図書出版ヘウレーカ

2018年創業の出版社。連載、刊行書籍の部分公開、イベントのお知らせなどを投稿していき…

図書出版ヘウレーカ

2018年創業の出版社。連載、刊行書籍の部分公開、イベントのお知らせなどを投稿していきます。読者のみなさんとつながることができたらうれしいです。 サイトはこちら。→https://www.heureka-books.com/

マガジン

  • 連載「ほんたうのさいわひ」につながる仕事

    代官山 蔦屋書店の人文コンシェルジュでもあり、宮沢賢治研究家でもある岡田基生さんによる連載。今年、没後90年となる宮沢賢治は、「ほんたうのさいわひ」を追求した作家・思想家です。彼の「仕事」に関する思想や実践に注目し、その生涯と作品をひも解きながら、「何のために、どんなふうに働けば、幸せな人生を送れるのか」を探っていきます。

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連載「ほんとうのさいわい」につながる仕事 #2「特別な誰かの幸せとみんなの幸せとの対立を越えて」 | 岡田基生

1 なぜ「ほんとうのさいわい」が問われるのか  前回は、どうしたら生き生きと楽しく働くことができるのかを考えるためには、私たちにとって何が本当に幸福なのかを知る必要があり、それを考えるヒントが宮沢賢治にあることを論じました。今回は、本当の幸福に対して、彼がどんなふうにアプローチしたのかを探っていきます。  まず基本的な点を確認しておきましょう。賢治の作品の多くは、本当の幸せをめぐる探究の一環として読むことができますが、「ほんとうのさいわい」やそれに類する表現は限られた作品

    • 連載「ほんとうのさいわい」につながる仕事#4「ほんとうのさいわい」の核心

        1.    「ほんとうのさいわい」を教える公園林  前回は「銀河鉄道の夜」第3次稿の読解によって、私たちは「実験」という方法と『法華経』という手がかりを得ました。しかし、「ほんとうのさいわい」を目指す方法と手がかりがわかったとしても、「ほんとうのさいわい」とは何かはいまだ明らかになっていません。  そこで道しるべとなるのが「虔十公園林」という童話です。この童話には「ほんとうのさいわい」の具体的な内容を考えるための、重大なヒントとなる箇所が含まれています。  簡単に童

      • 連載「ほんとうのさいわい」につながる仕事#3「ほんとうのさいわい」を探る方法と手がかり

        1.    「ジョバンニの切符」は何を表しているのか  前回は、童話「銀河鉄道の夜」や詩「薤露青」などを手がかりに、誰の幸せを優先するのかというテーマを扱いました。そして、家族や親友のような「特別な誰か」と、「みんな」の対立を超える道を、私と他のすべてが関係しあう宇宙の構造を実感し、生き方に反映していくことに見出しました。「特別な誰か」を通して「みんな」につながり、逆に「みんな」を通して「特別な誰か」につながる……。このようなつながり方を通して、「特別な誰か」の幸せを求める

        • 連載「ほんとうのさいわい」につながる仕事 #1「今、なぜ、宮沢賢治なのか」 | 岡田基生

          もしも、働かなくてもよい世界ならば  あなたは何のために働いていますか?  そのように問われて、私がまず思いつくのは、「生計を立てるため」、「生計を立てられるようなキャリアを継続するため」という理由です。  それでは、生活のために働く必要はない世界になったら、どうでしょうか。それでもまだ働く理由があるでしょうか。      私なら、とりあえず仕事はやめて、好きなだけ本を読んだり、旅行に行ったりして、遊び暮らしたいと思います。ですが、そんなふうにずっと暮らしていると、飽きてし

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        連載「ほんとうのさいわい」につながる仕事 #2「特別な誰かの幸せとみんなの幸せとの対立を越えて」 | 岡田基生

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        • 連載「ほんたうのさいわひ」につながる仕事
          4本

        記事

          『自然の哲学』(じねんのてつがく)の刊行を記念して、トークイベントを開催します(オンライン)

          8月20日に『自然の哲学――おカネに支配された心を解放する里山の物語』を刊行しました。著者は、名古屋大学大学院環境学科の高野雅夫先生です。木質バイオマスやマイクロ水力発電など再生可能エネルギーの技術開発と普及、若者の移住支援を中心とした中山間地再生=里山再生の研究に取り組んでいます。 自然は「しぜん」と読むのが普通ですが、この本のタイトルでは「じねん」と読みます。じねんとは、「自(おの)ずから然(しか)る」という意味。 高野さんがこの言葉に最初に出会ったのは、哲学者の内山

          『自然の哲学』(じねんのてつがく)の刊行を記念して、トークイベントを開催します(オンライン)

          少女が見つめた沖縄と人々の暮らし。映画「ちむぐりさ 菜の花の沖縄日記」、東京、横浜での上映が始まっています

           今から約1年前の2019年8月、『菜の花の沖縄日記』を刊行しました。おかげさまで版を重ね、現在5刷です。  著者は、石川県能登出身の坂本菜の花さん。沖縄のフリースクール「珊瑚舎スコーレ」の高等部で学ぶために、15歳の時、ひとり沖縄に渡りました。その3年のあいだ、月に1度のわりあいで、故郷の地元紙「北陸中日新聞」に書いてきたエッセイをまとめたのが『菜の花の沖縄日記』です。  その連載を読み、菜の花さんのみずみずしい感受性に心を打たれた人がいます。「ちむぐりさ 菜の花の沖縄

          少女が見つめた沖縄と人々の暮らし。映画「ちむぐりさ 菜の花の沖縄日記」、東京、横浜での上映が始まっています

          台湾のY字路が、MICOさんのPVに登場

          11月20日の夜、11時を過ぎたころ、栖来ひかりさんからメッセンジャーでお知らせが届いた。栖来さんは弊社の新刊『時をかける台湾Y字路』の著者である。 「たいへんです!」 iPadの通知に表示されたそのメッセージに、ドキっとする。とくに新刊が出たばかりのときは……。もしかしたら、誤植が発見されたのか!?  いや、でもそうではなかった。 つづいて表示されたメッセージは「この動画を見てください」 SHE IS SUMMER? 知らない……(ごめんなさい)。 「嬉しくなっ

          台湾のY字路が、MICOさんのPVに登場

          台湾のY字路に立ち、忘れられた歳月を拾う

           10月末に刊行した『時をかける台湾Y字路――記憶のワンダーランドへようこそ』(栖来ひかり著)のトークイベントの模様をご紹介します。前の投稿は地方に移住した女性がお婆ちゃんたちに出会い、村になじんでいったお話でしたが、こんどは、台湾に移住した女性のお話です。  著者の栖来さんが台湾に移住して10年余り。ふとしたことからY字路(Yのかたちをした三叉路)に興味をもちはじめ、台湾のY字路を150カ所以上訪ね歩き、その成り立ちをさまざまな資料にあたって調べ、埋もれた物語を文章にして

          台湾のY字路に立ち、忘れられた歳月を拾う

          カヲル婆さんに教えてもらったこと

           5月24日、東京・神保町にある農文協・農業書センターで、『片品村のカヲルさん 人生はいーからかん』刊行記念トークイベント「移住と婆さま」を開催しました。  ご存知ない方のためにあらためて説明すると、本書は、群馬県片品村に住む須藤カヲルさん(92歳)が、季刊『うかたま』に10年連載してきた「カヲル婆さんのいーからかん人生相談」を再構成したものです。薄くて簡単に読めるのですが、「読めば読むほど味がある」「カヲルさんの宇宙がかわいい」「土に根ざした婆ちゃんのしなやかな強さに感動し

          カヲル婆さんに教えてもらったこと