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我汝らを深く敬う

商店街でよく立ち寄らせていただいているお店で、とある障害者作業所のクッキーを取り寄せて売っているのです。

地元のかな、と思って産地をみると……「社会福祉法人 深敬園」。調べてみると、なんと甲州は身延町にあるそうです。

そして、この「深敬園」という名称ですが、設立者の綱脇龍妙という高僧が、般若心経の一節である

「我深敬汝等、不敢軽慢、所以者何、汝等皆行菩薩道、当得作仏」
(我深く汝等を敬う。敢(あえ)て軽慢(きょうまん)せず。所以(ゆえ)は何(いか)ん。汝等(なんだち)皆菩薩の道を行じて当に作仏することを得べし)

から引用してつけた名前である、そう。

現在は障害者作業所などを運営している深敬園ですが、設立当初はいわゆるらい病(ハンセン病)の療養所だったそう。

現代の価値観では、なんでも生産性が高いもの、有名なもの、影響力があるものに価値がある、という風潮がありますが、私は断然、ハンセン病の患者たちを前にして、我深敬汝等、不敢軽慢〜、という仏法の教えが浮かぶ精神を尊敬します。

私自身が福祉の仕事に就くことは現実的にはないのでしょうが、せめて、そうしたこころを敬いながら、クッキーでも何でも買い支えたいものです。


ついでに、綱脇龍妙の長女さんが書いた手記を購入し、勉強中。

私の人生にとって身延深敬園の歴史が具体的に関係があるわけではないのでしょうが(身延山に行ったこともありません)、それをいえば、綱脇龍妙という宗像出身の高僧にとっても、身延山に横たわっているハンセン病患者など関係があったはずがありません。

でも、そこで、自分には関係が無い、と割り切らないことが大事なのだと思います。割り切ること、忘れることなんてできないんですから。




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