三姉妹はいつも上機嫌

新年度はあわただしい。学用品を買いそろえるだけでなく、暖かくなってきて洋服も買い替える季節だ。小中学校から配られる調査票や保険関係書類など大量のプリントにいろいろと記入していく。3人分ともなるとかなりの量だ。はやく電子化してほしいと思う。それから制服に名札をつけたり、体操服にゼッケンを貼ったり、年に数回の裁縫スキルを発動する。これらがひと段落すると、そろそろ家庭訪問がはじまる。いちおう家の中の片付けを試みているところ。家庭訪問はこちらから話題を出さなければ、10分もかからずに終わる。今年もこちらからはとくになにもないのだけど、子どもたちがどんな子なのか紹介する準備をしてみようと思う。

長女は典型的な内弁慶。ひょうきんなところと空気を読むところを併せ持っているのはいいことだ。「プログラマーの三大美徳」というのがあって「怠惰」「短期」「傲慢」なのだけど、彼女は生まれつきこの3つの素養がある。プログラミングをはじめたら、僕なんてすぐに追い越してしまうかもしれない。そして、人と違うことを恐れない。わが道を行く。この度胸がすてきだと思う。これからの時代は人と同じでは埋没してしまう。ためらわずに人と違うことができるというのはおもしろい。彼女はやりたくないことはやらないというのを徹底していて、それを理想としながらもなかなか実践できない僕はうらやましく思っている。

次女は独自のセンスがすばらしい。写真を撮るにしても独創的な切り口で絵作りをする。写真を撮ることを趣味としている僕にも真似ができない。普段の発言にもセンスが感じられる。ひとひねりされた発言内容。おもしろいことを言おうとするときはもちろんなのだけど、そうでないときにも一風変わった発想で表現することがある。それはTwitterでツイートするときも同じだ。ネット歴が短いはずなのに、古参のネット民のようなツイートをする。このへんは完全にセンスだと感じている。興味の対象もちょっと変わっていて、僕が説明する記憶のメカニズムに則った勉強法などに3人のうちで唯一食いついてくる。普通人である僕は、彼女の生まれ持ったセンスに憧れている。

三女は人間力が高い。他人のわがままを通すために自分が一歩引いたりする。これはすごいことだ。小学生といえばいかに自分の思い通りにするかを第一に考えるものだと記憶しているが、彼女はまず相手の要望をくむことを考える。そうなると自分ががまんをすることになるのでストレスをためてしまうのではないかと心配になるのだけど、気持ちの切り替えがとても速く、いつまでもくよくよしてはいない。思いやりをもって行動し、そして相手の傷つく言動をとらない。僕程度の人間力では太刀打ちできない。それから、これは性格ではないのだけど、わが家のなかで唯一運動ができる。もしかしたら体が健康だから、健全な心が宿っているのかもしれない。

まだ小中学生なので、これまでの人生経験というよりも生まれ持ったものが大きいような気がする。生まれ持ったもので、すでに僕に勝ち目がないのだから、このままいったらどうなるのだろうか。三姉妹のすばらしさは、僕の育て方や教育の賜物ではない。なにしろ放置しているだけでなにもしていないのだから。子どもは一番近い他人だ。僕がコントロールすることなどできない。コントロールしようとしないことで、制限をかけずに個性が伸びるとも言えなくはないけれど。なんにせよ、放っておいても子どもは育つのだなと感じながら、散らかった部屋で日々を過ごしている。

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