笹塚 心琴

(ここと とお呼びください)詩、小説、エッセイ、短歌。精神科ユーザー歴17年の野良PSW。とっても不思議なダーリンとふたり暮らし。「大嵐の後にこそきれいな虹が架かるし、天を仰げばその美しさに気づけるよね」的なポリシーでのんびり生存中。
固定されたノート

夏休みが、終わる。

もうすぐ九月一日。夏休みが終わる。14歳だった私にとって、これほどの地獄はなかった。夏休みはまるで、酷刑の執行猶予期間のようだった。夏休みが終われば、私はまたあの苦痛を日々味わうのか。つらい。しんどい。……死にたい。

本気でそう思った。思春期の子どもにとって、デリケートな話題で自尊心を潰されるのは、耐えがたいことだった。容姿のこと、治したくても治せない癖のこと、家族のこと。

学校とは私

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優しい窓辺に風鈴がひとつ

私は優しい世界しか知らない
仕舞い忘れられた秋口の風鈴みたいに
必要ないと笑われたものばかり両腕に
大切に抱えて暮らしています

夕焼けってあれさぁ
空は火傷してないの
だってすごい赤だよ
空は痛くないのかな

そんなことを本気で心配していた頃
優しくない世界しか知らなかったし
空は夕焼けになるたびにどおどおと
悲鳴を上げているのだと信じていた

どこへ行ってもみんな揃って
きれい、きれいの

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「わからない」

世の中には私の理解など遠く及ばない事象がゴロゴロ転がっているのはわかっている、つもりだった。私が認識している景色、たとえば風の匂い、空模様の移ろいとかいろいろあるけれど、私の横(主に右側)には7年近く前からずっと彼がいて。たくさんのことを一緒に経験したし、今だって現在進行形で力を合わせて立ち向かっていることもあるから、てっきり私と彼は、同じコトモノを同じように捉えているのだと、そんな錯覚をしていた

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短歌 凝視 十首

だれひとり僕を知らない街にいて「こどく」の意味を僕は知らない

輝けと命令するな僕はまだ正しい呼吸もわからないのに

夢を見て初めて気づくこともある 今日も明日も燃えるゴミの日

カラカラと軋み続ける僕の骨 どうぞ笑ってお湯を注いで

取り返しつかないことの連続で手首の傷に噛みつくみんな

愛すべき人などいない愛したい人がいただけ 口をつぐんだ

ひねくれたフリをしていたは

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リサイクル

あなたが教祖に転職したら
私が信者になってあげるね
そんな冗談をケラケラ放ち
僕を慰めてくれたお母さん

何も信じられないから
信じられるものを自ら
こしらえたいと願った
たったそれだけの為に
舌を売り飛ばしました

そうですか
志望動機は
御立派です

居場所がないなら作ればいいと
あなたのお母さんが始めたのは
おしゃべりとスープのぬくもり
それを分け隔てなく与える部屋
リリアンたくさん編

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幸せと無化調の近似値

フライデーナイト、皆さまいかがお過ごしですか。

今日は深めの時間まで珍しく神保町におりました。外部の会議が定時より早めに終わって、じゃあ古本屋とか雑貨屋とか覗いて帰りますかねー、となんとなく駅方面を目指して歩いていたら、タイミングよくダーリンからLINEがピロリン。

彼もまた、都心で某所での講演を終えたところだったようで、「まだ明るいから、たまには寄り道して帰ろうか」と。金曜日だし!

二人し

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