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ゲーセンの営業ノウハウを記していく・番外編

ゲーセンは今後どうなるのか?

ここ数年の流れ

ここ数年の流れをざっくり流れを説明すると、
・艦これアーケードの成功による功罪
・景気回復とプライズ
・最大手の動きで流れは決定的に

という流れでビデオゲームの凋落とプライズ機の拡大となっています。
最後に今後数年どうなりそうか?という話までしてみたいと思います。

艦これアーケードの成功による功罪

艦これアーケードが出るまでのビデオゲームは長いヒットタイトル(戦場の絆やボーダーブレイク)こそまだ稼働中だったものの、あまりヒット作にも恵まれず、スマホゲームの伸長とともに苦戦している、さらにスマホゲームとのコラボタイトルはいまいち振るわず、という状況でした。
そんな中発表後さらに発売まで延期された艦これアーケードが発売され、大ヒットします。
これによってゲームセンター業界もちょっと元気になり、特に苦戦が伝えられていた小規模・中規模店舗ほど影響という面では大きかったように思います。
艦これアーケードのヒットの理由は多々ありますが、開発としても「人気版権もしくはアニメとのタイアップタイトルであること」「スマホゲームとは違い、カードなどのリアル成果物が得られること。もしくはアーケードならではの体験」と狙っていたように思いますし、少なくとも我々含めた市場はそう分析していました。
このヒットによってメーカー側の開発も俄かに活気づきます
通常アーケードゲームの開発は1~2年でリリースとなります。そんなこんなで艦これアーケードの2年後には大量のビデオゲームタイトルが発売されるのでした。
その中の1つでも大ヒットがあれば・・・というところでしたが、よくてスマッシュヒット。中には早々に運営を諦めたタイトルもあり、これを購入したゲーセンは艦これの儲けを全部吐き出したんじゃないかな!?と思われます・・・
鳴り物入りで業界参入した某大手ソフトメーカーはここで撤退するという選択もしています。
艦これのヒットが結果的にショックになってしまったのは残念でした。

景気回復とプライズ

艦これアーケード発売より前後して、2012年の政権交代後、金融緩和が行われ、震災からの立ち直りもあり景気の回復、そして失業率の改善がありました。
ゲーセンの現場で感じたことには客観的な数字はなくて肌感覚に近いものなのでご了解のうえお読みください。
まず変わったのは、新入社員面接に有名国立大学生が来なくなりました。それまでは就職難で、国立大学に通っていた生徒も地方のゲームセンターへ就活をしに来ていたのです。
そして次に、フリーターとして働いていたベテランスタッフさんが続々と「正社員での就職」でいなくなります。「うれしいことだけど、やってる方は厳しいなぁ」という感想を持っていましたが、そうこうしているうちに業界ではプライズの売上が前年を毎年上回るようになります。
理由の一つはインバウンド客の増加による、都市部のプライズ売上増加。
一方、地方にはインバウンド客は来ないのですが、プライズ売上自体は好調でした。
これは私の仮説になるのですが、失業率が改善し、安定的な仕事に就く人が増えた結果、近場レジャーへの支出が増えたのではないか・・・と思っています。
そんなこともあり、全体としてはプライズ売上が伸びていった、また現状も伸びている状況です。

最大手の動きで流れは決定的に

そういった全体状況の中、ついに最大手のラウンドワンさんが、「世界最大級のクレーンゲームフロア」と銘打って、プライズの拡張に乗り出します。外部リンク
プライズが拡張するということは他のジャンルが縮小する、ということで・・・
ラウンドワンさんと言えば、発売されるビデオゲームタイトルをどこよりも?購入するぐらいの最大手ですので、ここが何かのジャンルを縮小する、ということはメーカーにとって販売数が減るということになります。
ゲーセンのゲームというのは各家庭に売るわけではないので、売り場の面積が上限になります。そうでなくても開発費や部材の高騰、ゲーセンからは儲けをかすめ取っていると非難されながら色々と利益が出るように工夫をしているメーカーからすると、ビジネスモデルが崩れる状況なわけですね。
これによって既に、ビデオゲームは音ゲー以外は新作が出ない状況になっています。新作が出ないと人も来なくなりますから、ビデオゲームは今までよりさらに厳しい状況になるでしょう。

今は好調だが・・・

コロナというイレギュラーはあったものの、鬼滅の刃の大ヒットでプライズの影響は少なかったらしいですが(既に離れていたので噂程度)、これからのアフターコロナでも好調は続くでしょう。
ではさらにこの先はどうか?
プライズ景品というのは食品類などを除けば、ほとんどが中国などの海外生産です。
そうなると為替の影響を受けるのですが、一方で国内的には景品の上限金額といのも決まっています。これはもちろん円ベースなので、円安になれば同じ金額でも海外貨幣の価値が下がります。
しれっと先日、上限金額が800円から1000円に引き上げられましたが、急激な円安が進む中ではあまり意味がない引き上げになりましたね。
こうなってくると、後は国内景気状況によりけり、といったところでしょうか。

今後は景気次第

米国の景気後退自体は確定事項的に言われていますが、通常であれば米国景気が悪くなれば日本の景気も悪くなります。ここは何とも言えないところですが、日本の景気のみ良くなる観測もありますが、どちらにしても円安はそこまで進行しなさそう。
とすれば少なくとも目に見えて大きな影響はない(少しの円安といっても、輸入業者には厳しいので、もちろん業界内では色々とあるでしょうが)と思われるので大勢としては劇的変化はなさそうではあります。
そうなると結局ゲーセンのプライズ機は増えていくだけで、増々ゲーマーとは縁遠い場所になりそうです。

ヒット作は出るか?

というビデオゲームからするとお寒い状況の説明だけに終わってしまいましたが、いくつか可能性の部分も提示しておきたいと思います。
1・頑張ってるコナミ
 この状況下で新作ビデオゲームを出し続けているのが意外(?)やコナミ(コナミ・アミューズメント)さんで、12月にはチェイスチェイスジョーカーズ(ロケテスト告知ページ)、夏付近には麻雀ファイトガール(ロケテスト告知ページ)も発売と定期的に新作を提供してくださっています。
 また、ビーマニプロリーグ(BPL)という、ビーマニシリーズを使用したeスポーツリーグも開催しており、音ゲータイトルの盛り上げにもチャレンジしている印象です。
2・台風の目になるか、GIGO
 セガの施設や他の地方ロケも購入し、勢力を伸ばしているGIGOGENDA)。先述のBPLへの参加にも力を入れているのもあり、ビデオゲーム関連の投資意欲もあるようなので、ここ次第で各メーカーの開発ラインの維持にも影響しそうです。
3・セガもそろそろ?
 一方、施設を売却したので、ビデオの安定的売り先を無くしたセガですが、基本的に開発ラインというのを維持する以上は何かしらのタイトルを開発しなければならないはずで、縮小しているとはいえ、そろそろ何らかのタイトルを出してくるはず・・・という噂。
 ここらあたりのタイトルや、力を入れたゲーセンが盛り上がったりするとまたすぐになびいてしまうのが、良くも悪くもゲーセン業界なので願わくばヒットしてもらいたいですね。

まとめ

まとめてしまうと今の状況では大勢に影響は無さそうな雰囲気であるので、ゲーセンは今のままでしばらく走りそうです。
プライズはコロナ明けもあってしばらく好調が続くでしょう。
eスポーツの取り組みなども具体的、各ロケに恩恵という形で見られない限りは全体としても動きもないと思われます。
「現状では」という条件付きですので、コロナ明けで実際にどういう動きになるのか、ロシア周辺状況の変化、中国周辺状況の動きなどで大きく動く可能性もあるので油断はできませんね・・・

次回予告

次回は本筋ということで、各ジャンルの深度と角度というお話を書きたいと思います!

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