異世界探報期:とあるおっさん

のVRMMO活動期

久しぶりに来た、ビックウェーブ(話そのものは波がないのだが)


部屋にこもってゲームする系のアレ

VRMMOをする上でゲームの中に入っちゃったとか、逆にゲームの外に出れなくなっちゃったとかそういうのを抜きにしてひたすらゲームをするタイプの作品。

またかよ。ジャンルそのものに対する感想は防振りの回でもみてください。

まあ、背格好とファッションが同じで主張も大体同じような人間の群れでも、個人個人はそれなりに違うものだ。この作品にも他とは違う個性があるもの。そこんところに向き合ってみよう。

異世界技巧:古臭さ

厳密には異世界ではないのだが、確か前もこんな感じで紹介してたので使い回す。

とにかくキャラデザが古臭い

https://toaru-ossan.com/character/
多分ヒロイン

なんだろう、この、昔のゲームブックの表紙とかにいそうな感じ…平成初期ですらない。加えてギャグシーンではキャラがSD調になってハリセンで他のキャラをどついてツッコミを入れる始末。緑のカエルが「これまた古典的なネタでありますな〜」とか指摘しそうなツッコミの仕方。技を使う際は色付きの文字が画面に出てくる。ライトニングアローとか。これはそんなに古くない、子供の頃イナズマイレブンで見た記憶がある。技自体はチープそのものなので、そこまでイナズマイレブンを見習って欲しかった。

キャラデザにかけるお金がないとかいうレベルを超越しており、もはやおっさんのノスタルジックを刺激する目的があるようにすら思える。ギャグもキャラデザも正直キツかった。

目立ちたくない(強迫観念)

先にアニメ化された防振りと違うのは、基本的にはソロプレイをするという点である。別にクランを組んでいたとしても薄っぺらを通り越してbot同士の挨拶みたいなコミュニケーションしかないものだが、そこをソロにしても人間関係が希薄なのはそのままである。

他人と関わりたいキャラだけが主人公わけではないが、サブキャラの存在感が薄い作品には深みが出ないという事実からは逃れられない。ソロならソロで俯瞰して他人を見てそうなものだし、色んな登場人物に物語を彩ってほしいものだが、そういうのが一切ない。その上で主人公の中にダイブできないので自分の視聴体験は完全に死滅してしまった。

主人公としては目立ちたくないのでソロをしており、孤高を気取っている痛いやつみたいなふるまいをする。この手の作品にありがちな、「とにかく目立ちたくない。きっと面倒なことになるから。」という強迫観念、本当にどうにかならないだろうか?人との関わりを希薄にしたいだけの理由をくれよ、みんな大なり小なりそうだからといってすぐに感情移入できると思わないで欲しい。

もちろん主人公がそういうパーソナリティを備えているだけで悪いということはない。しかし現代人に対する物語としてはそのキャラなりの社会との折り合い方を見出すまでを演出するとか、或いは全てから解き放たれた自由(とそのスタンス固有の責任)なんてのが出てきそうなものである。なろうに目立ちたくないが合体すると何故かそういう考えうる物語のパターンをとにかく外してくる。作者は何も考えていないか、シンプルに自分の社会疲れを物語に反映させているのだろうか?

そう考えた場合に、人付き合いの面倒な部分だけを避けて、それでいて作品全体としては主人公を褒めそやす構図はものすごく不自然なものに映る。こうなりたい人が一定数いるのが現代社会なのだろうか?ナイーブな欲望がそのまま剥き出しになると流石にグロテスクと言わざるを得ない。

つまり、関わりたくないと褒められるが同居して全体的に中途半端なのが良くないのだ。反抗期の子供が親に死ねとか言いながらもご飯だけは黙って要求してくるような感じの悪さが物語全体に蔓延している。

なんか中途半端でシンプルに感じが悪いやつ

ちゅうわる(中年のワルではない)

物語前半では上記の目立ちたくないに則り不遇スキルをかき集めた主人公が何故か都合よくいい感じのポジションについていく。料理人スキルで他人が喜ぶのは嬉しい!ということに主人公が気づいたシーンには物語の萌芽の気配を感じたが、そういうおもしろに繋がりそうな芽は丁寧に全部潰すからこの手の作品は侮れない。

なんやかんやあって、主人公は上の方に出た「フェアリークイーン」に好意を向けられる。こいつはよくいる押しかけ女房みたいなキャラで割と鬱陶しい感じの描写がされている。CV上田麗奈じゃなかったら自分も主人公に同調していたかもしれない。

主人公はこのヒロインをかなり邪険に扱うわけだ。問題はこのヒロインが主人公にそれなりを通り越してかなりゲームプレイ上で貢献してくれている点だ。もらうもん貰っておいて、別に見返りとしてでもなく単純に自分に懐いてくる相手を袖にし続ける主人公の姿は見ていてかなり感じの悪いものがある。孤高を気取れてるのママのおかげですよあなた。

そんな主人公も一度は「思えば色んな人と出会った。彼らに彩りを与えられているのだからあまりソロを優先して邪険にするのもなあ…」と考える。その直後に諸々の勘違いから一方的にフェアリークイーンにブチ切れて「もう構ってやんねーぞ」的なことを言い出す。あと流れで逆らったドラゴンをサツガイする。

反抗期の子供がしたら場合によっては絶縁されそうな勢いである。ドラゴンをサツガイする時に使った技がフェアリークイーンに与えられたものなのだからなおタチが悪い。どうせなら有り難みの確認と逆ギレの順番を入れ替えた方がまだマシである。それでもいい大人がゲームキャラにするキレ方ではないが…。

勘違いで諍いを起こし、結局はフェアリークイーンに助けられた形になって主人公。トラブルに巻き込んだお礼をさせてと言ったフェアリークイーンに対して主人公は実質的な三行半を告げる。

…最悪か?しかもこの後フェアリークイーンは「あなたの都合を考えず構いすぎましたごめんなさい」という。この後もう一度和解回があるとかならともかく、主人公が「現実でできないことができるゲームは最高だ!自分はもう老け込んだ(38歳)だけど、ゲームの中では若々しくいられる!」とか言ってそのまま物語は終わる。若さ故の過ちみたいなのをおっさんがするなよな。そもそもこの手のおっさん主人公系作品っておっさんが人間的に成熟するから安定した視聴感があるのだがそういうのを全体的に放棄している。

頭沸いてるんだろうか、こういう人がDVとかするんだろうな。現実ではこいつ孤独なリーマンだけど。根本的にダメな人がダメな感じでいる描写としては正解だと思うが、どうも作品としては主人公のおっさんの心情に寄り添ってヨイショする感じなので色々と手の施しようがない。

こんなゲームにマジになっちゃってどうするの

そもそもフェアリークイーンはAIである。ある意味で傷ついている実在人物はいないとも言えるが、主人公はある種の人間性みたいなのをクイーンに見出してだのゲームキャラに収まらないと感じた上でこの反応なので感じ悪いのはそのままである。AIならパワハラしていいだろう…的なモノローグも別にない。

加えて主人公はゲームのイベントにいちいちマジになって、かっこいいんだか悪いんだか分からない啖呵を切って人間哲学とかを語りだす。作り手はファンタジー世界をやってる気持ちなのか?主人公はだせーメット被った38歳だぞ。にしても、ゲームにのめり込んで現実とあんまり区別ついてない奴がゲームキャラに説教してくる…二重にバツがついてしまった状態。どう好きになれと?ロールプレイが好きなら普段からそういうこだわりがあるところ見せてくださいと言いたい。

総評

シンプルに脚本と構成が終わっている。原作で主人公の内面やそれをとりまく環境に徐々に触れていくのだとしたら最悪なところで終わらせたアニメ制作陣の罪はかなり重い。最後に主人公がクイーンにもらった技の一つ、「エルダープリズムノヴァ」の詠唱を紹介して〆る。

数多の妖精たちよ
我が声を聞き届けたまえ
我の願いを聞き届けたまえ
我が祈りは妖精と共に
大いなる願いと共にある
その偉大なる妖精の王に願う
王に願う
我が魔力の一部を偉大なる妖精の王に捧げ
我が魂の力に一度限りの大いなる加護を与えたまえ
その加護と魔力を以って
我が前の敵対者に対し
大いなる痛みと絶望を与える力となせ
この詠唱を誓いとなし
勝利の栄光と名誉を妖精の王に捧げる為に
妖精王の助力を求むる
我が名はアース
第87代目フェアリクイーンより術を授かりし者なり
その契約を以って
一度限りの奇跡を我が前に顕現させることを願う
我が願いはここに主として
妖精の王への申請となす
我が願いを叶えたまえ
今こそ真の力を以って敵を討て
エルダープリズムノヴァ

長い、ワードセンスがダサい、ところどころ内容が被ってる。何回願うんだお前は。エル○ンターレ・ファイト打った方がまだマシである。原作では妖精語で詠唱するらしく、まさかのアニオリ。アニメ版だとちゃんと読むと1分半くらいかかる。これは敵に「その詠唱をやめろ!」と邪魔をされそれを切り抜けるくだりを2回も挟み込めるくらいの長さである。最悪の天丼だ。

(­ ゚,_ゝ゚)バカジャネーノ­

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