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CULLEN THE TRANSPORTER‐EXTRA STAGE #4

 前 回

 突如酒場の窓ガラスを破って侵入してきた暗殺者風の5人。
 俺たちを元の世界に帰すというエルフの少女カレンは「どちらかの冒険者が倒されないと帰れない」と言い放った。

 つまりだ。俺のメアドを使ってログインしたファック野郎のケツをシバき上げないことには始まらないってことか。
 で、向こうさんが先手を打ってきたと。

 カレンから渡された手甲を嵌めながら愚痴をこぼす。
 「おい!これでどうしろってんだ!」
 王子のショートボウ連射を掻い潜りながらアサシンが接近!
 最小限の動きで最速の突きが俺の心臓めがけて繰り出される。
 半身になって躱し、次の突きが来る前に前蹴りで胸を蹴飛ばし距離を取る!
 酒場の客も何人かは加勢してくれているが、こいつら相当の手練れだ!

 カレンの方に目をやる。
 アサシンの薙ぎ払いを屈んで回避すると、その腕に両腕でしがみつき、鉄棒代わりに逆上がりめいて足を振り上げる。
 振り上げついでに爪先で丸椅子を引っかけると、回転の勢いを利用してオーバーヘッドキックのように真後ろのアサシンへ丸椅子を蹴り飛ばす!
 「ぬぅ...ッ!」
 アサシンはシミターを振り上げて丸椅子を両断!
 直撃は避けられたものの牽制には十分!
 
 集団での喧嘩に慣れてやがる。
 この子供も見た目と違ってタダ者ではなさそうだ。

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 逆上がりに使った腕を勢いよく捻ってあわよくば骨折まで、と思ったが腕力で抵抗される。
 相手がアサシンとはいえ、さすがに単純な力比べでは分が悪い。
 
 これじゃあお荷物(二重の意味で)の2人を警護する余裕なんてない。
 ないのだが──
 なんだかんだ言って王子サマの方はエルフらしい弓捌きをしている。
 エルフらしいどころか、正確性、距離の取り方、一射にかかる速度、何から何まで私が今まで見てきた中で最高レベルの弓術だぞこれは。
  
 で、もう一人のほうは...せっかくの手甲をどうにも持て余しているようで...
 「ちょっとちょっとちょっと! せっかく用意してあげたんだから武僧(モンク)らしく戦ったらどうなのよ!」
 私の抗議にA・Kがしかめっ面で抗議を返す。
 「はぁ?誰がブソウだ?俺は剣闘士だぞ?グラディエーターだ!」

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「はぁ?」
 今度はカレンが顔をしかめる番だった。
 「剣闘士ってのはろくな装備も身に着けない半裸みたいな状態でコロシアムで喧嘩して金もらってる奴らのことよ!?あんたのどこがどのへんが剣闘士だっていうのよ!?」
 「剣闘士ってのは格好じゃねぇんだよ生きざまなんだよ!」
 「はぁーーーーーーーーー!!?????」
 「2人ともそのへんにしといたほうがいい こちらも矢が尽きかけてる」

 王子の声で我に返る。
 「とにかく俺は武僧とやらじゃなくて剣闘士なんだ。それっぽいモノをくれよ」
 酒場はアサシンと逃げ惑う一般客、立ち向かう一般客、賭けを始める酔客などで大混乱の様相を呈してきた。
 
 「うーんと...じゃあねぇ...」
 ぴょんぴょんと飛び跳ねながらアサシンから遠ざかり、麻袋の中をゴソゴソと漁るカレン。
 「はい!」
 投げて寄越してきたのは新品のショートソード。
 そう、こういうのでいいんだ、こういうので。
 鞘から抜きはらってシミターを受け止める。
 
 「つぎ!」
 次に飛んできたのは小型のバックラー。
 オーケイオーケイ、そうでなきゃな。
 もう片方の腕にくくりつけて斬撃を受け流す。

 「さいご!」
 高速で飛んできたのは...真っ赤な兜、というより面頬に近いか。
 さっきまでの流れを踏襲し素早く装着。

 「おれはすごい」
 どこからともなく声が聞こえてきた。
 少し狭くなった視界の先では、アサシンどもが何やらたじろいでいる。
 どういうことだ、恐ろしい形相の仮面か何かなのか。
 呪われたりしてなきゃいいんだが...

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【第4話終わり 第5話へ続く】

 ※A・Kの外見描写については、ご本人、またはそれ以外の方からも要望や意見を受け付けています。基本的にご本人の意見が最優先です。

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