半分の時間で2倍稼ぐ、ひとり親の生存戦略

お金があればたいていの問題は解決する。人間にとってもっとも大切な限られた資源である時間もお金で買うことができる。そして多くの人は時間を切り売りしてお金を稼ぐ。お金と時間というふたつの資源を交互に変換しながら生活をしていると言えるだろう。このふたつの資源が不足してしまうのが、ひとり親だ。

夫婦共働きの家庭と比べると、単純に計算すると時間も収入も半分になってしまう。切り売りする時間が少ないと、稼げるお金も少なくなる。お金が足りないと、時間を買うことができない。ひとり親はこうして負のスパイラルに陥りがちな気がする。時間とお金の理屈について書いたけれど、実際には働く時間が制限されているとそもそも就職が難しかったり、無理に時間を捻出しようとすると心や体を壊したりもするだろう。

ひとり親が人並みの生活を送るためには、半分の時間で2倍稼ぐしかない。会社員として実現するのは難しそうだ。そこで起業をして自分でビジネスをすることにした。ひとり親ではなくても、人類に8時間労働は長すぎる。さらに労働時間に加えて通勤時間がかかるなんて。僕らの会社のメンバーにはみな子どもがいる。子どもとの時間を大切にしてほしい。そこで場所と時間の制約を取り除くことにした。勤務場所は自由。授業参観や病院など子どもの用事があるときにはそちらを優先する。

そんなスタイルで2年が経とうとしている。会社員のころに比べると収入は増えた。時間は子どもたちに合わせて調整可能だ。好きな場所で仕事ができるので、ストレスが少ない。体調を崩しにくくなった気がする。一方で、仕事をしている時間の総量は増えてしまっている。子どもたちのために使う時間が足りていないと感じる。まだまだ2年だからとも言えるのだけど、限界も見えてきたと思う。そろそろ次のフェーズにいかなければ。

半分の時間で2倍稼ぐ。シングルマザーのクッキー屋さん、サクちゃんもまったく同じことを言っていた。ひとり親の目指すところは同じなのだろう。僕はさらに自分だけではなくて、ほかのひとり親にも人並みの生活を送ってほしいと思っている。時間は足りないけれどしあわせな生活を送ることができているので、僕を生かしてくれる世の中に恩返しをしたいと常々考えている。ボランティアカメラマンの活動もそのひとつだ。僕らの会社でひとり親に限らず子持ちの親が十分な時間とお金を得られるスタイルをつくることができたら、それを世の中に広げていきたい。そのためには、いまが重要な時期なのだろうと感じている。

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