ふつうすぎる僕らがブレーキを踏まないためのコツ

いつのころからだろうか。思い切った行動や変わった行動をしても驚かれなくなった。またやってるよという目で見られる。見てる側は慣れているかもしれないけれど、こちらは毎回ドキドキしている。なにしろ天然の変人ではなく、誰よりもふつうな人間なのだ。大勢の前で突然マイクでしゃべりだしたとしても、奇行ではなくてそういうパフォーマンスなので、いつでも緊張しながらやっている。自信もなければ勇気もない。ただみんなと違うのは、ブレーキを踏まないところじゃないだろうか。ブレーキが壊れているわけではない。大事故につながりそうなときには、ちゃんとブレーキを踏むのだから。僕の場合はブレーキを踏まないためのコツを知っているだけなのだと思う。

一番かんたんなのは、思いついたらすぐにやるということだ。思いついた瞬間というのは最も熱量が高い状態なので、その瞬間にやってしまうとブレーキがかかる前に実行できる。熱量は一気に下がるので、いかにはやくやるかというのが重要だ。すぐに実行できないようなものは、まわりの人にやると宣言するなど、引き返せない状態に持って行く。ブレーキを踏んでしまうようなことを誰かに頼まれたときにも、どれだけはやく返事をするかが勝負になる。イベントの登壇、新聞の取材、テレビの出演のオファーがあったときには、5秒以内に返事をしていた。自分にブレーキを踏む間を与えないという方法だ。

ブレーキを踏まない状態にするという意味では、意図して思考を止めるというのが効果的だ。いったんやると決めても、放っておくとやらない言い訳が次々とあふれ出してくる。これを止めるにはもう思考を止めるしかない。思考の止め方というとなんとも説明が難しいのだけど。止めるのが難しいようだったら別のことに気をそらすということでもいいと思う。ようはこれから行動をするということについて考えなければいいので。僕は「まあいいか」とつぶやくことで思考を止めたりもする。心の中でつぶやくのではなくて、ひとり言として口に出す。そうするとそれ以上は考えなくなるのだけど、これは僕だけだろうか。

奇抜目なファッションで外出するなど、道行く人の目が気になるときにもブレーキを踏んでしまいがちだ。奇抜でなくてもふだんの自分らしくない格好でいると人の目が気になる。みんなフォーマルな場なのにひとりだけカジュアルで来てしまうということもある。こういう人の目が気になる場合は、よく言われることだけれど「人は他人のことなど気にしていない」ということを思い出すようにする。これが実感としてわかないならば、自分が街を歩いていてどれくらい他人のことを気にしているか自分を観察してみるといい。他人のことなどまったく気にしていないのがわかる。人目は気にしないという強いメンタルは持っていない。人は自分を気にしていないということを知っておくことが重要だ。

最後に、やりたいけれども許可が必要でブレーキを踏んでしまうというケース。これは僕がいつも言っている「許可より謝罪」の出番だ。許可をとるあいだに熱量が下がってしまったり、そもそも許可が出なかったりというのはよくある。それよりも勝手にやってしまって、怒られたら謝罪するほうがいい。これをずっとやっていると、上の立場の人たちもあきらめの気持ちが生まれるらしい。会社員なので金髪の許可などおりないので、ある日いきなり金髪にしていった。髪の色が明るいという注意を受けた社員がいるなか、金髪の僕はおとがめなし。あいつがやるのは仕方がないとあきらめられていると楽に行動できるようになる。まあ、査定に影響するかどうかは別問題だけれど。

僕の場合は基本的にマイナスの気分からスタートするので、なにか行動するというのは大きなエネルギーが必要となる。そのうえでなにかやろうというのにブレーキを踏んでしまうのはもったいない。しかも本当に危険なことや大冒険をやろうとしないことは自分でわかっている。そういう意味ではブレーキが壊れている人がうらやましい。僕はふつうすぎてつらい側の人間なので、せめてちょっとした行動にブレーキを踏まないようにするだけだ。なにをするにもスモールスタートでいいと思っているので、アクセルを踏む必要はない。進んでいるうちに勢いがついてくる。ブレーキを踏んだままアクセルを踏もうとして進めずにいる人がいるのだけど、アクセルのことはいったん忘れて、まずはブレーキから足を離すことにフォーカスするといいんじゃないだろうか。

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