タイトロープ

そんなロープで何をするの
そんな長さで何ができるの
月が恋しくなってしまうの
雨降りも悪くないのになぁ

目障りだからと羽虫が死んだ
いともたやすく踏みにじった
ロープで何度もひっぱたいた
あれも命だったってのにねぇ

天秤屋を呼べ!
命の重さとやらを
今すぐ測ってみせよ

ルルル、ルルルル、ルルと
ロープがしなる
そのとき誰かのどこかで
星が生まれる

ちっとも祝福されない誕生は
このロープの所為だというが
脳内再生されていた子守唄が
逆再生を始めればなおのこと

そんなロープで何をするの
そんな長さで何ができるの
恋が虚しくなってしまうの
土砂降りも悪くないけどね

そんなロープで何ができたの
そんなロープで何を望んだの
恋に恋するのも悪くないねぇ
恋ってのは劇薬に間違いない

あなたは星になったのね。
そうして再び生まれたんだろう。

星鑑定士を呼べ!
輝きの尊さとやらを
今すぐ測定せよ

彼がいま漸く解いてみたロープは
けれども果たすには短かすぎて
白々しい未練を熟成させては
遠い日の食卓においてのみ
満たされたあたたかさに
どこまでもしがみつき
生まれたという事を
ふくよかな背中に
伝えんがために
血相を変えて
泣きながら
ロープを
そっと
首に


……。

目の前でね、彼が揺れてるの。
規則的な速度で、揺れてるの。
それに羽虫がとまっているの。
何が悲しいって、それはもう。

そんなロープじゃ雨はしのげないよね
傘なら貸してあげるから一緒に帰ろう
帰ろうよ
帰ろう
揺れてないで
泣いてないで
黙ってないで
帰ろう

#詩 #現代詩

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