橋口寛

「ONE TAP SPORTS」を展開する、株式会社ユーフォリア代表取締役CEO。 無…

橋口寛

「ONE TAP SPORTS」を展開する、株式会社ユーフォリア代表取締役CEO。 無類のスポーツ好きにして文学好き。 慶應義塾大学SDM研究科特任講師。

最近の記事

均質の中の異質

均質な時間のの流れの中にあって ふと差し込まれる異質な時間 集中して作業している中で訪れる一瞬の凪 そこに降りてくる想念のユニークさ しかつめらしい振る舞いをしなければいけない時の不謹慎な思い その破壊的なおかしみ 身内の葬儀において悲涙が乾く一瞬の間 幼子や動物との触れ合いと笑顔 悲しみは悲しみ一色に浸る中にあらず 反省も謹慎も集中もまたそれ一色の中のみにはあらず 雑念の中にこそ 純然たるものの欠片が隠されており まだらの時間の中にこそ 際立ち、立ち上がる何もの

    • 2023年に観た52本の映画

      今年一年間で観た映画は52本とかなり控えめでした 。 (うち映画館で観たのは13本) ちょうど一週間に一本観た計算になります。 映画を観る機会の多寡は、時の心身の余裕や視野角の広さのようなものから如実に影響を受けるので、もう少し観たいものです。 <2023年の個人的5本> 「PERFECT DAYS」(ヴィム・ヴェンダース) 「夢の涯てまでも ディレクターズカット」(ヴィム・ヴェンダース) 「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」(ダニエル・クワン、ダニエ

      • 2023年に読んだ127冊の本

        今年も年末12月30日に行うは、二十年以上つづく習慣「今年一年間に読んだ本の振り返り」です。 2023年は127冊の本を読みました。 本は、それを読んでいた時の四季の記憶と、出来事の記憶と不可分に脳内で結びついているので、書名をこうして眺めているだけで、「ああ、本当にいろんな出来ごとがあった一年だったなあ」という思いを強くします。 著者が魂を削って書いた本はどれもとても素晴らしい脳内対話を誘発したものばかりで、その中から「今年の5冊」を選ぶことは、まったくもって容易ならざる

        • 若さとは違和感への気づきである

          「若さとは違和感への気づきである」 というのは、誰が言った言葉だっただろうか どこかで読んだ気もするし あるいは誰かが口にしたものを聞いたのかもしれない いずれにせよ 僕はその言葉をノートに書き留めていた ・なんでこんな自明のことを誰も指摘しないのだろう? ・なんでこんな無駄が放置されているのだろう ・なんであからさまな不平等が存在するのだろう 若さは常に違和感への感度が高い 時に憤りと共に違和感を直視する それは、現状をただ受け入れるのではなく、それを変えるべきであ

        均質の中の異質

          2022年に観た57本の映画

          今年も一年間に観た映画の振り返り。 今年は再見含めて57本とだいぶ減りました(うち映画館は11本)。 年前半に41本だったものの、忙しさの増した年後半は16本に激減。 来年はもう少しコンスタントに時間をつくりたいと思います。 ■2022年の個人的5本■ 「JUNK HEAD」(堀貴秀) 「トゥルー・ノース」(清水ハン栄治) 「エール!」(エリック・ラルティゴ) 「オクトパスの神秘〜海の賢者は語る〜」(リッパ・エンリッチ) 「サマーフィルムにのって」(松本壮史) ■2022

          2022年に観た57本の映画

          2022年に読んだ104冊の本

          毎年の恒例、今年読んだ本の振り返りです。 2022年は104冊の本を読みました。 今年も著者が魂を削って書いてくれた多くの良書と出合うことができたゆえ、特に素晴らしかった5冊を選ぶのが大変でした。 読書の振り返りは、書名に同化した季節感、温度、湿度、そして時の己の心象風景を思い出すことでもあります。 今年一年に出合った多くの本と著者の皆さんありがとう。 来年もまた素晴らしい本と出合えますように。 ■今年特に素晴らしかった5冊■ 「敗北を抱きしめて〜第二次大戦後の日本人〜

          2022年に読んだ104冊の本

          久しぶりの全社合宿のこと

          ユーフォリアが迎えた新しい年度の元旦ともいうべき7月の1日から2日にかけて全社での合宿を千葉県某所で行った。 その日に入社したばかりのメンバーや、業務委託のパートナーの皆さんも含めて40名以上のメンバーが集まった。 コロナ禍の中でなかなか合宿もできなくなっていたので、2年半ぶりに、ようやく開催できた合宿だ。 前回の合宿に参加したのは15名ほどだったので、この期間の間に3倍近くにメンバーは増えている。 なかなか会えないリモート主体の時間が続いていたので、社員同士でもリアルで

          久しぶりの全社合宿のこと

          娘が初任給でご馳走してくれた夜のこと

          社会人になった娘が先日ご馳走してくれた。 娘が小さかった時、僕は借金してアメリカにMBA留学していたので、文字どおり爪に火を灯すような貧乏学生生活を送っていた。 同じ年頃の子どもたちが通っていた幼稚園は費用が高かったので、行かせられなかった。 近くにある”Price Chopper”とか”K-Mart”といったスーパーに託児スペースがあったので 「ほら、Kinder Gardenだよー!」と言って連れていっていた。 ここが幼稚園だと信じ込んでニコニコ顔でお姉さんと遊んでる

          娘が初任給でご馳走してくれた夜のこと

          亡くなった友人のこと

          先日、留学時代の友人が突然亡くなった。 皆からイチローと呼ばれていた。 イチローが朝なかなか起きてこないので奥様が起こしに行ったら既に亡くなっていたらしい。 学生時代から水泳で鍛えていて、ずっとスポーツに取り組んでいて、健康そのものだった。 同級生の中でも一番突然死から遠そうな男だった。 アメリカに到着して初めてTUCKを訪問した日、 TUCK HALLの前で出会って挨拶をしたのが初対面だった。 世の中にこんな爽やかな男がいるのか、と強い印象を抱いた。 180センチを超

          亡くなった友人のこと

          組織として、個として「開かれて」いること

          外界に対して開かれていること ドミニク・チェンの本に以下のような言葉があった。 会社という組織についても同じことが言える。 生命体・有機体たる会社組織は、システムとして外界に向けて開かれている必要がある。 外界の情報に対して開き 外界の人に対して開き 異物・異者を理解し それを内に取り入れることで 組織は多様性を生み出し 常に変化を起こし、外的変化に対応し エネルギーを生成し成長しつづけることができる。 閉鎖したシステムは やがて永遠に濾過しつづけることができなくな

          組織として、個として「開かれて」いること

          娘の笑顔

          昔自分が書いた文章に、突然出合うことがある。 たいていはザッカーバーグのおかげなのだが、今回は会社のSlackの「子育てチャネル」での社員とのやりとりがきっかけとなって、7年ぶりに出合った。 こんな文章を書いたことも、こんなふうに思ったことも、人間は7年も経つと見事なほどに忘れてしまう。 完全に忘れていた光景や感情が、唐突に出合う文章で蘇る。 昼下がりのカフェ。斜めに差し込む陽光。中学校の制服を着ていた娘。はにかんだような笑顔。間に置かれたコーヒー。 フィルムの早回し

          娘の笑顔

          2021年 ありがとうございました。

          2021年が暮れようとしています。 今年は大きな質的変化・相変化の年でありました。 会社においても、個人においても。 長く自分には無尽の体力があるかのように思っていましたが、年齢的にも徐々にそれが通じなくなってきました。 ユーフォリアは、ただ回転数を上げることだけで飛べる限界高度に達しつつありました。 課題を突きつけられて毎日考え、これまでの馴染みのあるやり方から変えることを試行した一年でした。 そんな中で、東京オリンピック・パラリンピックという長く見据えてきた大きな節

          2021年 ありがとうございました。

          2021年に観た88本の映画

          読んだ本の振り返りに続いて、今年は映画についても記録を残していた(会社のSlackのシネマ同好会というチャネルにポストしていた)ので振り返ってみました。 2021年に観た映画: 88本 うち映画館で観た映画: 11本 でした。 コロナ禍のため通常の年よりは多かったような気がします。 ほとんどすべての映画を妻と二人で並んで観たので、一年間で200時間くらいは並んで映画を見ていたことになります。 丸8日間以上。 読書は著者の魂との一対一の対話ですが、映画は多くの関係者が関

          2021年に観た88本の映画

          2021年に読んだ86冊の本たち

          毎年の恒例、今年読んだ本の振り返りです。 2021年は86冊の本を読みました。 今年も著者が魂を削って書いてくれた多くの良書と出合うことができました。 タイトルを見つめているだけで2021年の様々な出来事と思考が蘇ります。 毎年残された時間は短くなっていきますが、来年もまた素晴らしい本と出合えますように。 ■今年特に素晴らしかった5冊■ 「エディー・ジョーンズ〜わが人生とラグビー〜」(エディー・ジョーンズ) 「ピンポンさん」(城島充) 「天、共に在り 〜アフガニスタン三

          2021年に読んだ86冊の本たち

          ユーフォリアスポーツ科学研究所のこと

          バーチャル研究所の設立先週月曜日、「ユーフォリアスポーツ科学研究所」(EUPHORIA Institute of Sports Science:通称EIS)を設立した。 同日朝にプレスカンファレンスを行い、午後にキックオフミーティングを行った。 研究所といっても、物理的な施設をもたないバーチャル研究所だ。 12名のリエゾン研究員の皆さんに所属していただき、さまざまな領域におけるスポーツ科学・スポーツテックの研究を共同で行っていく。 ハードウェアメーカー等さまざまな企業や、

          ユーフォリアスポーツ科学研究所のこと

          むき出しの感情 むき出しの五輪

          何度涙を流しただろうか。何度頭を抱え、何度拳を突き上げただろうか。 自宅のテレビの前で、パソコンの前で、スマホの前で。 叫び声は抑えようがなかった。 史上はじめての、無観客で見つめるオリンピック。 それがどんなものになるのか誰にも分からなかったけれど そこには想像していた以上に、むき出しの喜怒哀楽があった。 むき出しの歓喜。むき出しの失意。むき出しの感謝。 打算のない、むき出しの感情に、何度も繰り返し心が揺さぶられた。 ・サッカー久保建英選手の涙 ・柔道阿部兄妹の歓喜の

          むき出しの感情 むき出しの五輪