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ゲーセンの生き残る道は

こんにちは。
ケロットカップの記事の次がこんな重たいタイトルですいません。
ちなみにケロットカップ6は360名もの参加をいただき無事終了しました(ありがとうございました!)。

古くから知ってるファンタジスタ店長が体調崩されたということで、ツイートした一連のスレッドを元に記事にしてみました。ファンタジスタさん(@amfantasista)は孤軍奮闘頑張っておられますが、内情を聞いたり想像する限り、ほぼ慈善事業的に運営されています。

元ツイート。
https://twitter.com/satonori_h/status/1030844918523027456?s=19

いわゆるゲームセンターというと一般の方は格闘ゲームなどのビデオゲームが主流であると思われている方がまだまだいらっしゃるのではと思いますが、業界全体としては、プライズゲーム(いわゆるUFOキャッチャーなどで景品を獲得するゲーム)の比率が一番大きくなっています。
首都圏と地方、各オペレーター・各店で違いますが、その次にビデオゲームやメダルゲームが後を埋める形になっています。

そんな事情がありますので、「ゲーセンの売上が好調」と言っても、決してビデオゲームが好調なわけではないということです。この1年でも多くのお店が閉店しましたし、消費税アップをにらみつつ、年度末に向けてさらに閉店は増えていくでしょう。

一方でゲーセンではないビデオゲーム括りでみると、かつてないほど盛り上がっています。
いわゆる「e-スポーツ」ですね。

ゲーセンの売上は好調
ビデオゲームは盛り上がってる

でもゲーセンのビデオゲームは絶滅の危機なんですよね。

■閉鎖的な業務用(ゲーセン)市場と世界規模な家庭用(コンシューマー)市場

消費者視点でみると、業務用も家庭用も同じゲームとして見てしまいますが、販売している場所(市場)がそもそも違います。業務用はほぼ国内販売のみで、家庭用はワールドワイドになります。
業務用はヒットしても単体台数で1万台も売れませんが、家庭用は300万本〜1000万本と売れる数が桁違いです。この売れる数、収益性がもろに「開発費」に跳ね返ってきますので、そこから先は「販売価格を上げる」か、「従量課金を取るか」の選択肢しか残っていません。
一般に悪く言われる従量課金ですが、開発の側面から見れば導入せざるを得ない部分があるのもまた事実です。導入しなければそもそもの販売価格が高くなりすぎて購入してもらえない=収益にならない→開発できない。となってしまいます。
つまり開発会社からみると、収益が取れる可能性の高いコンシューマー事業にお金をかけて、収益が取りづらい業務用事業には開発費をかけられない。という実情があります。

これは結局「ソフトの質」に行き当たってしまいますから、消費者視点でみればより魅力的な家庭用ゲームに流れてしまうのは当然の帰結でしょう。(収益を得るための客単価を考えると、プレイ料金も高くならざるを得なく、それが消費者からしても家庭用の方が安く遊べるという状況を作っている側面もあります)

■低性能な業務用と高性能な家庭用

事の発端で言えばプレイステーションの登場、決定的になったのは2からです。
家庭用ゲーム機の市場拡大、開発競争により、業務用と家庭用の性能差が無くなる、もしくは家庭用の方が性能で優れるようになってしまいます。

現状稼働タイトルでも「鉄拳7」はアーケードが一番ラグが大きく、スチーム(PC)が一番スムーズと言われています。

業務用にはセキュリティの都合もあり、専用基板を用意せざるを得なくなってます。今ではほとんどPCベースですので、性能としてはその時代のPC程度はあるのですが、長期間使ううちに結果的に低性能(時代遅れになる)になってしまいます。これを交換しようと思うと、また費用がかかって・・・という状況になりますから、メーカーも二の足を踏みます。
プレイステーションを元にした基板(というかそのものが入っている)もありますが、一部のみで、低価格・高性能を実現しているとは言い難い現状です。

■つまりアドバンテージが何もない

というように、業務用のビデオゲームが優れる点が何も無いのです。デバイスを特殊にできる、統一できるという利点はありますが、これも行き過ぎると高価格になったり、そもそもゲームが流行ってないと統一云々もあまり意味をなしません。

業務用各社もカードの印刷を導入するなど、業務用ならではのアドバンテージを作ろうとしていますが、価格面や消耗品原価の面でゲームセンターを救うとまでは言いづらい状況です。
(ファンタジスタさんの例ではありませんが、艦これのお陰で息ができたお店があるのは間違いありません)

■では何がアドバンテージとなり得るか

答えが出てるなら現状のようになってないと思いますので、あくまで私見で。
成功例としはミカドさんがありますね。うまいポジショニングとブランド力、場を有効に使った好例と思いますが、一方で都心であるから、という部分も大きいように思います。(ミカドさんの分析はネットにも落ちているので簡単に)

一つは場としての魅力。
日本の場合は個人宅がそれほど広くないので、「誰かの家に集合」は4、5人の場合可能でも、それ以上になると厳しいものがあります。また、SNSが発達した現代では、「よく絡んでるけど実際に会ったことはない」人もいます。いきなり個人宅に、にはなりづらいので集まれる場所という魅力はゲームセンターにあるものです。また、「騒げる」など声・音が出せるのもアドバンテージですね。

二つ目に統一的な環境。
ネット対戦も家庭でできる世の中になりましたが、まだ個人宅では回線状況による部分も大きいです。モニターサイズなども含めて、家庭用で用意するには金銭的なハードルが高い部分もあります。

三つ目にゲーセンでしかできないゲームがある。
原点に帰りますが、古い基板もののゲームは移植が完璧でなかったり、ハードウェア的な状況でゲームセンターでしか(再現)できないものもあります。
過去のストリートファイターシリーズ(2XやⅢ3rd)がこれにあたります。

ここから導かれる結論としては、
1・韓国のPC房のような家庭用コンソールやPCなどを遊ばせる施設
2・レトロゲーム中心に収益が取れる集客をもった施設(ミカドさんのような)
という2パターンしかないかなと思われます。

ただし、1の場合、日本ではパブリッシャーの許諾の問題、風営法の問題などがあり、正攻法では難しい現状があります。
2は先にも書いたように、人口のバックボーンや、運営側のタレント性(パーソナリティ)が求められます。
どっちも難しい!という結論に至るのですが、大手は手を出せない部分になってきますので、逆に小規模には生きる道ができてくるのかもしれませんね。

e-スポーツブームということで、近い施設はできていってますので、色々見ながら今後も生き残る道を探っていきたいと思います。とりあえず、明日はC4LAN見てきます!!

(追記)
C4LANには本日行ってきました!
ちょうど開会の儀でしたが、ゲームを楽しもうという雰囲気は非常に楽しそうだし、お金払って来る理由も良くわかるなという印象。
ただ、「こういう場」になれなかったゲーセンについて考えてしまいます。
ある方とお話してて出てきた言葉ですが、
「機械を置いて稼ぐ」
というゲーセンのビジネスモデルから抜け出せてないのかな、と。そこには「結局はメーカー任せ」というオペレーター側の低い意識があったのかなと反省したりしました。

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