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THE ROAD FOR SHOGO~浜田省吾への道 Vol.1古矢徹 その1

浜田省吾の魅力を、浜田省吾を取り巻くさまざまな人たちと浜田さんとのエピソードトークから紐解く、広島FM「#PUSH」の特別企画。初回となる6月のインタビューゲストは、浜田省吾のファンクラブ会報誌のエディター&ライターの古矢徹氏。第1回は浜田さんとの出会いについてです。
            インタビュー:屋形英貴(広島FM)


出会いは1990年の雑誌インタビュー。ストレートな質問に、浜田さんはテーブルの上の紙コップを“ポン”っと叩いた

―ファンクラブの会報をやり始めたのがいつ頃になるんですか。
 
古矢
1992年ぐらいですね。それまで事務所のロードアンドスカイの方々で作ってらっしゃって、51号から少しボリュームアップしたいっていう依頼で、なぜか、担当することになったという
 
 
―それ以前に、浜田さんのインタビューはされていたんですか。
 
古矢
Hundredという音楽雑誌で、90年「誰がために鐘は鳴る」というアルバムが出る時の 巻頭インタビューを担当したのが、初めて浜田さんに直接お会いする機会でしたね。
 
 
―初めてお会いした時の印象はいかがでした。
 
古矢
70年代から、オーディエンスとしてはずっと見ていたので、ライブのMCなどで聞ける穏やかな雰囲気 で。「誰がために鐘は鳴る」って、その前の「J.BOY」「FATHER’S SON」というオリジナルアルバムに続くオリジナルアルバムにもかかわらず、こう、その前の2枚の 圧倒的なエネルギッシュさみたいなものからかなりかけ離れた、すごく静かなイメージのするアルバム じゃなかったですか。
 
 
―どちらかというと、こう、人間の内側を描くような、そんな作品のイメージがありますね。
 
古矢
僕はその頃、ファンクラブのスタッフでもなんでもない、要するに、雑誌のインタビュアーなんで、割とストレートに「なんでこんな、静かなアルバムを作られたんですか?」っていうのを、まあ、本人にとってはちょっと否定的に感じられるようなことを、 その頃ちょうどすごく元気のあったブルーハーツなんかの話もしつつ、「なんでこんな、すごく大人っぽいアルバムになったんでしょう?」みたいな話を聞いたんで、 あんまり盛り上がるインタビューではなかったと思うんですよね。
僕、よく覚えてるのは、そのインタビューの途中に浜田さんが、撮影スタジオのテーブルの上に紙コップが逆さまに積み重なってあるのを、 話の途中でポンって叩いたんですよ。別に軽く叩いただけで、すごい怒って叩いた雰囲気じゃないと思うんですけど、僕は勝手に、 「あんまりこのインタビューは愉快じゃないんだな」という風に思ったんです。一応、巻頭インタビューもきちんと発刊されたから、そんなに問題にはならなかったと思うんですけど、、、
 
会報のアーカイブ作業をしていると、90年当時の浜田さんの日記が、、、そこには、あのインタビューのことが書かれてあった!
 
古矢
それで、その後、会報の編集担当するようになって 随分経ってから、浜田さんが、昔の会報のアーカイブをしたいって言い始めて、その時に、確認していたら、90年当時の日記が出てきたんですよね。日記を記事にしたみたいな。で、これから1ヶ月間、雑誌の取材月間だっていう話が書かれていて、で、初っ端は Hundredという雑誌の取材だったって書いてあって、これはやばいぞと思いますよね。自分の体験として、あのコーヒーカップ“コーン”事件があるので、「なんて理解力のないインタビュアーが来たもんだ」っていうようなことが書かれている。 まあ、それに近いことが書かれてるんじゃないかと思って、もう「ヒーッ」ていう感じで。でも、確認したら「えー、 六本木のスタジオで3時間余りのフォトセッション&インタビュー。いつも初日はうまく話すことがまとまらなかったり、それでなくても好きではない撮影がぎこちなかったりする。今日もそうかもしれない」って書いてあった、それだけだったんですよ。要するに、インタビュアーの理解不足、未熟さとかを 指摘するわけではなくて、単に自分が まだアルバムの話を頭の中でまとめきれてないみたいな、自分の反省だけが書かれていて、浜田省吾という人はこういう人なんだって、そこですごく納得してしまったというような。
 
 
―まず自分を顧みるっていうか、浜田省吾の省に顧みるという意味があるがごとく、ていう感じがありますよね。
それで、このエピソードについて1曲選んでいただきたいのですが
 
古矢
「誰がために鐘は鳴る」は、その当時はさっきも言ったように、すごく静かな印象、静かすぎるアルバムだなと思ったんですけど、その後何度も聞いたり、年齢を重ねるごとに 、今やひょっとしたら最も好きなアルバムかもしれないっていうような感じなんですよね。で、その中から特に好きな 「サイドシートの影」という曲をぜひ聴いていただきたいなと。


次回「THE ROAD FOR SHOGO~浜田省吾への道 Vol.1古矢徹 その2」は広島FM「#PUSH」で2023年6月14日(水)OA予定


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