見出し画像

カリエールの『想い』のあの女の人のように

下書きにあった書きかけの記事を、書きかけのまま。
今から編集するとなんかちがう気がして。


ちょっとまえに参加したイベントで詩作をした。
イラストにことばをつけるというお題だった。

添削したいが、そのままで。

イラストを見てぱっと思い出したのが、カリエールの描いた『想い』という絵だった。
暗い靄の中に、ひとりの女の人が目を閉じ、頬杖をついている様子が描かれている絵。なにか思索に耽っているようにおもえる女の表情、やわらかで素朴でゆるやかで、どこか憂いのある画面に魅入られた。今まで美術館で出会って動けなくなった作品のひとつでよく覚えている。しっかりポストカードを買って帰り、部屋に飾っていた。

カリエール『想い』

※カリエール
19世紀後半のフランスの画家。褐色の靄がかかったような独特の絵画手法で知られる。(Wikipediaより)『想い』は岡山県の大原美術館に所蔵されている。


ここ数週間調子を崩していた。からだがずっとそわそわしていて、自分を否定する言葉がぽんぽんと頭に浮かんで、生活もちょっと不安定で部屋はぐずぐずで、泣きたい気持ちでバスに乗って。でも涙は出なくて、ご飯はつくって食べられて、バイトにも授業にもいけて、だから、わたしは大したことないし、みんなより大丈夫、ひとりで大丈夫って思いながら、ずっとずっと誰かに寄りかかりたくてたまらなかった。
誰かが生活を整えてくれて、抱きしめて頭を撫でてくれて、ぐずぐずでどうにもなんないわたしの言葉を聞いてくれたらいいのにって思っていた。
鍋焼きうどん食べながらちょっと泣いて、大丈夫じゃないことに安心して誰かに頼ってもいいかなって。でも同時にやっぱり、これはきいてたラジオが響いたからだとか、あくびのついでだとか思って、私はまだ誰に寄りかかる資格もないと思ったりした。なんとかご機嫌をとろうとしても、なかなか響いてくれなかった。

誰かの重荷になるのがこわいといいながら結局自分が傷つきたくないだけのわたしは、誰にも個別に言えないままに、宙にむかって言葉を吐いた。だれかにちょっと心配してほしいと願いながら、投稿ボタンを押した。「いいよ無理しないで」って言ってほしくて、「あんま調子よくない」ってぼんやり言った。それらは、当たり前にほとんどは引っかからないままで、たまにちょっとの反応を携えてわたしに返ってきた。反応を見るためにひらいた画面で他のひとの不調に当てられてまた調子が悪くなって、わたしがちょびっとずつ垂れ流した不調も、だれかの不調のもとになったり、不調を加速させたりしまっているような気がした。

「自分で自分のご機嫌をとれるひとと一緒に居たいよね」って数ヶ月前にラジオで聞いた言葉が思い出された。あの時はそうだそうだと深く頷いていたのに、今は自分に刺さって痛かった。

着実に進んで、邁進している人は魅力的だ。にこやかに、日々を充実させているひと。一方わたしは、ぐずぐずして、「あれができなかった」「これができなかった」ばっかりを最近は言っている気がする。自分のできなさと弱さにもたれかかって、誰かにゆるしてもらおうとしている。

あなたに負担を掛けない、鼓舞しあえるようなわたしでいたい。ひとにみせる範囲をコントロールすることを改めて意識する。ひとに受け止めてもらうために、何を自分の内に収めておくか。でも同時に、無理はしたくない。等身大で生きていたいと思う。

今の私は、弱さに寄りかかりすぎているのかもしれない。その裏側にあるのはきっと強さへの不信感だ。強さ、速さが持ち上げられ、競争させられがちな世の中で、その競争に乗るのはもう疲れた。強く居ると、誰かを踏みにじってしまう。弱く居れば分かることがあるかもしれない。(本当はどんなポジションに居ても、強くて弱くて誰かを傷つけずには居れないけれど)
だから、弱さで他者とつながっていようとしている。

強さも弱さも肯定したい。

鎧はできるだけ軽くしたい。よく見られるため

そんなに凜と立っていられないよっておもった。わたしはきっともっと素朴な美しさの、民藝の美しさの

完璧なまるでなくても、手の味わいを感じるようなまる


美しく生きるとか喜ばしく生きるとか、たんたんと自分の欲するものを満たしていきたい。
ちょっとこのひとを見守ってみたいとか、どんな風に生きているかなって魅力的に思ってもらえるような佇まいでいたい。
物憂げで居ることまでもが魅力的に見えるようなひとでいたいと思う。


ーーー
2,3年前の私は、わりとなんでもやってのけるタフさを持っていた。ぎゅうぎゅうに予定を詰め込んで、用事がなくても9時台には動き出して、夜中まで会議して。色んな人とつながって忙しく動き回っていた。

あの頃も、しんどいことは色々あったし、悩みはつきなかったけど、

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?