Guillaume Wafo-Tapa選手のエスパーコン使ってみた

まずはこちらの記事をご覧いただきたい。エスパーコンのデッキが紹介されており、そのデッキは一般的にググったら出るリストとは細部が異なっている。記事の中でもその特徴が既にふれられているが、今回は実際に回してみた結果を紹介する。


デッキの狙い

中長期戦に非常に強いデッキを作り上げ、アグロを狩れる優秀なミッドレンジを叩き潰す。そのために長期戦で不利になる要素を対策し、自分は継続的なリソース補充で優位に立つことを目的としている。細かなカード選びはそれらの目的を遂行するために最適なものが選ばれている。

主な変更点

かき消し2→中略2

かき消しは環境を定義するカードの1枚である。当然エスパーコンもこれを一般的に搭載する。後手でも相手の3マナ域のあらゆるアクションをつぶしつつ、ミレックスや放浪皇のトークンで4マナ要求すれば後半でもこのカードは仕事をする。このデッキはそのかき消しを一切カットしている。遊んでいて気付いた理由は次の通り。

  1. 完全な長期戦には無力…お互い11マナある状況で7マナのカードが止められないなど

  2. そもそもミレックスが入ってないので犠牲1がいきない

  3. 苔森やFB呪文の追放ができない…そのための中略

中略は序盤はかき消しと同じに使いながら1のような状況で7マナ呪文を5マナで止められる。ただ中盤以降の4マナまでのアクション(特に打ち消しや除去)アクションを止めるのには向いていない。このデッキのサイドは総計11枚ある打ち消しの配分を決める必要がある。まさに青だな!

本質の散乱2がIN

ETBの鬱陶しいカード(主に開花の亀とアトラクサ)を止めるため単体除去の一部が本質の散乱になっている。言われてみればこっちの方が便利だった。打ち消されない相手には無力だが遭遇機会はそうない(精々緑絡みのサイド後だがそもそも5C版図には有利)

速足の学び4

記憶の氾濫じゃ足りないといわんばかりの圧倒的4投。4マナ域のカードが強烈なので、なるべく4ターン目に4枚土地を並べにいくのと長期戦でのアドバンテージ元とテフェリーのトークン増強が役割。

雲散霧消2→4

普通メイン1サイド1のところをメインで2枚増量。絶対に唱えさせないという強い意志。これのおかげで長期戦の相手の今引きをつぶしつつ氾濫で補充できるので一回攻守が切り替われば後はマウントを維持し続けられる。これのおかげもあって3ターン目以降のかき消しの価値が下がっている。

切り崩し

メインは完全にアグロ対策を捨てている。それほどミッドレンジに強いのだから妥当な判断といえる。代わりにサイドにはガン積みされている。

シェオルドレッド0

勝ち筋の焦点を完全に長期戦でのPWに絞っている。これもどちらかというとアグロを睨んでいるので勇気の完全カットか。強気だぜ!タクヤ!

ミレックス2→廃墟の地2

え?ミレックスなくていいの?と思うが同型のミレックスやBGミッドレンジの眠らずの小屋とかいうゴミくずを墓地に叩き落す方がはるかに大事ということか、実際個々の変更は特に効いている。このために基本地形4枚を入れている。ペインランド増量と合わせてファストランドを完全に排除している。このおかげで終盤はほとんどアンタップインが可能。

あとシャッフル効果のおかげで記憶の氾濫で下に送り込んだカードを上に戻せるオマケもある。

時間の旅人テフェリー

フィニッシャーハゲ。打消しが多いので8ターン目以降に打消しを構えながらおけると無敵の-2トークンが速足で育ちながら相手に襲い掛かる。一巻の終わりで放浪皇が全部抜かれてもテフェリーだけでシェオルを無視して殴りきったのは流石に強かった。

邪悪を打ち砕く(サイド)

エンチャント破壊で豆の木をつぶせる。スタミナ4の小屋が割れる。ある意味虚空裂きの2枚目が置き換わっているとも言える。

完成化ジェイス・永遠の放浪者(サイド)

勝ち筋のチューン用にサイドに投入されていると考えている。シェオルはたまに赤のコントロール奪取を喰らうがジェイスはその心配がなくアグロに安定して投げれる。放浪者はトークンを毎ターン1個消せることに加え一定より遅い相手に先にマウントを取りに行くときなどに便利。

アリーナでの利用

白青兵士が環境に食い込む前のリストではあるが、それを踏まえてもアリーナのアグロはだいたいがBO1に行くので結果として非常に利用しやすいと感じた。何より怨敵であるBGミッドレンジとまともな勝負ができるのは大きい。以下対戦感想。

白青兵士…無理。太陽降下への耐性を完全に確立している。ここは流石に3マナの全体除去を入れた方がいいと感じたのでサイドを少しいじった。サイド後は切り崩しを適宜入れて序盤のサリヤとスクレルブはバラバラにしておいた方がいい。

BGミッドレンジ…リスト全体にこのデッキへの殺意が満ちているのでサイドであまりいじる必要がない。太陽降下を1枚抜き(小出しにした強力クリーチャーを少しずつ絞り出してくるケアした動きをされるので全除去4枚はおそらく過剰)、先手なら中略2枚を抜いて否認と雲散霧消にするのがいい。苔森とヴェリアナをしのいで亀を打消して小屋を廃墟の地で潰していく。アドバンテージ元であるカードを全部潰してなお打消し用のリソースが余るので一回主導権を握れば負けない。氾濫はどうせ小屋に消されるので…とかは気にしない方がいい。眼識の収集はFB込みでも4ターン目には消えているので墓地対策の対策をしたアドバンテージ源としてよさそうだが思ったほど刺さらない。上手くグリッサが抜けたらそれで勝ったりするのだが。

このあと多元宇宙の突破が止められない…などは全然ある

5C版図…そもそもがカモ。ミレックスを割れるこのリストはより長期戦に強い。あんまり長引くといつ7マナお化けにひっくり返されるか分かったものではないので、この対戦はむしろ4ターン目に放浪皇出して圧をかけたり、告別で力戦豆の木を吹っ飛ばすなどするとよい。サイドは思い切って喉首などを落としていいかもしれない。中略を全部抜きつつ、どこかに眼識をぶち込んで永遠の放浪者もIN。相手の豆の木は正直厄介だが、それを打ち消すこともたまったところで告別で消し飛ばすこともできるので割となんとかなる。最悪やばいアクションだけ都度潰していけば相手はセルフLOする。

エスパーミッドレンジ…太陽降下への耐性をみにつけたデッキその2。4ターン目放浪皇などを囮にしてアーティを吐かせ、返しで太陽降下を打ち込むなどしよう。サイド方針は…よくわからない。サリヤや着地直後のラフィーンをつぶせるように切り崩しが2枚あるとよさそう。BGほど長いゲームレンジを見ていないこととラフィーンで土地を切り詰めたりするのでいったん土地の枚数差ができれば何とかなる印象。

以下Tier2遭遇数が上程多くないのでだんだん適当になっていく。

エスパーレジェンズ…ぶっちゃけミッドレンジより弱い。高橋優太さんがいないから安心して速足できるし、アーティもそんなに来ない。適当に除去ったら自分から土地を減らしてくれる。じゃ…流しますね(太陽降下)。向こうのサイドがこっちに強く出れないのでぶっちゃけあんまりいじる必要性を感じない。そもそもリソース補充力が高いので実はハンデスはほとんど困らない(終盤は余った打消しで消せるし)。

赤単…サイド後に切り崩しを入れるだけではどうにもならない。速足と氾濫を合計6枚くらいにしつつ土地も26枚にするくらいの極端さがあるといいと思った。ひたすら除去った後今引きの火力を打ち消すカードだけ用意して城砦や放浪皇で締め上げればいい。

青単…多分知識の流れを消せばいい。戦った試合はどれも丁寧に回されてぼこぼこにされた。サイド後は下手な除去は抜いてひたすら打消しを積んだ方がよさそう。軽量呪文が連打されるので中略は抜こう。

エスパーコントロール…廃墟の地とドロソの分でほぼこっちが勝つ。長いデッキはおやつ定期。

ハゥ・トゥー・フィニッシュ

このデッキはミレックスを抜いているので勝つには放浪皇とテフェリー以外にない。いざそういうデッキを組んでみると意外とミレックスが頼りにならないことも見えてくる。

ミレックス最大の魅力は土地というそうそう破壊されないリソースからアドバンテージが湧き続けることにある。しかも毒を与えられるのが便利、流石にブロックはできないとは言え4ターン目から起動して最速9ターン目に蹴りがつくのは良い。

ミレックスのデメリットは、敵が1/2以上のスタッツを持ったクリーチャーを出すと途端に火力の飽和が難しくなる点にある。上から潰すにはダニが3〜4匹が溜まった状態を維持しなければならず2体出されるともう厳しい。加えて放浪皇や太陽降下など他フィニッシュ手段との併用が難しいのは難点である。

ちなみに20点を削り切るのは相手エンド時更地に放浪皇でも4ターン(2+5+5+8)で可能でありこちらはテフェリーや場合によってはアショクとも併用が効く。

長期戦の維持力や相手の地形を割れるこのデッキは放浪皇とテフェリーで安全に相手を倒せる。もうミレックス先に出せるか選手権はしなくても良い。怖いミレックスの使い方は結局白単アグロが余ったマナを端からぶち込む使い方くらいである。

まとめ

完全なマウントを確立した後少数のフィニッシャーで倒す。強い一貫性を持つ構築思想の美しさを垣間見た。あとたくさんドローすると楽しい。魂の洞窟が来る前にミシックいけるか…?今はダイヤモンド



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