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THE ROAD FOR SHOGO~浜田省吾への道 Vol.3田家秀樹その1

浜田省吾の魅力を、浜田省吾を取り巻くさまざまな人たちと浜田さんとのエピソードトークから紐解く特別企画。8月のインタビューゲストは、浜田省吾の“はじまり”から“いま”に至るまで、すべてをルポルタージュしてきた音楽ライター・作家の田家秀樹さん。まずは、その“はじまり”の話を伺いました。
インタビュー:屋形英貴(広島FM)


「これは“俺たちの歌“だなと思ったんで、やらしてくださいって言って、会ったのが最初なんですよ」

田家
そもそもの出会いっていうことになるんでしょうけども、ソロデビューする時にですね、ソニーのレコード会社の人から、 相談したい件があるんだって言われたのが最初なんですよ。僕、放送作家でしたから、当時、文化放送で、レギュラー12本書いてたんです。
それで、あんまりライブとか見てなかったんですけど、音源はほとんど聞いてたんですね、いろんな人の。で、まあ、愛奴も聞いてはいて、 認識もしていたんですけど、ライブは見たことなかったんです。拓郎さんのバックは見たことがなかったんで。で、(レコード会社の人から)「浜田がデビューするんだけど、 ちょっと相談、乗ってくれないかって」言われたんですね。
で、何かって言うと、彼は、シャイで、取材が、あんまり得意じゃない。インタビューの質問にも、あまり、うまく答えられないんで、取材がブッキングしにくい。喋りに関しては、あんまり、うまくないんで、放送局のプロモーションができない。で、 全国の地方局用に、プロモーションの(ラジオ)番組を作りたいって言われて。まあ、「路地裏の少年」は好きでしたし、あ、これは俺たちの歌だなと思ってたんで、 「あ、やりますよ、やらしてくださいって」言って会ったのが最初なんですよ。
 
 
ーじゃあ、最初は、ラジオ用の、浜田さんが、喋るコピーを。
 
田家
こんな話をっていうコンテを作って、自分でディレクターやりましたね。多分30分だったと思うんですけど、 こんな話をっていうメモを渡して、それで、喋ってもらったんだって思いますね。
で、その時にね、(レコード会社が)「まだ売れるか売れないか分からないんで、ギャランティがあんまりないんです」って言うんで、「あ、いいですよ、ノーギャラでやりますよ」っていう風にやったっていうのは、今、自慢話になっちゃいますけどね(笑)。


「“力を貸してくださいって”言うセリフに、こう、キュンと来たって言うんでしょうかね」

(渋谷の)雑居ビルの上、(ライブハウス)屋根裏の、何人かなぁ、100人も入んなかったでしょうね、もうホントに狭いところで、でも、バンドが入ってて、 (ソロ)デビューライブとかで、ま、7~8曲か、「路地裏の少年」を2回やりましたね、オープニングと、アンコールで。 で、それがまあ、最初ですね。
で、ライブはね、まだやっぱりライブ慣れしてないというか、まぁ、ぎこちなさがありながら、とても初々しいっていう感じで。 でも、やっぱり、何か、それまでにない“青春感”の持ち主だなっていうのは、 まあ、ありましたね。もちろん、「路地裏の少年」の印象が強かったんですけど。でもね、あの、(浜田省吾が)「力を貸してください」っていう風に言ったのが、すごく誠実で素直で、それで人柄を感じさせたっていうのは、 それは大きかったかな。ま、ライブの印象っていうことよりも、その力を貸してくださいっていうセリフに、こう、キュンと来たって言うんでしょうかね。 それはありましたね。
 
ーその時、田家さんも、やっぱり可能性を浜田さんに感じたということですよね。
 
田家
可能性よりもね、親近感。「あ、俺たちの音楽」っていう感じですね。まあ、髪の毛がまだ長くて、 どっかこう、学生の名残りがあって、業界の中でどういう風に生きていいかわからないけども、 音楽にしか自分の居場所が見つけられないなぁみたいな感じが、まあ、彼は、そこまで思ってなかったかもしれませんけども、僕らには、そういうのがありましたね。どっかで、やっぱ、同じところから始まったっていう意識が、 こちら側にはね、勝手にあったっていう始まり方ですね。
 
ーそんなお話をお伺いさせていただいて、曲はどうしましょうか?
 
田家
やっぱり、あのアルバム(「生まれたところを遠く離れて」)で言うと、「壁に向かって」ですね。 「蹉跌の空」っていうような言葉をね、使う人が、あ、俺、好きだなと思ったっていうのが大きいですかね。
(この曲は)武道館の1曲目でしたけども、あの最初の武道館のね。(武道館ライブの時は)やっぱり空回りしてるっていうか、もう力入りすぎちゃってて。「えー、最後まで行けるのかな」みたいな風に思った記憶がありますね。


「THE ROAD FOR SHOGO~浜田省吾への道」8月は、浜田省吾さんのライブを最もレポートしてきた音楽ライター・作家の田家秀樹さんが、浜田さんのこれまでのライブについてたっぷり語ってくれます。浜田さんのライブの魅力をあらためて感じることのできるトークは必聴。次回は、広島FM「#PUSH」で2023年8月9日(水)OA予定



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