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ゲーセンと消費税について(まとめ)

こんばんは。

10月より消費税が10%になり、ゲーセンが厳しいだの、閉店するだの、という話になっております。

まあ皆様わかっている話だとは思いますが、勘違いされている方も散見いたしますので、コインオペレーションと消費税についてまとめ的な記事をアップしておきます。

1・コインオペレーションでは内税にならざるを得ない

ゲームセンターは硬貨(コイン)を機械に入れてゲームを遊ぶ、という業態です。決済に人を介さないので、ほぼ無人でも営業が可能などの利点がありますが、使用できるコインが限定される=国の通貨や通貨感覚に左右されるという欠点があります。

例えば、日本では100円か50円。アメリカでは25¢、などのように。

ゲーム機に使用されているコインセレクター=あらかじめ指定された種類の硬貨を選別する部品は一部を除いて「硬貨を指定されている」ので、それ以外の硬貨は入りません。つまり、100円セレクターなら100円だけ通過する。50円セレクターなら50円だけが通過できる、ということです。

このセレクター部分は共用部品であるものの、機械側も信号に対してクレジットをどう反応させるかが画一的なので、複数の硬貨に対応していません。

どういうことかというと、

100円、200円、300円

などのように同じ硬貨の枚数でしか金額が指定できないのです。

消費税が導入されると、端数の金額については現実的に消費者から徴収することは不可能になります。

例えば、110円の料金にしようと思うと、きわめて特殊なセレクターを導入する。 →1箇所5万円ぐらい。200口のセレクターを変えるとなると、それだけで1,000万円。10円の両替金、両替機の設備投資も必要。ちなみに、実験していたゲーセンは客離れが起きて通常料金に戻しました。

投入ごとにお客様から徴収していく。 →人件費がかかるうえに、各自決済はトラブルの元になりやすい。当然徴収漏れも発生する。

100円→200円にする。 →消費税以上の価格上昇になるし、客離れになる。

ということで、消費税がアップしてもそれを徴収するコストと、売上が減るリスクが大きく、消費税を内税として負担するという選択肢しか現実的には選択できない状況です。

2・電子マネーはどうか

電子マネー決済も浸透してきて、還元などもあるので良いようにも思えます。確かに、バーコード決済などは手続きは面倒ですが、導入費用自体は安いようです。

ここでも、ゲームセンターの特殊性が出てきます。前述の通り、コインセレクターは各機械に取り付けられていますので、電子マネー決済機器も各機械に取り付ける必要があるのです。これも1口5万程度。200口の取り付けで1000万円ほどかかります。(取り付け工賃は別です・・・)

さらに、電子マネー決済にしてもクレジットカード決済にしても決済代行企業に手数料を支払う必要があります。これが3~5%程度はかかりますので、1000万円ほど払って、お客様から消費税を頂いて、決済業者に支払う。という訳のわからないことになります。

ゲーセンからすると何も身入りがない・・・

3・受け取り消費税と支払い消費税

というように、ゲーセン側はお客様から消費税を頂くことはほぼ不可能です。(頂いたとしても、それ以上にコストがかかる)

その上、景品や各種重量課金には消費税が普通に外税でかかってきます。これではどこもやってられない・・・

というのもある面正しいのですが、

「まるまるもらえないけど、まるまる払っている」

かというとそうではありません。

消費税には「受け取り消費税」と「支払い消費税」があり、事業者が納付する消費税はこの差額でOKです。

・消費税込み100円=売上90.9円+消費税9.1円 これが「受け取り消費税」

・従量課金33円=課金30円+消費税3円 これが「支払い消費税」

(数字は約です)

一部の方のイメージでは、

100円もらって、メーカーに33円払って、国に9.1円払う。=残り57.9円

実際は

100円もらって、メーカーに33円払って、国に6.1円払う。=残り60.9円

となります。メーカーに支払った分は消費という形で納付済みなので、残りの部分を納付する、という考え方なのかな?(税金の専門家ではないのであしからず)

4・どちらにしても。

ということで、どちらにしても消費税が上がればゲームセンターはなかなかやっていけないのが正直なところなのは変わりません。

そもそも消費者負担が原則の消費税なので、実質不可能なコインオペレーションは対象外か、軽減税率が適用されても良さそうなのに・・・

せめて、電子マネー決済機器の補助金が出るとか。

ニーズが無い商売が廃れるのは致し方ない部分がありますが、税金などの国の制度でやりにくくなるのは、通常の閉店よりもニーズを残したまま廃業、という形になりやすいので、事業者・消費者双方にとってあまり良い話ではありませんね。

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