【詩集】こぼれたことばたち

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ノート

黒と白

僕には夢がある この口からもうこれ以上 クロアゲハが溢れませんように 家に帰ってきた君に 「おかえり」を言えるように この口からもう二度と クロア...

シクラメン

僕は 言葉という毒を少しずつ盛られ 寂しい寂しいと呻きながら 詩の何たるかを知らずに 素数ばっかり数えてる 僕は 手を組んで祈ることを禁止され ごめ...

雨傘

雨の日には優しい涙が ふくよかな母の掌のような雲から ぽつりぽつりと落ちてくる 誰かが泣いているね 嬉しいのかな 悲しいのかな 誰かが泣いている...

羊が眠るとき

まだ彼は眠っている 深い安らぎの奥にいる 明大前駅の改札で「彼」と待ち合わせた 照れたような笑みを浮かべて 「彼」は手を振った 井の頭線で吉...

花/美しい過去

私には過去しかない この足で拓いてきた道しか知らない 私が今も私でいられるのは 私が過去を美しいと感じているからであり トラウマや恥などは 全てこ...

あなたが眠るということ

夜のとばりにそっと漕ぎ出すその横顔は 泣いているようにも見えた 返信のない手紙 三拍子の子守唄 白い錠剤を三つ きっとそれくらいがちょうど良い ...

raining

He was just rain. 晴れ空を侵して降ってきた 私のこころにざんざんと 容赦なく注いできた お気に入りのワンピースに いくつもシミを作った彼は ファ...

潮騒

一 彼の人が泣いていた 生きることを考えたら 泣いてしまったらしい とっくに捨てたと思っていた 彼の人にも涙が残っていた 今までも泣きたかったんだ...

雨粒のワルツ

雨がビル群を濡らすと 彼女の憂いはいよいよ深く ため息も雨雲に吸い込まれてゆく 雨粒が青い傘を愛でると 彼女の戸惑いはようやくほどけて 不安も安堵...

私はあなたを待っている

私が両手を広げたら それは希望を意味します 私が両手を広げたら 初夏の風がルルと吹き抜けます 孤独、絶望、それらに類するものを 今こそ抱きしめた...