へるま

人生いずエンターテイメント

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マガジン

  • イッキューパイセン

    トンチとパンチであらゆる不条理を解決するカラテプリースト。 イッキューパイセンが大活躍する話。 子供への道徳教育にも非常によい。

  • ゲリラ監査役青海苔のりこ

    謎の女性青海苔のりこが世間にはびこる悪を叩いて砕く! 痛快爽快ゲリラ小説!

  • カレン・ザ・トランスポーター

    俊足&健脚が自慢のエルフの少女、カレン・キューピッチが「運び屋」としてファンタジーの世界を構成する裏稼業をこなしていくコメディーファンタジー作品。ゴア描写とかないのでおこさまにもごあんしんだ。

  • 『無機物マン』

    魂を無機物に憑依させ、血がないから湧かないし肉も無いから踊らないけど激しい戦い繰り広げる! それが「無機物マン」だ!

  • アーリー・アフタヌーン・ウイズ・ブルー・ブルー・スカイ

    【完結】 昼下がりの農村に現れた一匹の仔牛。 人は因果に流され、因果は人を流さんとする。 ゴトゴト。 荷馬車が揺れる。

最近の記事

イッキューパイセン 回らない寿司編

 【江戸前】【一流職人】【鮮度が良い】【包丁の切れ味】【おさむ】  有名書道家の手になる巨大な看板が通行人を威圧する。  1か月前に城下町の一等地に建てられた寿司店『金満鮨』はネタの鮮度、質、職人の腕、調度品などどれもが超一流であり、富裕層を主客としてたちまちのうちに有名店へと成長した。  長さ約40メートルを誇るカウンターに客がぎっしりと並ぶさまはまるで工場のベルト作業めいている。  このようなサクセスストーリーを歩めば敵の1人や2人は出ようものだが、 店主のマグロ包丁が

    • 走れコロス (The die 治 著)

       コロスは激怒した。  必ず、かの邪智暴虐の王を除かなければならぬと決意した。  コロスには政治がわからぬ。  コロスは、村の殺人鬼である。  毒矢を吹き、躯と遊んで暮して来た。  けれども邪悪に対しては、人一倍に敏感であった。  きょう未明コロスは村を出発し、野を越え山越え、十里はなれた此このシ ラクスの市にやって来た。コロスには父も、母も無い。女房も無い。  全員殺したので、十六の、内気な妹と二人暮しだ。  この妹は、村の或る律気な一牧人を、近々、花婿として殺す事になって

      • 75年ぶりの挑戦者《チャレンジャー》

         エドモンド・ハンクマンは時間通りにやってこないスクールバスが大嫌いだった。  待ち合わせに遅れるガールフレンドが大嫌いだった。  指定日に届けないネット通販はアカウントを削除した。  規則的なものが好きだった。  水飲み鳥の動きを何時間も眺めていられた。  仕組みを知ろうと父親の時計を分解したこともある。  やがて彼は、求めるものが空にあることを知る。  太陽、月、そして無数の星々。  天文学、航空力学にのめり込み、大学で共同研究者に選ばれ、NASAへの推薦を受けた。

        • 自壊予告

           窓の外から子供の声が聞こえる。  楽しそうだ。  窓の外から花火の音が聞こえる。  見に行きたい。  窓の外からバイクの音が聞こえる。  うるさい。    広川祐樹は自身が受験生であることを理解している。  雨戸を閉め、扇風機の風量を1段階上げ、問題集に目を落とす。    雨戸の外から子供の声が聞こえる。  うるさい。  雨戸の外から花火の音が聞こえる。  うるさい。  雨戸の外からバイクの音が聞こえる。  うるさい。うるさいうるさい。  救急と警察に通報があったのは翌日

        イッキューパイセン 回らない寿司編

        マガジン

        • イッキューパイセン
          18本
        • ゲリラ監査役青海苔のりこ
          12本
        • カレン・ザ・トランスポーター
          31本
        • 『無機物マン』
          8本
        • アーリー・アフタヌーン・ウイズ・ブルー・ブルー・スカイ
          7本

        記事

          ゲリラ監査役青海苔のりこ #9 後編2

          前回までのあらすじ  ニチアサのネタバレをSNSで流すことにより、自身の番組へと視聴者を誘導する恐るべし計画を企てた日曜朝の報道番組『惨DAYな朝』に対し、さらに恐ろしいゲリラ監査役が監査を開始した!  喝と言うことしか能のない番組のご意見番ハリーは暴力によって沈黙させられ、今また番組MCであるセキも暴力による監査を受けようとしていた! ───────────────────────────────────────────────  「いやぁー、見事なもんだ」  ゆっくり

          ゲリラ監査役青海苔のりこ #9 後編2

          霧よ、再びの栄光を。

           肌を刺すような初夏の冷たい空気。  午前5時のロンドンは深い霧に包まれていた。  《非常…宣言下……直ち……避……》  横転した広報車のスピーカーから途切れ途切れのAI音声が聞こえてくる。  酷い腐敗臭の漂うゴミ集積場には十数匹ものカラスが群がり、元が何だったのか最早判別もつかないようなモノを啄んでいる。    「グワッー!」  突然飛んできた石が1羽のカラスの頭に命中し倒れこみ、それを見た他のカラスたちが一斉に飛び立つ。  石の飛来してきた方向、建物の陰から出てきた浮浪

          霧よ、再びの栄光を。

          『いざ鎌倉』

           まだ肌寒い初夏。  朝靄の中を走るパトカーの車内。  鎌倉警察署刑事第1課、梶原時人は助手席で紫煙をくゆらす。  拝命して34、いや35年になるか。  大抵の事件は経験したと思ってきた。  目の前の信号がずっと赤信号のままであってほしい。    「カジさん、着きましたよ」  「...…。」  運転席からの声にあえて無視を決め込む。気が進まないことこの上ない。  「カジさん」  「わーってるよ」  運転席からの声にドアを開け重い腰を上げる。  ──神奈川県鎌倉市、高徳院。

          『いざ鎌倉』

          愛の闘避行

           《それではミッドナイトTOKYO、今夜もお別れのお時間です。お相手はメリーでした!このあと1時からは...…》  こんなふうにお別れできりゃどれほどいいかとステアリングを握り直す。  深夜の東名高速下り、時速120㎞で疾走するBMW‐X1の車内。  出発からそろそろ1時間が経つ。  熱いコーヒーでも喉に流し込みたいところだが、SAの入口はついさっき通り過ぎたばかり。  前にも後ろにも車は見えず、ライトを上向きにする。  ただただ等間隔に外灯だけが俺たちを迎えてくれていた。

          愛の闘避行

          最強SDGs決定戦!

          おれはSDGsさ。 SDGsだから服を着ない。ゴミになるからな。 SDGsだから魚も骨まで全部食べる。生ゴミになるからな。 SDGsだからフィギュアもブリスターから出さない。資源ゴミになるからな。 SDGsだからゴッホの絵にトマトスープをかけない。あいつらはゴミ。 SDGsだから最後のSをちゃんと小文字にする。賢いからな。 もちろんSDGsだから紙ストローだ。使い終わったあとは食べる。 ゴミになるからな。 SDGsだけどSDガンダムとは何の関係もないのさ。 SDGsだか

          最強SDGs決定戦!

          私の王子様

          ──6月11日午後2時10分。 閉め切ったはずの雨戸の隙間からは、僅かな陽光が大路姫子(おおじ-ひめこ)の部屋に差し込んでいた。 見もしないのにつけっぱなしのTVからは、ワイドショーの司会が政府の失態を批判する声が聞こえていた。 布団から身を起こし、部屋の照明をつけ、母親が置いて行ったコンビニのレジ袋に手を伸ばす。 鮭…ツナマヨ…あー、明太子はやめてって言ったのに。 器用に包装を剥がし、かぶりつく。 枕元にあるスポドリのペットボトルを手にし、流し込む。 ゴミ袋に入りきら

          私の王子様

          拒否拳

          202X年12月20日──。 クリスマスに浮かれるニューアークの街とは対照的に、国際連立機関、国連の議事場は重苦しい沈黙と緊張感に満ち満ちていた。 「全ては西側諸国が我が国を貶めるために仕組んだ陰謀に過ぎない!このふざけた茶番劇を直ちに中止し、真の悪党がどこのどいつなのか明らかにすべきだ!我々の正義の鉾は誰であっても折ることはできない!いいか!誰であってもだ!」 喚き立てたのは短く刈り上げた短髪と逞しい体つきが印象的な中年男性。 その胸には『SEEVELIA』と書かれたプ

          拒否拳

          『巡礼』

          ざしゅ、ざしゅと落ち葉を踏む音。 はぁ、はぁと乱れる息。 少年の耳に届くのはそれだけだった。 夕陽が差し込む晩秋の森。 それぞれに荷を抱え、まっすぐに歩く人々の列。 少年の目に映るのはそれだけだった。 何百、いや何千人になるのだろうか。 少年は思い出す。 数えようとして諦めたことを。 全部で何人いるのか、それを知っている大人がいなかったことを。 歩く。ただひたすらに歩く。 ふと、全体の速度が緩んだ気がした。 「この先、橋を渡りますー!一列に並んでくださーい!」 黄色い帽

          『巡礼』

          高い高い苗字ナンバーワン決定戦

          「うおー」 「うわー」 全国から「高い苗字」のナンバーワンを決める大会がついに開催された。 「うおー」 「うわー」 東京ドームは超満員、観客のボルテージもそこそこだ。 「第1試合選手入場!」 身長2mで2mのシークレットブーツを履いたリングアナが高らかに宣言する! 「うおー」 「うわー」 観客の興奮は最高潮だ! 「赤コーナーより【高山】選手の入場です!」 「いきなり高山かよ」 「高山に勝てる奴おるんか」 ざわめく観客席。 背が割と低めの高山が花道を歩きリングへ。 「

          高い高い苗字ナンバーワン決定戦

          【MAGIC】

           「おいカメラ!どうなってんだとっとと報告しろ!」  「1000万分の1秒単位で消えてるんですよわかるわけないでしょう!」  「マルチ使ってんだろそれで確認しろや!」  「マルチ使ってそれですよ!まったく同じタイミングでどの角度からも映像から確認できなくなってます、文字どおり消えてんですよコイツぁ」  「ありえるかそんなことが!大学出てんだろテメェ!?GPS!GPSはどうなってる!?」  「右に同じー。やっぱ一緒に反応消えてますよ。追跡も効果ナシ。もう本当に消してるんじゃな

          【MAGIC】

          積田刀四郎は竜王を目指す

           2015年 3年四組 積田 刀四郎  僕は正直、この3年間のうちでは勉強机よりも将棋盤と向き合ってきた時間のほうがずっと長かった。  体力に自信がない僕が、将棋部を選んだことに間違いはなかった。  純粋な頭脳のみによる一対一の勝負。  運が介入する要素は存在せず、たったひとつの誤りが即敗北に繋がる、そんなところが気に入った。  「将棋はパワーだ!」と指導してきた五里先輩には一度も負けなかった。  現状を正確に把握し、一手先ではなく二手三手、いや数十手先を予測する能力

          積田刀四郎は竜王を目指す

          我以外皆死也

           ある日、日本全国の”し”が”死”になった!  「横浜死」! たちまちのうちに人口370万人超が死亡!  「千葉死」! 死亡!  「大阪死」! 死亡死亡!  「札幌死」! 死亡死亡死亡!   「福岡死」! 死亡死亡死亡死亡!   とにかく市と名乗る自治体は全滅!    「医死」「看護死」! 医療機関壊滅!  「教死」! 教育機関も壊滅!  「弁護死」! 検察官のやりたい放題だ!    「ねこ」! ネコに変化はない!    「死万十川」! 血肉が流れる地獄の河川!  「死か」!

          我以外皆死也