見出し画像

暗号資産(仮想通貨)の評価方法の届け出期限(検索上位サイトの補足)

暗号資産(仮想通貨)の取得価額は「総平均法」又は「移動平均法」のいずれかの方法で計算することとなっています。
原則は「総平均法」ですが「所得税の暗号資産の評価方法の届出書」の提出がある場合は「移動平均法」を選択することができます。
また、評価方法を変更する場合は「所得税の暗号資産の評価方法の変更承認申請書」を提出することにより変更することができます。

これらの提出期限は
「所得税の暗号資産の評価方法の届出書」は
・暗号資産を新たに取得した日
・又は従来取得している暗号資産と種類が異なる暗号資産を取得した日
の属する年分の確定申告期限です。

「所得税の暗号資産の変更承認申請書」は
・変更しようとする年の3月15日
が提出期限です。その年分の確定申告期限ではありません。

この件、「仮想通貨 移動平均法」といったキーワードでGoogle検索したときに上位に掲載されるウェブサイトの説明がやや不足しているように感じます。

仮想通貨を購入した際に・・・提出期限は、「仮想通貨の取得日の属する年分の確定申告期限まで」です。

と書かれているのですが、その後で

評価方法を変更したい場合は、「所得税の(有価証券・暗号資産)の評価方法の変更承認申請書」を提出します。
「移動平均法」を選択する人は、3月15日までの届出をお忘れなく!

とだけ書かれています。3月15日はその年の3月15日であって、確定申告の期限(翌年の3月15日)ではないのですが、そのように早合点する人がいそうです。私が修正するとしたら

「移動平均法」を選択する人は、その年の3月15日までの届出をお忘れなく!

と「その年を」を付け加えます。

この件、2024年1月18日の税理士会倉敷支部の研修で入手した「令和5年版 確定申告で誤りやすい事項【所得税編】」に記載されており、倉敷税務署の個人課税部門の担当官が説明していました。
この検索上位サイトの記述が関連するかもしれません。
当該ウェブサイトの運営には、サポートの問い合わせフォームから意見を送りました。

なお上記の、最初の届出書の説明のところの
・暗号資産を新たに取得した日
・又は従来取得している暗号資産と種類が異なる暗号資産を取得した日
との記載、これは国税庁ウェブサイトそのままですが、2行目の意味は何でしょう?

本日(2024年1月20日)にはじめて暗号資産、例えばビットコインを取得したとして、移動平均法としたいから届出を出す、これはわかります。
では2行目はというと、暗号資産では評価方法をコインの種類ごとに届け出るためそういう書き方になっています。
これまでビットコインを持っていて、本日(2024年1月20日)別の種類の、例えばイーサリアムを初めて取得したとしたら、ビットコインの評価方法と関係なく、イーサリアムの評価方法を考えることができ、原則の総平均法でなく移動平均法にしたいのなら、2024年3月15日までに届出する必要があります。
逆に、ビットコインで過年に「移動平均法」を届け出ていたとしても、イーサリアムでも改めて「移動平均法」を届け出る必要があります。

この届出書は有価証券と共通です。
有価証券の「種類」のところは「国債証券」「地方債証券」「株券又は新株予約権証券」といった感じで、まさに「種類」と感じますが、暗号資産のほうは「暗号資産の呼称等(ビットコインなど)」との説明です。
この点は将来変わるかもしれませんね。

とにかく、「今からでは令和5年分の確定申告については評価方法の変更はできません」と最後に強調して、この稿の締めくくりとします。




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?