異世界探報期:解雇された暗黒兵士

(30代)のスローなセカンドライフ。

あーはいはい。そういうのね、多いんですよね。自分の能力を正当に評価してくれるコミュニティが存在して、自分を受け入れない悪の存在は自分がいなくなって滅んだら良いな…なんて、そんな寝る前の妄想悲しいだけですよ、前向こうぜ!

そんなタイトルから受け取った印象とは裏腹にこのアニメにはちょっと泣かされました、本当にいい話だったから。


あらすじ

魔族に拾われ育てられた人間、ダリエル。四天王にクビを言い渡され追放されてしまう。移住した村の厄介ごとを片付けていくうちに…?

ベタな展開はbetter

ベタは全てのすが抜け落ちたものという説があるらしい。ありきたりと言い換えても良い。物語におけるありきたり、悪い意味ではない。およそ構成しうる物語のパターンは出尽くしており作品はそれを彩る表面部分や細部の組み立て、背景となる設定に自分の独自性を足す操作にすぎないとはよく言われる。王道を歩むことに恥じらいなど要らない。

この作品を簡単にいうと、異種族が和解する話だ。本当にもうそれだけと言ってもいいくらいで、6話くらいから誰かと誰かが和解する展開を繰り返していく。でもそれが一番大事。ラブアンドピース!

では何故こうもベッタベタな展開が自分を惹きつけたのか。ある種の現実味があったからだ、少しネタバレをするとこの作品で対立を収めるのは大体赤ん坊だ。最初こそ主人公が自分の人脈や手腕によって争いを収めたりするが、より根深い種族の間の怨恨は主人公が村娘との間にもうけた子供によって収められていく。

フィクションだからこう都合よく事が運ぶのだけど、これについてはフィクションだからいいじゃないかという他ない。現実でもあるしな反対されていた結婚が孫によって円滑に進み両家の距離も縮まるなんて話。希望があっていいと思う。

ベタながらも、ストーリーの構成やキャラに共感しやすくさせるひとつまみの工夫によって同じ展開の三連打を飽きる事なく見ていられた。

カードの切り方

細かく書くとネタバレになるので伏せるが、徐々に和解するハードルを上げていき、主人公の設定を小出しにする事で場面の緊張感を保っている。ここで主人公のチート能力で毎回問題を解決してるとワンパターンに話が進んで単調になるところだ。サブキャラがちゃんと存在感を示してたらそれはもうなろうの下半分ではない。

話の根幹を構成するのは毒親や種族の諍い、親子のすれ違いなど現代社会にも適用できる要素であり、登場人物の過去はそういう意味で普遍性を持っているので視聴者は彼らと喜びや悲しみを直接共有する事ができる。

お色気?

パイタッチがお好きな様子、正直なくても良い。しかし頻度もまあ2〜3話に1回あるくらいだし、下品な女もいないから良いだろう。主人公に媚びることしかしないオナホレベルのメスブタどもはよく見習って欲しい。スマートフォンとか以下略以下略

作者が0年代とかの往年の名作が好きなんだろうなという気がした。とりあえず手癖で入れたくなるのだろう。

なろう作品の下半分は愛し合う二人のゴールとしての子作りを途中に持ってきて、次から次へと新しい嫁を増やすセックス・ハザード状態にある。その手の作品で朝チュン的な描写を見る度中指を立てていたが、この作品の「そういう」シーンは自然に見られた。

男女が惹かれ合う事自体は普通だし、そこに至るまでの流れも全く不自然ではない。それに最後は未来を担う子供が人々を結びつけていく。こんなにサッパリとした気持ちで「そういう」シーンを思い起こせるのはなろうアニメ生活で荒んだ心に沁みた。

総評

冷静になるとベタベタだし普通のことしてるだけやんけと言いそうな気がする。しかし、その当たり前こそ尊いのだと無数のゲロアニメ達は教えてくれる。そういうアニメで感度100倍にしたからこの感動なのかもしれない。

ありがとう!くたばれ!!なろうクソアニメども!!!詫びれ!!!!

追記:父との間の悪いすれ違いと毒母親で拗れに拗れたキャラがラスボスでそいつには死なないで欲しいと思って見ていたのだが、アニメやコミカライズと違い原作では容赦なく無間地獄行きしたらしい。

この手の作品で偉大なのって、毒気を抜いて中和するコミカライズだよなあ…漫画家さんに敬礼


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