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「ある弁護士の生涯」

より素敵な一節を引用。

……「君よ、いつわるかなれ。君にして我が輩に真実をつぐるならば、我が輩は君がお春殺しの真犯人であっても君の友である。日本で旧刑法の実施以来20年にわたる殺人事件で真の犯人に間違って無罪を言い渡した実例20件ほどについて被告のその後を調査した人がある。大部分は良心に責められて発狂と自殺であった。いつわって無罪の判決を受けることを恐れたまえ」と告げた。

藤沢はF氏に……「弁論が情理を尽くして被告の立場を理解したものであれば、被告は有罪で服役してもその弁論に心を支えられ自暴自棄にならないですむ。」と教えた。こういう教訓を守り、依頼人から感謝されるにつれてF氏は刑事事件の弁護に自信と興味を深めることになる。

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