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新卒でゲームプランナーになってみて

新卒で入社したゲーム会社を退職しました。良きタイミングなので、ゲームプランナーになって学んだことや思ったことをつらつらと書いてみようと思います。

■ゲームプランナーという職種

そもそも、ゲームプランナーって何やる職業なの?という質問がよくあるのですが、厳密にこれです!みたいな模範回答はなく、デザイナーやエンジニアがやらないことを全てやる!が正しい答えのような気がします。

よく連想しがちなのが、自分の考えた企画書でゲームを作れる!みたいなイメージが強いですが、実際の業務内容的には、20%が企画、80%がその他の雑務、という割合な気がします。本当に自分の企画をゲームにしようと思ったら、かなりの経験と実績がないと、大体のケースは任せてはもらえないと思います。

じゃあ、実際の業務ってどんなことやるの?という疑問に対して、簡単にご紹介していこうと思います。

・定常イベント(既存の仕組みを使ったイベント)を用意する
 仕様書作成
 報酬設計
 画像依頼
 データ作成
 デバック
 本番反映
・新規イベントを用意する
 企画立案⭐️
 仕様書作成
 報酬設計
 スケジュール見積もり
 仕様共有
 画像依頼
 SE・BGM依頼
 データ作成
 デバック
 本番反映
・ガチャに登場する新キャラクターを用意する
 企画立案⭐️
 仕様書作成
 スケジュール見積もり
 仕様共有
 画像依頼
 モデル依頼
 エフェクト依頼
 SE・BGM依頼
 データ作成
 キャラクターのバランス調整
 デバック
 本番反映
・その他
 MTG(人と時間と場所)のセッティング
 KPI(売上とかユーザーの数)の分析・資料作成

だいぶざっくりまとめてみました。見てもらったら分かると思うのですが、結構書き出すとやることいっぱいあるんですよね。あと、企画の部分が少ないのが一目瞭然です。でも、これだけやることあったら、毎日飽きることはないと思います。笑

■ゲームプランナーになってはじめに苦労したこと

そもそも、私は理系の大学出身で、ゲームプランナー的なことは一切合切やったことない状態で入社しました。なので、本当に0からスタートして、ゲームプランナーとして色々なことを学んできたのですが、やはり最初に苦労することがたくさんあったので、個人的に印象に残っていることをまとめていこうと思います。

・チャットよりも自分の足で
私はかなり人見知りだったので、自分の足であまり面識のない人と対面で話すのに抵抗がありました。でも、そうも言ってられないのが仕事というものです。特に偉い人ほど忙しいので、仕様の確認やOKがもらいたくても、席にいない時間がほとんどです。戻ってきた瞬間に、席に伺うスキルを身につけておくと、顔も覚えてもらえるし、レビューをその場でもらえたりするので、結構大事なことだったりします。ちなみに、これできない人が結構多いです。

・マルチタスカーになれ
基本的に、複数のタスクが同時並行で動いています。例えば、キャラクターのバランス調整をしつつ、定常イベントの準備をしつつ、MTGのセッティングやKPIの分析・資料作成をする、みたいなことが日常茶飯事です。マルチタスクができないと、一つのタスクに溺れて詰みます。でも、マルチタスクなんて超人にしか無理だよ、って最初は思いました。しかし、実際にはマルチタスクは、同時並行で仕事をこなすことではないのです。いかにタスクを分解して、優先度を持たせて、仕事を進められるかが、マルチタスカーになるポイントです。朝会社に来たら、今日の作業内容に1個ずつ優先度を振り分けてみると良いかもしれません。

・共有漏れは死を意味する
これは最初に限らず、よくある事なのですが、仕様を作った後に共有が漏れていることが後で判明すると、開発が間に合わなくなり、リリースが遅れ、売上に響くという大罪を犯すことになります。逐一、各セクションの人と連携を取るのがベストです。同時並行でいくつもの施策が動いている状況だと、結構漏れちゃうものです。毎日、10分でも良いので集まって進捗状況を確認する機会を作っておくのが一番安全です。でも、意識しなかったら誰も集まってくれないので、自分から積極的に機会を作っていきましょう。

・担当するタイトルのゲームをやり込む
地味にめっちゃ大変な作業ナンバーワンです。もともとめちゃめちゃ好きなタイトルとかなら話は別ですが、知らないタイトルに配属されることも結構あります。特にプランナーが、担当しているタイトルの仕様を完全に把握していないと話にならないので、全てのキャラクター・装備の挙動やイベントの種類を覚えて、そこそこやり込んで強くなっておかないとマジで人権がないです。笑

・横文字に強くなれ
どういう意味だよ、って思う方いらっしゃると思うのですが、結構会話の中に横文字が多発します。笑
ちなみに、私は最初どういう意味かわからず、会話についていけませんでした。売上とかユーザーの数を分析する機会があると、DAUとか、ARPUとか、必ず横文字が入ってくるので、かなり重要になってきます。特に上の人と話す時に必ず必要になると思うので、多少なり理解しておくとスムーズです。

■ゲームプランナーを続けて身につけた心得

ゲームプランナーを続けてみて、個人的に思ったことや、大事かもなと思ったことをまとめてみました。さらっと見てもらって頭の片隅に入れてもらえたら嬉しいです。

・レビューはこまめに
言葉の通りですね。最初に決めた仕様のまま、リリースまで行くことなんてほとんどありません。自分からレビューしてもらう機会を作らないと、進捗がない状態でスケジュールが進行していきます。これは本当に怖いです。新卒だろうが中途だろうが忙しい現場であればあるほど、周りに目がいかないので、積極的に周りに頼っていかないと、どんどん苦しい状況になってしまいます。忙しそうにしてても、無理やりスケジュールを抑えてねじ込んじゃうのがベストです。

・論理的と感覚的を使い分ける
多分、ゲームプランナーになったら一番言われることだと思います。論理的に説明して、論理的に分析して、論理的に考えて、どんだけ論理的になればいいんだよ、ってくらい言われます。笑
この仕様にしたのにはどういう理由があるのか、その理由には果たして正当性があるのか、数字的な根拠があるのか、材料は多ければ多いほど説得性が増します。その為には常に論理的思考が求められるのです。大体の人は最初、感覚的に考えがちなので、論理的思考と感覚的思考をきちんと切り替えられると素敵です。例えば、キャラクターのスキルをどんなものにするかは、そのキャラクターの外見や背景を踏まえた上で自分なりの感覚をイメージ化して、そのキャラクターに当て込みます。ただ、売り物として考える際は、そのスキルが統計的に人気があるのかどうかを数字的な側面から論理的に考える必要があるわけです。アイディアを常に2側面から考える癖を身につけると良いと思います。

・謙虚さと図々しさを使い分ける
これも、なかなか大切なことです。クリエイターの方々に常に敬意を払いつつ、お願い事をするときは少し図々しくがちょうどいいです。みんな誰もが忙しい訳ですから、新しい仕様を持ってこようものなら、嫌な顔をされてしまう時だってあります。極端ですが、プランナーは無理なことを実現させる役割もあります。工数的に無理だよ、という言葉を何度も耳にすると思いますが、そこをなんとかするのも一つのお仕事です。これは意識して身につくものではないので、何度も頭を下げて、信頼関係を築いていくしかないですね。あと、限られた工数の中で、他にどんな方法をとれば実現できるか、技術的な面でもこちらからアプローチできるようになると、信頼関係はより深まると思います。

・引き出しは常に大量に
ゲームの企画を考える者として、他の競合を分析することは当たり前のことです。さらには、他の会社とのコラボ企画を担当する際は、そのコラボのアニメや漫画、小説にも詳しくないといけません。また、新しいキャラクターやイベントを企画する時、あのゲームのキャラクターを参考にしたい、あのアニメに出てくる世界観を取り入れたい、なんて話題は日常茶飯事です。話についていけないと、せっかくの出世のチャンスを逃してしまうことにも繋がります。どんな話題を振られても答えられるように、ゲームに留まらず、エンタメ系の情報は常に蓄えわえておくといいかもしれません。

・一喜一憂してたら心が持たない
ゲームプランナーで1年続けられたら、メンタルは3倍くらい丈夫になります。笑
何かと怒られたり、せっかく作った資料も全部ひっくり返ったり、リリースしてもユーザーから批判をもらったり、ことあるごとにメンタルを蝕まれるイベントが発生します。その1つ1つに一喜一憂してたら心が持たないです。失敗しても死ぬわけではないので、少しくらい気楽な気持ちでやってください。

■ゲームプランナーの仕様・報酬設計で必要なこと

仕様や報酬設計って思ってるより時間がかかります。特に報酬設計の部分は一歩間違えるとゲームバランス破綻するのでシビアです。なので、ここでは実際の業務で結構タメになったことをメモしておこうと思います。

・数学が活きる
ランキングやアイテムのドロップ確率など、とにかく数学的な計算がことあるごとに必要になってきます。全体のユーザー数、ユーザーの平均プレイ時間、取得できるポイント数など、仕様や報酬設計をする際は、いろいろな要素をすべて考慮して、シュミレーションをする必要があります。その為には、ある程度数学の知識が求められるので、とくに確率の分野(数学Aとか)には強くなっておくといいかもしれません。あと、Excelを自分の体の一部のように使いこなせるとかなり業務に役立つと思います。

・報酬を時給換算しよう
これは受け売りなんですが、報酬設計をする際に、かなり参考になったので、覚えておくといいかもしれません。よくあるソシャゲってどんな風に報酬設計してるんだろう、って思ったことありませんか?これは意外と簡単で時給換算するとすぐに計算できます。ただし、1つの方法なので全然違った手法をとってる場合もあると思います。参考程度に。

例えば、以下のように仮定したとします。
(1)ゲームをプレイするユーザーに対して時給が60分で1200円だとします。
(2)大体のユーザーの平均プレイ時間は30分だとします。
(3)30分だと600円という計算が導き出されます。
(4)600円をゲーム内通貨で置き換えるとガチャ1回分とします。

つまり、30分遊んでくれたユーザーに見合った報酬はガチャ1回分という報酬設計ができます。意外と簡単です。よくあるソシャゲを遊んでみて、チュートリアルから1回ガチャが引けるまでの時間を計ったら大体30分くらいだと思うので、ぜひ試してみてください。ただ、該当しないケースももちろんあります。

■さいごに

とりとめのないことをつらつらと書いていたら、なんか意外と長編になってしまいました。もしゲームプランナーになりたいって方や、興味のある方はぜひ参考にしてもらえばと思います。また、ゲームプランナーってどんなことをやる職種なのか知ってもらえただけでもすごく嬉しいです。
今後は独立して、ゲームを1つ完成させてみようと思っています。興味のある方がいればぜひご連絡下さい!最後まで見てくださった方ありがとうございます。

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