はるまきごはんが紡ぐのは世界か、2人か。(3月2日「ドリームシネマ」ライブレポート)

※本日開催された、はるまきごはんさん(@harumaki_gohan)の初ワンマン「ドリームシネマ」in 白金高輪 SELENE b2 のレポートです。
後々各媒体よりオフィシャルなレポートが上がると思うので(多分)、ムービーやMCの内容は最小限にとどめています。

想像以上に広い会場を埋め尽くす観客、そしてスクリーンには北欧の街並みにも似た異世界の風景。一歩足を踏み入れた時点で、ここが東京でもどこでもない、はるまきごはんの世界なんだと悟った。

オープニングムービーの途中でバンドメンバー、そしてはるまきごはんが登場すると、「待ってました」とばかりに拍手が広がる。

記念すべき初ワンマンの先陣を切ったのは、軽快なナンバー「コバルトメモリーズ」。スクリーンにははるまきごはんが制作した、おなじみのMVが流される。どこかだるさを纏った歌声と、嘘みたいに爽やかなムービーが、不思議な空間を生み出していた。

はるまきごはんは5年ほど前から、ニコニコ動画でボカロPとして活動を始め、頭角を現した。その才能はソングライティングに留まらず、歌、イラスト、映像制作、演出など多岐にわたる。

今回はそれらを一切のノイズなく、ダイレクトに感じられる貴重な機会だった。「はるまきごはんがつくっているのは、世界だ」。そんな言葉が頭に浮かぶほどだ。

続く2曲目は、YouTube動画再生回数200万回を突破した人気曲「メルティランドナイトメア」。ポップな印象の強い原曲に比べ、ややロックサウンド寄り。普段ボーカロイドで聴くことの多い彼の曲を、まぎれもない制作者の歌唱で聴くことができるのも味わい深い。

どこか2000年代のロックを感じさせる歌い方だが、「懐かしい」とも違う。むしろネットシーンで培われた音楽と一体となり、完全に新しい「はるまきごはんワールド」が形成されている。

「アスター」のキャッチーなサビに身を委ねると、MCを挟んで、「セブンティーナ」、「八月のレイニー」と、昨年12月に発売したアルバム「ネオドリームトラベラー」から立て続けに披露。

初期の曲「ラストライト」を生で楽しめたのも、ワンマンライブだから受け取ることのできた贅沢なプレゼントだ。続く「アンサー」で前半を締めると、アコースティックパートへ。

自身初のライブとなった雪ミクのステージでも披露した「Marine Grey」を大切そうに歌いあげれば、ジャジーな雰囲気にピアノの高音が映える。

私は「エモい」という言葉を使うのがあまり好きではない。便利な言葉だが、文章を書く人間として、感情の言語化を避けてはならないと思う。それでもあえて言いたくなってしまった、私にとっての「エモい」とは、今この瞬間のことだ。

続いてバラードの名曲、「地球をあげる」。伸びやかなボーカルとギターのアルペジオが、お湯のようにじんわりと心を満たす。

はるまきごはんの曲は、一見壮大な世界観のものが多い。宇宙、地球、銀河といったワードがよく登場する。しかしだからこそ、そこに立つ1人と1人の関係性が際立つ。こんなに広い世界で、1人と1人はどんなやりとりをするのか。どんな気持ちを交換するのか。世界を紡ぐからこそ見えてくるリアルな人間らしさ、その愛しさ。それこそが彼のリリックに心を揺さぶられる大きな要因ではないだろうか。

酩酊するかのように聞き惚れていた私たちを、「フロムヴォイジャー」、「銀河録」と徐々にテンポを上げ、引き戻していく。

1stアルバム「BLUE ENDING NOVA」より「カルデネ」を披露。「(活動を)始めたときはワンマンなんて目標も見えなくて。目の前の作りたいことを追いかけて、気づいたらこんな景色を見られるようになった」と彼は話したが、私には彼の曲は決して独りよがりではなく、誰かを救う曲に思えてならない。

アンコールでは、「ゆめの続きだよ」とでも言うかのように「ドリームレス・ドリームス」を披露。紡がれるさめないゆめは、どうしたってしがみ付かずにはいられない魅力的な世界で。彼が紡いできた1人と1人が、今日は他でもないはるまきごはん自身と、私たち1人1人であったのだと知った。

こうして、彼の世界の“上映”は終わった。

時間は無慈悲にも過ぎ去っていく。その中で偶然にも生まれてしまった、さめないゆめのような、誰かが作った地球のような世界。その世界を知ることができただけで、私たちのこれからの人生の、厚みが増すように思えてならない。


※画像は撮影・掲載OKのものです。

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ひーこ

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