紅信号(あかしんごう)

 とある町。

 その町に少し変わった信号があると噂になっていた。いわゆる都市伝説だ。その信号のどこが変わっていたのか……。

 それは信号が青色のままなかなか変わらないというものだった。

 その信号の周りには小学校や老人ホームなどが多く建っていたため歩行者はなぜか青色の時間が長いその信号に感謝の意を込めて。

 「正義の味方青信号」などと二つ名をつけてその信号を利用していた。

 しかし、良い点が存在すれば必ず悪い点も存在する。その信号のおかげで歩行者はゆっくり安全に横断歩道を渡ることが出来たが、自動車(ドライバー)は長い、長い時間、待たされることになった。

 すると、その長い待ち時間を耐え切れずに次第に信号無視をする車が多数目撃されるようになってきた………。

 その事態に対応して、学校などではその信号を利用する場合は十分に注意するようにと先生たちが注意を促すようになっていった。

 そのころには「正義の味方青信号」と呼ぶ人はいなくなっていた。

 ある日、恐れていた出来事が起きた。

 ひき逃げ事件である。

 信号近くの小学校の生徒が車にはねられたのだ。幸い一命はとりとめることができたのだが、事故の影響でその生徒は半身不随となってしまった。

 一方、その生徒をはねた車は未だに発見されていないという。

 事故の発生により事故現場の捜査の一環として、信号機の点検が行なわれることになった。結果は……。

 異常なし。

 点検の結果は異常なし。何一つ問題が見つかることはなかった。

 事故のあと信号機に変化が起きた。青色の時間が正常に戻っていたのだ。歩行者たちは始めこそ、その変化を不思議に思っていたが次第に誰も意識しなくなっていた。

 「正義の味方青信号」の名も、不思議な信号機の噂も誰も知る人がいなくなるほどの時が流れた……。

 そんなある日、信号機の故障が原因と思われる交通事故が起きた。

 トラックと軽自動車による接触事故。トラックの運転手は軽傷。軽自動車を運転していた男は死亡。

 トラックの運転手の証言によれば「軽自動車が信号無視してきたんだ‼」ということだった。事故現場の検証が行なわれた。現場の信号は全て点灯しておらず、完全に故障していた。事故原因の究明のため信号が再度点灯されるとこになった。警察の立会いの下、早急に信号の再点灯が行われた。少し時間がかかったが信号が再点灯した。その色は……。

 赤赤赤!赤赤赤!赤赤赤!赤赤赤!

 全ての信号が赤色だったのだ。

 そこにあるはずの青色と黄色はどこにもなかった……。

 全てが赤……。

 赤は止まれ‼

 その場にいた警察官を含むすべての人が固まっていた。

 赤は止まれ……!

 赤は……止まれ……!

 紅は………と・ま・れ‼‼‼ 

トラックに衝突した軽自動車は見るも無残な状態だった。フロント部分のフレームは完璧に潰れ、ガラスというガラスが粉々に割れていた。そして、いたるところの塗装がはがれているのだが…………。

 なぜか、そこからは別の色が見えていた……。

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