小さな波紋
はじめに。
梅雨入り前の2018年6月上旬
東京は恵比寿、駅から少しだけ離れた焼き鳥屋さんのカウンターで、瓶のクラシックラガーを小さいグラスで酌み交わしながら
「サヨちゃんのSNSの投稿とか見てて思うんだけど、絶対に文章書いた方がいいよ。noteでもブログでも何でもいいからさ。」
と言ってくれた人がいる。
器になみなみと溜まっている水に、ひとつ、しずくが落ちて、小さな波紋が広がる感覚。
その言葉がとても嬉しかったし、内心“バレた”と思った。表面張力でギリギリ保っていた水の表面が崩れ、少し溢れた。
日々とめどなく自分の内側を駆け巡る、140文字ではもう収まらない言葉を、書きたかった、書けばいい、今日から。
毎日、毎時、瞬間的に脳内に浮かんでは消えていく言葉が沢山ある。過去、恋人との別れ話の最中に、無言で両目から涙をこぼしながらも、脳内ではめちゃくちゃにしゃべっている私、悲劇のヒロイン気取り。
この気持ちを、何かに昇華させて今より先を生きようと、心臓にメラメラと火をともして、あの辛い失恋を乗り越えてきた。
とにかく自意識過剰である。他の誰でもない、自分が一番自分を見ていて、一番自分の話を聞いている。
しばらくは、自分に聞いた話を文字に起こしてみる、という感覚でやってみよう。ここにきて、読点を括弧のような役割で使えた事に少し感動する。
冒頭の恵比寿での出来事は、きっとすぐに忘れ、何かの拍子でまた思い出したりするだろう。
いい夜だったな。
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