【命の教育】子どもたちに田んぼを6年間やらせてみるといい。

 「個人消費が低調でGDPが伸び悩んでいる」といった報道が繰り返されると、経済成長なしには社会は維持していけないのだと思い込むようになる。しかし本当のところはどうなのだろうか。企業は前年を超える売上目標を常に掲げるけれども、それが永続しないことは誰もが知っている。そして目標を達成しようとすると、環境や資源が損なわれ、結果として人々の生活を不幸な方向に向かわせることも私たちは知っている。

 対して農の世界には前年対比100%死守や効率最優先という考え方はない。命を相手にしているのだからそれが当然なのだ。そしてそれが人類が生きてきた長い長い歴史の99%以上の時代に通用した常識だった。

 命を相手にすることを子どもたちにもっと経験させることが必要ではないかと思う。命とはいかに思い通りにならぬものか、人間がいかに無力かを知ることは何よりも大事な学習だ。私は常々、小学校の必須科目に田んぼ実習を入れるべきだと考えている。小学校に入学すると同時にクラスごとに田んぼを割り当てる。子どもたちは6年間その田んぼで稲を育て、コメを収穫するのだ。田植えや稲刈りだけではない。田起こしも代かきも水の管理も草刈りもすべてやる。週に2、3時間、クラス全員でかかればできる。

 6年やれば田んぼのことはほとんどわかるだろう。田んぼに愛着もわくだろう。命や食べ物の大切さを実感するだろう。協働することの貴重さを覚えるだろう。できたコメは給食に使い、家にも持ち帰って食べる。その旨さはいかばかりか。都会ならプランターで野菜を育てても良い。鶏を飼って卵を獲ったり、絞めて羽をむしってさばく経験もいいだろう。大事なのは、生きるとは命を奪うことだと学ぶことである。

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