彦は国道45号線を南へ何下していた。

さっきまで和彦をいじって爆笑していた咲が急に静かになったのであれっと思った和彦が横を 見

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陽だまりの粒(質)

陽だまりの粒(質)

1990年9月16日(日)

和君、どうして私の顔をみてくれないの?
和君、どうして私と話しをしてくれないの?
和君、どうして黙り込んでいるの?
和君、私といるのがそんなにつまらないの?
ねぇ和君…ねぇ和君…ねぇ和君返事して…和君たら…

咲が車を運転している和彦の左腕を揺すったら
咲の方を振り向いたのは、和彦ではなく里香の元彼であった友治だった。
「やっと俺と付き合う気になったか!!」
友治はそ

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陽だまりの粒 (陸)

陽だまりの粒 (陸)

咲と美彩が里香の実家である美容院で髪を切り、家に帰った後にも、里香の部屋に残っていた智美は里香と二人ベランダでタバコを吸っていた。
明日の事、進路の事、バンドの事、彼氏の事、将来の事、こんな日にはゆっくり、まったりしながらお互いの夢を存分に語り合うのも良いだろう。

外は既に真っ暗く、田舎の商店街を歩く人影もまばらで、時折道路を走り去る車のヘッドライトが明るく暗闇を照らした。

里香の家は美容院だ

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陽だまりの粒(伍)

陽だまりの粒(伍)

だってそうでしょう? - CHU毒

なのに死のうとしてた自分がちっぽけに見えたよ。
なのに人を憎んだ心が狭く感じた。

だってそうでしょう、
思い出はキレイなままじゃない。
だってそうでしょう、
もう忘れたでしょう、あなただって。

あなたと陽気な夢見つけたのよ
あなたと似合った傘感じた

精一杯の恩返し
精一杯の仕返し

なのに泣いて過ごした時間がもったいなくて、
なのに後戻りしてた自分が悲し

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陽だまりの粒 その(肆)

陽だまりの粒 その(肆)

秋の日は釣瓶落としと言われ、9月も半ばに差し掛かると、午後18時の時刻になると太陽が完全に姿を隠し、代わりに夜がやって来る。
十五夜の満月に照らされた、草むらですすきの穂が風で微かに揺れる場を舞台にした、秋の虫達が恋の詩を命の限り奏でている。

「しかし日が落ちるの早くなったな〜」
美彩は咲の部屋のドアを開けるなり、この言葉を口にして部屋に入った。
「夏が来れば暑い暑いと文句を言い、冬が来れば寒い

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陽だまりの粒 その(参)

陽だまりの粒 その(参)

常識に基づいて、現実を変えて行きたいんですQ - ドランカーズのインタビューを始めます
まずおふた方の自己紹介からお願いします。

雪 - ドランカーズのギター雪野 和彦です。

泉 - ドランカーズのマネージャーの雪野 泉です。ちなみに和彦と私は兄弟です。

Q -マルトウビル 階段 PUNK塾を始められたきっかけは?

雪 - 始まりは今年の5月で、きっかけと言うよりも、昼間のLIVEが終わっ

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陽だまりの粒 その(弐)

陽だまりの粒 その(弐)

咲の日記

「演奏する場所がないと言うから場所を提供してやったらこのザマだ…お前ら世の中舐めすぎなんじゃないのか!!ふざけるなよ!!今日からお前らは全員出入り禁止だからバンド活動したかったら、別の場所を探しな」暴風雨を伴った、強烈な台風が通り過ぎた後のような、機材が散乱した会場の後片付けが終わり、楽器店の店長の強烈なイヤミを言われ、この日のLIVEは何もしないで終わった。「あーぁハードコアはこれが

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陽だまりの粒 その(壱)

陽だまりの粒 その(壱)

プロローグ

『日本のROCKなんて元々買い物カゴぶら下げたオバサン達の事でしょ!日本にROCKなんて物は存在しないから』と誰かが語り、空前のバントブームも終焉と崩壊のカウントダウン終了の時間まで残り僅かに差し掛かり、若者文化を全て食い散らかして激太りした奴らが保身に走り、屑な業界の大人共が撤退し始めた…そんな頃-----------------------------1990年の8月の中旬の

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