今更ダンデビ(楚神ウリエと幼馴染感情劇の話)

※楚神ウリエルートのネタバレがあります

本当に今更かよ、なんですが。
アニメ開始の情報を見たときはまーたゼファーの再来か…?(分かる人はわかる)と疑り深い目をしていたんですがいざはじまるときちんとミュージカルアニメ、そしてアクマとヒトの恋の様を描いているアニメでした。
第三図書館とかしいたけ様とか、我が名はレム・アーロンドとか忘れ難いワードが飛び出しいろんな人に楽しまれたアニメだったと思います。
メインヒーローが好きになる女なのでヒトを選んでレムと別れてしまうアニメ最終話は号泣し、舞台ではアクマを選びレムと結ばれたことに泣き、映画では兄を選び、レムはテレビサイズなのになんでリンドはスクリーンでキスシーンの待遇なんですか!?(乙女ゲーの兄が苦手な女)と楽しみましたがようやっと発売当日に買ってひとまず共通くらいはやるか…と気づいたらウリエルートを全部終えていた。

ここからようやくウリエルートの話をします

私の乙女ゲームの女子にモテる男子(いわゆるチャラ系)、刺さる率は五分五分です。ウリエは刺さりました。よかったね。
ウリエとヒロインの話としてもよかったんですが、幼馴染みだけれど家柄は主従というレムとの関係性がまたよかった。ボーイのラブの話ではないです。
最初はなかなか手中に落ちてくれない子だなぁ、とからかいがちで扱っていたのにいざグリモワールがヒロインそのものだと知ったとき、ようやく己がレムに勝てるチャンスが来たんじゃないか?というあたりからのウリエにはもうゾックゾクでしたね。
方法として、ヒロインを洗脳して自分の言うことしか聞かない状態にして、さらにそれを父親に報告できず、折檻されるレムの姿を見ても心は晴れない。
「ずっと格下だと思っていた僕に先を越されたら、どんな顔をするのか楽しみだったんだけど。……思ったよりはつまらないな」

ここでまず私は拳を振り上げましたね。レムは多分、ウリエのこと格下とは思っていないですよ。信頼できる右腕と言っていますし、家柄のことがあるからそう振る舞っているだけで。でもウリエは幼馴染みと言いながら、自分はレムより格下と蔑んでいたんです。
これにも理由があってリジェにありがちな性的に奔放な父親と母親がいるからなんですね。家族もほぼ異母兄弟で36人くらいいるらしいです。ネズミかよ。
で、よりによってウリエはその長男。しかも父親似。なので母親は自分も他の男に手を出しながら、色んな女に手を出すウリエが大嫌いで仕方ない。
けど母親のその行動自体の矛盾を指摘するとこの台詞です。
「私が産んでやったのに、楯突くつもり!?
 アンタなんか、作らなきゃよかった!」

まぁ私は万歳しましたね。リジェの母親、だいたい産んだ息子を子供と認識しないか、父親の面影を求めて縋るか道具扱いするので。
一応ヒロインは洗脳されながらも、自分のしていることに疑問を持ったり拐われた母親のことを思い出して自ら洗脳を解くのですが、このときのウリエが
「どうして、よりにもよって母親なんてくだらないモノのために目を覚ますかな」
この辺りで親と何かあるんだろうな(肉体関係とか)と思っていたんですがよろによって長男で(父と母の最初の愛の結晶)、けれど産んでくれた存在から否定される。自分という個人を認めてもらえない。自分でも認められない。
だから夢魔という自身の力で他人から愛を搾り取ろうとする。ただ、前述したように己を認めることができないからいつまでたっても満たされることはないし、それも一時の感情でしかない。
そしてレム自身はそういうウリエに気付いているとヒロインに打ち明けてくれます。けど、レムが直接言っても、ウリエ自身が認めることができないからレムもどうしようもできない。
ただ、ヒロインはそれができます。ウリエがようやく見つけた「レムに勝てる存在」なので、ウリエはその言葉を聞くことができる。
そしてヒロインは家族がとても大切という、正反対の価値観の持ち主です。
ウリエの家庭事情を聞き、一時期だけじゃないウリエが満たされるまで傍にいたいとヒロインは誓います。この時ははぐらかされてしまったんですが、後々ダンスパーティでレムと踊ることになったヒロインの手を、ウリエは自分の意思で奪とります。ヒロイン個人を好きになったから。
というあたりでヒトとアクマルートに分岐します。

ヒトルート
グリモワールの力を手に入れる方法がわかりました!
ヒロインを殺してその血を全部飲みます!以上
乱暴すぎる。
しかもこの方法なんと615年に一度しかないらしくし、タイミングいいことに数日後ヒロインが誕生日を迎える満月にはグリモワールの力が消えちゃいます!以上
乱暴すぎる。
まぁ当然ウリエはショックですよね。ちなみにヒロインもこのことを教えられます。残酷。けど今まで名前で呼んでいたのに「その他大勢」と同じ「蝶々」と呼びかける様や、逃げ場を作っていたりと本心は殺したくないことまるだしのウリエ。ヒロインもそれに気づいて、手をかけようとするウリエに立ち向かいます。
一度は手にかけようとしますがまぁできません。
なので誕生日を迎える午前0時を過ぎるまで一緒に逃げることにしました。

ここでアクマ達と対立します。ちなみに皆さん本気モードをだすとアニメ最終話のあの面白衣装を着るので笑っていいのかウリエを応援していいのかわからなくなります。どうしてもその衣装じゃないとだめですか?
いや、でもレムが一度目の戦いのときにつらい、と言ったときは心が熱くなりました。それ、そういうところよ…。

ハッピーエンド
最終決戦はウリエの産み出した夢魔空間(肉体ごと転移させるのでダメージもそのまま本体に来る)で戦い、四方山というところでウリエが産み出した偽の「午前0時を告げる鐘の音」を聞いてレム達はグリモワールの力が失われたとして去っていきます。
(でもこれ、レムはニセモノの音だってわかってたんですって
 そういうところ〜〜〜〜〜)
そうして本物の午前0時の鐘の音が鳴り、
晴れてヒトとアクマとして、ウリエと結ばれたのでした。
でも後日談はまた幼馴染みとして仲良く将棋してました。
レムは早急に魔界に帰らなきゃと思っているけど、シキとメィジが人間界を気に入ったから帰れない、とぼやきますがウリエは僕のためじゃないの、幼馴染み殿。それに対してレムはぼやけるな、とにこやかに会話を交わします。
ハッピー。幼馴染み組の話になりましたが〆はちゃんとウリエとヒロインのキスシーンですよ。

バッドエンド
ヒロインに辛いところを見せたくないので、ヒロインを幸せな夢の世界へ眠りにつかせひとりでレム達と立ち向かうことを選びます。
ここで加勢しようとするシキ、メィジに邪魔するなと言うレムや絶対に負けないと返すウリエ。
「私は相手が誰であろうと手を抜かない。万難を拝し、完全に勝利する。
それがアーロンド家に名を連ねる者の責務だ」
「……そうだね。それでこそ、レム。僕の幼なじみだ」
「僕は生まれて初めて、君に勝つよ。」
たすけて〜〜〜〜。押し潰されそう。
ちなみにぼくの幼なじみだ、の部分テキストに強調はありませんがタカシコンドウ氏はそこを強く、叫んでいます。ありがとう。タカシコンドウ氏。
けれど彼は勝てませんでした。
最期、どうしても彼女に会いたくて、眠る彼女のもとに彼は向かいます。ここのスチル。とても美しい。
ダンデビは元のキャラデザからして癖が強いんですが、本当にここのスチルは美しくて切ないです。彼の願いは届き、事切れると同時に午前0時の鐘が鳴ります。
美しい温室で眠っていたと思えばそこは学校の屋上。夢は崩れ去りました。
彼女は生きているけど目覚めません。目覚めてしまうと、彼はそこにいないから。だったら、彼が生きている夢の中にいる方がずっと幸せなのです。
このエピローグ、エクソシストであるアズナが眠り続けるヒロインに対し、彼女が望んだことなんだと思うと理解を示していたのが良かったです。
エクソシストとして、ヒロインを守る為に友達になったけど本当に親友だったんだな、と改めて思いました。

アクマルート
グリモワールの(以下略)
ここでネスタ様が顔をお出しします。ネスタ様めっちゃ強い。
小指一つ動かさず人を真っ二つになさる。
ここでですね、リンド兄、私が苦手なリジェット兄が、ウリエにヒロインを託すんですよ。助かるヒントがあるかもしれない、そこに逃げろ、というんですよ。今までに言ったリンド兄への苦手発言全てを撤回して土下座したかったです。
で、ヒロインの祖父の家に行くとここでヒロインがアクマとヒトのハーフであることがわかる。その、ヒロインが宿ったきっかけはわかりませんがもしかしたら、夢魔に犯された(伝承にあるやつですね)のかもしれない、とウリエは言います。まぁヒロインは動揺しますよね。けれどウリエは言うんですよ。
「君のお母さんは、きっと自分の意思でアクマと恋に落ちたんだと思うよ。
でなきゃ、生まれた子供である君をこんなに愛して育てたりしないさ」
母親に産まなければよかった、と言われた男がいうんですよ。
それはアクマであるウリエとリツカがこうして惹かれあっているから。
で、ヒトとアクマのハーフだからこそグリモワールが宿ってしまった。それを無くすには血を全部抜くか、あるいは完全に「どちらか」にしてしまうか。
要は遺伝子を混じり合わせなきゃいけない。まぁ、お察しですね。
ここでウリエとヒロインが身体を交らう展開は、嫌ではなかったです。
出来るならベッドが良かったんですが…。
アクマになることを受け入れ、グリモワールの力も消えて万全ハッピーかと思ったらヒロインは完全にウリエの言うことを聞くだけのお人形になってしまいました。前にウリエが無理やり洗脳した時みたいに。因果応報。

ハッピーエンド
どうしたら元に戻せるのか考えているうちにレム達はヴァンパイアの元に行って殲滅してくるそうです。それが終わったら魔界に戻るそうです。今夜の0時に。
わざわざ猶予とか言うあたり、レムはウリエのこと案じてますね。同時にウリエもレムに無茶しないでくれよと心の中で思っています。幼なじみ〜〜〜。
ただ、どこに行っても、なにをしてもヒロインはなにも思い出しません。
でもウリエが悲しげな顔をしていると、期待に添えられない自分が申し訳ないと謝るだけです。
ちなみにヴァンパイア達はグリモワールが消えたと分かった瞬間さっさとおさらばした様です。賢い。
けれどレム達が取り戻してきた母親を見せても、ヒロインはなにの反応もしません。母親を返す為に暮らしていた家を見せても、なにもわかりません。
0時が近づく中、ウリエはもう一度中庭でダンスをしようと言います。
ダンスがわからないと言うヒロインに、もう一度やさしくウリエはダンスを手ほどきします。手ほどき、交わした会話、段々と思い出さなくてはいけない、と考えるヒロイン。ここでシンデレラの話をウリエがします。うま〜い。
0時の鐘が鳴った時、王子様はお姫様の手を取れませんでしたがウリエはきちんと取れました。本当によかった。

エピローグ、魔界に来て早々家に僕のお嫁さん!と紹介して非難轟々でしたけど気にしません。自分だけのお姫様のために用意したいシャンデリア、ドレッサー、着飾らせたいドレスの話の話をするウリエをヒロインは愛しく思います。
もうどこにも行かない、そしてウリエの全てが愛しいので抵抗もしない。
ようやくウリエは蝶々をピンに留めることが出来ました。
まぁ正直一番好きなエンドですね。二人きりの世界というのもあるのですが、それまでの話での積み重ねがとても丁寧でしたので。
あと結局私は、異形愛においてその人のためにその人と同じになるという結末が好きなんだと思います。(シェイプ・オブ・ウォーターしかり)

バッドエンド
ヴァンパイア達が去ったというのはただのフェイクでネスタ様がウリエの元にやってきて直々に殺しに来てくれました。レム達ですか。お察しです…。
留めを刺されようという最後に、ヒロインはウリエを庇うんですね。
何度も、何度も。そうしてもう開かない瞳で、ウリエのことを呼びます。
どこにいるのと、前の彼女の口調で。あとは彼の慟哭が響くだけです。

アクマ倒したんでさて帰るか〜というネスタ様。
けど、ウリエはまだ生きていました。たったひとりの愛をくれた人を失ったから、せめてもの報いに。
無事ネスタ様は死にましたが、そんな彼を褒めてくれる人はいません。
でも二度と傷つくことのない世界に二人でいけるから、幸せです。


め〜〜〜っちゃ長くなってしまったな!?
なんかもういつものリジェだからトンチキ全開なんでしょ親の話だってリジェなら何回も聞いたやつでしょと舐めていたら話の積み立てがとても丁寧なお話でした。あと幼なじみ感情爆発劇。私はウテナの樹璃さんと枝織の関係性がとても好きなのでその辺わかる方にはレムとウリエの幼馴染み感情劇響きそうだなと思います。(あそこまでどろどろとしてはいませんが)
一発目でこんな性壁に響く男を引いてしまったので次どうしようか迷いますね…。多分ローエンは全員終わったら解放なのかな?
とりあえず次はシキに行こうかと思います。リジェで平川さんというと私の中でディアラバのライトさんが何度も顔を出してそのたびに血反吐を吐かせてくれます。まぁでもダンデビなら大丈夫かな。そう思いたい。

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