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ゲーセンの営業ノウハウを記していく④

お客様は誰か

はじめに

20年間勤め(ry
注意点(テンプレ)
1・(もちろんですが)元所属会社の営業秘密は記しません。
2・勤務していたのはコロナ前なので、現在には当て嵌まらないことも多いと思われます。
3・とはいえ、普遍的?な基礎の考え方や現状も鑑みて記事は書きます。
4・なるべく早いペースで書いていくため、文章が変だったりわかりにくい場合があるかもです。
  質問等はコメントにお願いします。なので、後日記事の修正が入り得るのでご了承下さい!
5・有料記事も含みます(読んでくれる人がいるのか・・・) 今回は無料ですー
以上ご留意のうえお読みください。

割と今回は有料級な内容かな!と・・・(まだ具体論ではないんですが)

ありがちな勘違い

特にゲーセンで働いている人、ゲーセンに行ってる人ほど勘違いしがちなのですが、ゲーセンに行っている人という時点で少数派であるということを認識しましょう。
はい、「圧倒的少数派」です。
まず、最近でこそアプリ課金やサブスク等で認識が変わってきつつありますが、「お金を払ってモノを所有する」ということが普通の感覚で、「お金を払ってゲームをプレイするだけ」という価値観が受け入れられない人が大半です。
「だって何も残らないでしょ」

そこからどう考えるか

そういった認識に立ったうえで、2つの方向性があります。
「ということは、ゲーセンの見込み客はまだ無数にいる!」
「ということは、ゲーセンの見込み客は少ない」

まぁどちらも正しいのですが、マーケティング的には前者には労多くして功少なし。新規客を取ることはどの商売にも必要なことですが、基本、新規獲得にはコストがかかります。
「でも昔は何もしなくても見ないお客様が多くきて・・・」
という成功体験は現在では忘れた方がいいかもしれません。どの業界でも、全体が伸びている時代は、その業界の勢いがある種広告になって新規客を呼び込みます。やってることは同じでも業界全体の勢いが違うと末端の効果も違ってくるものです。
まずは「見込み客は少ない」との認識に立ったうえで考えていった方が良いと私は思います。
そんなネガティブな・・・と思われるかもしれませんね。

ジャンルごとに見ていくと

ゲーセン内の各ジャンルごとに「お金を払ってゲームをプレイする」を考えてみましょう。
・プライズ お金を払ってゲームをした結果、見返りがある。
・メダル  お金を払ってギャンブルをするが、換金はできない
・ビデオ  お金を払ってゲームをするだけ
・シール機 お金を払って撮影してシール、データを得る

獲得可能性(=必ず見返りがある)で並び替えると
・シール機>プライズ>ビデオ(一部カード等払い出しがある)>メダル
となります。こう見ればなんとなくわかると思いますが、左に行くほどゲーセンコア客が少なく、一般的なお客様が増える印象です。(シール機はそもそもの対象を絞ってるので狭いですが!)
つまり、世間一般で考えれば、見返りがあるものにお金を払う、というのが一般的な感覚で、物品で見返りのないものにお金を払うのは少数派なのです。

マイノリティ①・ビデオのお客様

今や機械もお客様もかなり少なくなってしまいましたね。
世の中の流れとしては「モノ以外にもお金を払う」感覚というのはかなり一般的になってきていますが、ことビデオゲームに関してはF2P(基本無料のスマホゲー)、家庭用ゲームの高度化、ネット環境の発達などによってゲーセンのビデオゲームはかなりお客様が少なくなってしまいました。
ゲーセン独自のものとして、「カードの払い出し」をWCCFや三国志、また「オンデマンド印刷」と組み合わせた艦これアーケードなどが。「体験をより特殊なもの」とした、機動戦士ガンダム戦場の絆などがありました。
ここにあげた機械は、ゲーセン的には「成功した」機械ですが、実はプレイ人口としては最大でわずか数万人~十数万人と言われています。その人数で高額な機械や運営費を支えていると考えると、一人当たりの使用金額は大変なものとなります。
では気軽な純粋なビデオゲームは、というとわざわざゲームセンターでお金をいれる人はもっと少人数になるし、プレイヤーの多かった昔基準で作られたゲームはそもそも入るお金の上限も決まっているのが現実です。

マイノリティ②・メダルのお客様

ビデオゲームはゲーセンの主力だった時代もあったので、内部の人間としても「コアなお客様しかやらないよね・・・」という認識になりますが、メダルゲームはそれとは違った客層が来られるので、「一般客がたくさんくるジャンル」という認識を持っている方も多いのではないでしょうか。
しかし、これが間違いの始まりで、「メダルゲームにはまだまだ見込み客がたくさんいる!」という考えを根底に、安売り・サービスでお客様を集めようとしがちです。
・・・業界人だったら色々と心当たりがあると思いますが、それで果たしてメダルコーナーのお客様は増えましたでしょうか?
私からすると、メダルゲームこそ、「高額なお金を使って手元に何も残らない」ゲームなんですよね。スターホースなんて顕著ですが、よく考えたらキッズメダルだって金額が少ないだけで同じです。
前々回記事に書いたように、メダルゲームは元々「カジノ」の再現として発明されたものです。つまり根底は「ギャンブル」で、ビデオゲームほどのゲーム性があるわけでもなく、勝ったら預けて次回使えるものの、パチンコ店のように景品交換もできません。
働いている人ほど見逃がしがちなんですが、今一度、「お客様はなにが面白くてプレイしているの?」ということを考えてみた方が良いと思います。
メダルゲームはとても楽しいもので、パチンコ店に比べてもゲーム性も様々あるし、賭けレートも低~高レート選べるし、なのですが、「何も残らないこの面白さをわかる」人にはある種の素質というか性質が必要で、それは万人にあるものではないんですよね。

まとめ

「お客様は誰か」というのはマーケティングの基本ですが、現在来ているお客様だけを見ている内部の人間は往々にして間違いがちになります。
来ているお客様だけでも、常連さんをみてうちのお客様と思うか、普段あまり来ないような人をみてうちのお客様と思うか。既にここで分かれ道ができてしまいます。
ゲーセンの売上は集客による、というのが大前提とすると、お客様をどうやって増やすか、そのために定義する「うちのお客様は誰か」が非常に重要になります。
そして、提供する商品を欲しがる(ゲームで言えば面白いと思ってくれる)お客様=見込み客を見誤ると既存のお客様をも逃がしてしまうことになるので注意です。
今回はそこのところの概論でした。具体論は各ジャンルの話になったあたりで書いていきます。

次回予告

次回はちょっと番外編で、「ここのところのゲーセンと、これからのゲーセン」。
今後の予想記事でも書いてみようかと思っております。

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