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フルピッキングってどうやるんだってばよ

端書き

(いいから早く教えろっていうせっかちな人は”まとめ”にジャンプしてね)(一般論としてのギターのピッキングというより、ある程度以上の速いフレーズに対するフルピッキングというのが今回の主題です)

こんにちは、こんばんは、まいけるです。初心者から上級者まで常に頭を悩ませる最大の難問、それは「ピックの持ち方」と「右手・右腕の使い方」ではないでしょうか。

私もこの問題には随分と長い間悩まされ、なんなら今でも悩んでいますが、それでもここ2,3年で憑き物が落ちたようで、ある程度はストレスフリーなピッキングができています。

右手に関する話題なんてとうに出尽くしてはいるのかもしれませんが、こういうトピックは集合知としての側面があると思うので、私の右手の使い方をご紹介することで、同じように悩んでいる方が多少なりとも救われるのではないかと思います。すなわち私個人におけるケーススタディの域を出ないのですが、皆様の一助になれたら嬉しいなと思いながら書いております。




このピッキングは犯罪です。

レガートの日々

そもそもまいけるは、B’zをきっかけとしてギターを始めたわけですが、B'zにある程度詳しい方ならご存知の通り「B'zの楽曲にはフルピッキングのフレーズが少ない」のです。松本さんはレガートを主体としてソロを組み立てることが多いので、フルピッキングが苦手というのは松本さんフォロワーあるあるです。私も御多分に洩れず、右手が動かないへっぽこフォロワーの一人だったのですが、その間にもフルピッキングはチマチマ練習していました。

露骨な販促

↑これにAマイナーのフルピッキングフレーズが収録されていたので、そればっかりやってましたね。インテンポだと♩=135で6連符を刻むのですが、当時の私には♩=90が精一杯でした。どうしてもピックが弦のテンションに負けてしまい、ちゃんと撥弦できないという事態が多発していました。

ちょうど同じころに、ドラマ「ガリレオ」のメインテーマとして知られる"vs. ~知覚と快楽の螺旋~"なんかも練習していました。これもトレモロピッキングが印象的なフレーズが使われていますが、やはり同じように、弦のテンションに負けることが多かったですね。この曲、右手をとりあえず鍛えてみたいという初心者の方にはとてもいい題材なのではないでしょうか。

この曲のトレモロピッキングは、決して速いわけではありません。下手すれば遅い部類です。しかしまいけるは、これがいつまで経っても弾けなかったわけです。なぜでしょう。

今になって考えてみると、1. 使用するピック, 2. 右手のフォームが大きな阻害要因になっていたかな思います。

どのピックを使うか

まず「どのピックを使うか」という点ですが、個人的には1 mm以上の厚さがあるものをオススメしています。ある程度の厚さがあると、弦のテンションに負けにくくなります。敵の包囲網を突破しようと思ったら、細マッチョよりもゴリマッチョの方が有利なのと同じです(?)ただし厚ければ厚いほど良いというわけでもなく、それについては後述します。

まいけるは最近だとTrinity pickを愛用しています。厚さは1.4 mmなので、だいぶ厚い部類ですね。

https://www.soundhouse.co.jp/en/products/detail/item/274004/

P.Toneもかなり使いやすくて気に入っています。ベベル加工のおかげで弦との接触・分離が滑らかです。

ULTEX Jazz3も好きです。こうして見ると私の好きなピック、ULTEXばっかりですね。音がどうというより、耐久性が高いのが気に入ってます。とくにTrinitiy pickはスモールトライアングルですから、3倍長持ちなのも高ポイントです。滲み出る貧乏性。

https://www.soundhouse.co.jp/products/detail/item/109538/

Master 8なんかもイカしています。ただし新品状態だと先端が尖りすぎていて、ザクザクとした摩擦を強く感じます。ある程度削れてくると、自前ベベル加工によりとても弾きやすくなります。

https://www.soundhouse.co.jp/en/products/detail/item/258393/

ピックの中には割高なものもあり、特にP.toneは単体で700円以上した記憶があるのですが、でもみなさん息を吸うように竿やペダルやアンプを買ってますよね?それに比べれば、ピックを買うなんてゾウリムシほどの出費でしかありません。

たかがピック、されどピック。右手に悩める方は、とりあえず楽器店に行って、気になったピックを片っ端から購入されてみてはいかがでしょうか。ギター関連のツールとしては最安ですから、ケチらずにどんどん買ってしまいましょう。

上の画像にあるように、Trinity pickやP.toneと巡り会うまでは色々なピックとの出会い・別れを繰り返してきたので、中には当然「だめだこりゃ」という物もありました。イングヴェイのシグネチャーピック(写真にも映っていますが)なんかは全然合わなかったです。御大、よくこんなピックであんなフレーズが弾けるなぁ。

横綱級の厚さ4.2mmを誇るFlow Jumboなども試したことがありますが、確かにピッキングはスムースなんですけどスクラッチノイズがやばいことになります。まぁこのあたりは各自のピッキングフォームとの兼ね合いもあるでしょうから、このピックはクソ!などとこき下ろすつもりはないのですが、少なくとも私にはしっくり来なかったですね。

ノイズの件もさることながら、分厚いピックだとカッティングが難しくなるというのも見過ごせないですね。最近のおしゃれカッティングトレンドとは逆行してしまうので、その辺りはいろいろな厚さをトライ&エラーしながら自分にベストな厚さを見つけましょう。

どうピックを持つか

先に紹介したTrinityの面白い点の一つは、スモールトライアングルだということです。小さな面積と取り回しの良さを持ちながら、一般的なジャズ型ピックよりも横幅があるため、グリップしやすいところが気に入っているのだと思います。

6弦側から見るとこんな感じ。もともとのピックが小さいですから、ピック先端もごくわずかに顔を覗かせているだけですね。

対して、1弦側から見るとこんな感じ(ピンぼけすみません)。個人的には、人差し指の腹を面的に接触させるのではなく、爪の左端を線的に接触させるイメージで握っています。爪の左端とピックの角度は、直角ではなく鋭角になってます。だいたい30°くらいでしょうか。


側面から。ダウンピッキングするときは、親指の腹で人差し指の爪の左端を押すようなイメージです。その状態から力を抜けば勝手にアップピッキングになるので、これを繰り返してオルタネイトというのが私のスタイルです。エコノミーピッキングの時などは、爪よりもピックのを意識して、ピッキングスタイルを使い分けています。3辺のうち右側にある辺を押して、高音弦側へと右手を落としていくような感じです。親指の第一関節で弦を押すイメージ、とも換言できそうです。

右手のフォームはどうするか

ピックの持ち方よりも、こちらの方がむしろ問題としてはヘヴィかもしれません。なかなか言語的な説明が難しいので、私の拙い動画をいくつか載せてみます。

ツイート文中にもありますが、右手は中央〜フロントPU側の位置に構えます。その状態で、薬指と小指はピックガードにペタっと置いてます。ピッキングの角度はかなり順アングル気味です。

薬指と小指を置く行為は、いい意味で右手の可動域を制限することだと考えています。特に速いオルタネイトをするときなどは、ピッキングの振幅を最小化する必要がありますから、このように枷をはめて、自由度を下げることで却ってピッキングがやりやすくなります。先ほど、右手親指と人差し指の運動という観点からオルタネイトピッキングについて書きましたが、実際にはこの往復運動の時に、置いた薬指と小指を支点にしながらピッキングしています。

昔の私は、右手の指をギターのボディに一切接触させない、じゃんけんでいうところのグー👊のフォームを信奉しており、これで速く弾けないと意味がないと思っていました。しかしこのフォームだと支点になる部分が存在しないため、ピッキングを制御しづらく、なかなか速度上昇につながりません。だからこそ私は♩=90の壁を越えられなかったのです。

振り返ってみるとこんなのは全く意味のない思想で、たぶん見た目が美しくないとかいう下らない妄執に囚われていたのだと思うのですが、どんなに見た目が美しいフォームでもちゃんと弾けないと意味がありません。逆に、ちゃんと弾けてさえいれば多少フォームが乱れていてもどうでもいいというのがまいけるの考えです。

Marty Friedman氏の右手のフォームは変態的なことで有名ですが、Martyのことを全く知らないギター講師(そんな人いないでしょうけど)がこの画像を見たとしたら「ダメダメ、そんな右手!」と指摘すると思います。にもかかわらず、氏は世界的なギタリストの一人です。それはひとえに、こんなに変態的なフォームであってもちゃんと演奏できているからなわけで、究極すると「絶対にこのフォームでなければいけない」というようなものはありません。

顔は映ってなくても右手(と髪)で誰だかわかってしまう

少し話題が逸れましたが、ただし実際にはシーンに応じてフォームやアングルを使い分ける必要がありそうです。薬指と小指を固定してしまうと可動域が制限されますので、忙しなく異弦を往復するようなフレーズになってくると対応が難しくなります。特に5,6弦は固定しているポイントから遠く離れていますから、何がなんでも固定ということではなく、場合によっては固定を外してあげた方が右手の自由度が増します。5,6弦から始まるマイナーペンタの上昇フレーズなんかは、薬指と小指をふわっと浮かせるようなイメージでやってます。

速さを要求されないアルペジオなどを弾く時は、平行〜逆アングルくらいを意識したほうが出音も綺麗ですし、ピッキングミスも減るような気がしています。大雑把な考え方として、ノリノリで荒々しさを出したい時は順アングルで、大人しくしっとりしたい時には平行〜逆アングルという感じです。特にクリーントーンの時などは、順アングルだとなかなか音圧を稼ぎにくいのではないでしょうか。

それと、このフォームだと中指が宙ぶらりんになっています。タッピングの際に中指という選択肢を持っておくという意味ではいいのですが、たまに宙ぶらりんの中指が弦に当たってしまい、ノイズを生むことがあります。これはもう、自分の中では妥協点として致し方なしという扱いになってしまっていますね…まぁもっと練習すれば、紙一重で中指が接触しないような状態になれる…よね…

そんなこんなの悪戦苦闘艱難辛苦紆余曲折七転八倒を経て、現在のまいけるのピッキングはこういうスタイルです。

”脱力”は正しいのか

こういう速いピッキングの際によく論争になるのが”脱力”問題で、「右手は脱力しないとダメなんだ!」「違う、パワーでゴリ押しだ!」というレスバはテンプレみたいなところがあります。

実際問題として、ギターの演奏は体を使う運動である以上、完全に脱力ということは不可能ですし、初心者がいきなり脱力するのも難しいでしょう。世にいう脱力の正体は、「実はみんな筋肉を使っているんだけど、上手い人たちは効率的で低エネルギーな筋肉の使い方を習得したから、感覚として脱力できているように錯覚する」てなところじゃないでしょうか。言い換えると「最初はめちゃくちゃ力を入れてもいいけど、そればっかりだと怪我にもつながるかもしれないし、スタミナがすぐ切れて長尺なフレーズには対応できないから、練習して効率的で疲れにくい筋肉の動かし方を身につけましょう」ということかと思います。

筋肉を使うといっても、範馬勇次郎のような肉体は必要ないですし、特別な筋トレをしなくてもある程度まではスピードを上げられます。現に私がそういうスタイルなので。

ただしある一定のレベルを超えると、そうも言ってられなくなります。こんな速さじゃ物足りねえぜ!もっと速く!というスピードジャンキーな方には、おそらく痙攣ピッキングが向いているのですが、これは完全に筋肉にものを言わせるパワープレイです。いかんせん私は痙攣ピッキングができませんので、これ以上はお手上げです。パワー系ギタリストさんのご意見をお待ちしております。

とはいえ、速さの追求にはロマンがありますが、実際の演奏では右手と左手のシンクロが問題になってきます。当然テンポが速いほどシンクロが難しくなるので、例えば1弦開放で1500BPMを刻めるぞ!と豪語しても、そのテンポに左手がついてこないのでは、音楽的にはあまり意味がありません。速さはそこそこにしておいて、むしろフレーズを叙情的に歌わせる方が大事なんじゃないかなぁとも思います。

まとめ
結論として、まいけるは

・1.2~1.4 mm程度の厚いピックが好きだよ
・特にスモールトライアングルが好きだよ
・サークルピッキングだよ(自覚はしていないが他人からはこう言われる)
・右手はフロントPUに近い位置だよ
・順アングルだよ
・右手の薬指と小指はボディに置いちゃうよ。でも時々離すよ
・筋肉は使わないわけじゃないけど、めちゃくちゃ使ってるわけでもないよ

こんな感じです。いきなりまとめに飛んできたものの「いやもっと詳しく書けや」って人は、申し訳ないですが全文をご一読お願いします。

人智を超えた速さ、欲しいよなァ…

おまけ

Twitterにて皆様の愛用ピックをうかがったところ、何件か回答がございましたので、この場を借りてご紹介&御礼申し上げます。

う〜ん、Jazz 3強いですねぇ。確かに良いピックですもの。DAVAもけっこうポジティブなレビューが多いピックな気がします。あらためましてリプくださった皆様、ありがとうございました。

終わりでーす。

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