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とても暗くて憂鬱になる超短編小説

おかしな目的

1人のようなものだった
親に見捨てられ友達や恋人にも裏切られ
途方に暮れながら僕は死に場所を探してさまよっていた

そんな死に場所探しの旅の途中
気持ちの悪い怪物に出会ったんだ
気持ちの悪い怪物は僕を見て聞いてきた
「おまえを殺していいか?」って

僕は殺していいよって答えたんだけど
怪物は不服そうにおまえはつまんないから
殺さないよってどこかへ消えた

僕はその後1人で死に場所を目指して歩いていた
歩けば歩くほど人が死んでいることに気づいて悲しくなった

みんな怪物に殺されていてみんな僕より面白い奴だったと
思うと悲しくなった
生きてるやつはいないのか
僕よりつまんないやつは・・・
夢中になって探したけれど
僕以外誰もいなかった

僕がつまんないと思っていた
タレントもクラスメイトも教師も
みんな殺されているのを見つけた
そして段々僕は世界で一番つまんない奴のように
思えてきてとても惨めな気持ちになったんだ

僕は世界で一番つまんない奴なのか?
あんな気持ちの悪い怪物にバカにされるぐらいの・・・

納得できない僕は本当は面白いはずなんだ。

あの怪物はどこにいるんだ?
僕はお前を笑わせてやる。

シーンと静まりかえった死体だらけのこの世界に
僕の足音だけが聞こえる

ああ人間だけじゃなかった・・
猫も殺されてる僕は猫以下か
犬も殺されてる僕は犬以下か
豚も殺されてる僕は豚以下か

死体をみればみるほど悲しくなって
なんで僕は怪物にこんなに
はまらなかったんだろうと疑問に思った

それとも逆におまえには可能性があるから
生かしているんだよってことなのか?
考えれば考えるほど怪物に会いたくなった
僕はお前を笑わせてやる

いま僕は怪物に殺されるためだけに生きている
僕以外殺されたこの世界で殺されることを希望にしてる

そんなおかしな目的をあの怪物に話したら
きっと笑うような気がして・・

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